いやあ、ここのところ寒い日が続きますねえ
今日は今年の初打ち合わせに諏訪のT様のところへ
うかがってきましたが
道路がそこかしこで凍っていて
注意していながら、一度軽く滑ってしまいました
皆さんもご注意くださいね
さて、前回の終わりで予告しました
「20世紀最大の問題作」とはこちら
帯に今世紀最大の問題作とありますが
初版が1990年ですので20世紀ですね
『薔薇の名前』
著者:ウンベルト・エーコ
ご存じの方も多いと思います
昔、ショーン・コネリーが主役のウィリアム役で
映画化もされていました
(見てませんが・・)
中世の時代背景を題材にした本格的な物語
が好きな方にはたまらない作品ですよね
ワタシが初めてこの本を手にしたのは
多分15.6年前だと思います
それから何度か読み返していますが
そのたび新しい発見があったりして
奥行きのある作品です
著者のウンベルト・エーコは言語学者
このほかに彼の作品では
「フーコーの振り子」
「前日島」なんかも読みましたが
「薔薇の名前」が一番面白かったです
最近でも『「薔薇の名前」にかたを並べる』とか
『「薔薇の名前」に匹敵する』
なんていう書評をよく目にするほど
影響の大きかった本ですね
ワタシなんかがいろいろ言うより
帯の宣伝文句を見て頂いた方が
いいと思いますので・・
「中世、異端、「ヨハネの黙示録」、暗号、アリストテレース、博物誌、記号論、ミステリ、読書のあらゆる楽しみが、ここにはある」
全世界を熱狂させた、
文学史上の事件とも
言うべき問題の書
なんとも大層なぶち上げ方ですが
面白いのは間違いないです
14世紀の僧院が舞台
何しろ時代背景がものすごい時期です
ペストの流行でヨーロッパの人口が激減
グノーシス、カタリ派、フランチェスコ修道会
ベネディクトゥス etc
キリスト教の大きな過渡的時代
そんな教義論争も様々出てきます
結末、そしてその理由は・・・
「そ・そこかああ・・・」
醒めたワタシでも感心というか感慨にふけるというか・・
専門家の解説など見ると
ストーリーの内容もそうですが
もっと凄いのはこの本の作りの方だそうです
よくいわれるのが
「書物の書物」 「物語の物語」
「記号論を駆使したハイパー・ナントカ・カントカ」
この辺の難しい理屈はワタシにはいまいちですが
素人が読んでも他にはない”凄み”は感じます
もし読まれる方はご注意を
いまどきのサスペンスもののような
ノンストップ的なスピード感ではありません
じっくり味わいながら
中世の僧院の中での事件をあらゆる知識・知性を動員して
解き明かす醍醐味と、その時代の空気感
そして物語の構造の”凄み”をお楽しみください