「今、当店には二つの暖簾がある・・・」
一つは北アルプスの常念岳をイメージしたもの
もう一つはシンプルなもの・・・季節によって変えています。
この暖簾を織ってくれたのは、私の職人としての人生を
開いてくれた師匠の「手仕事屋きち兵衛」さんの奥さんの恵さんです。
これからも一生、この暖簾を大切にしていきたいと思っています。
暖簾といえば当店も今年で創業118年になりますが、
そのうち、私がここで生きて来たのは半分の60年になります。
「暖簾を守る」・・・ 私には、そんなに重圧と感じた事はあまりなかったけれど、
ここまで店を継続してくるのには、山あり谷あり本当にいろいろな事がありました。
今、振り返ればなんとか今日まで店を続けられたな~というのが実感です。
若い時は趣味のスポーツに熱中し、あまりこの仕事に熱心とは言えませんでした。
いろいろんな道草を食いながら、ここまでなんとかやってこられたのも
いままで出会ったたくさんの素晴らしい人々のおかげと感謝しております。
今思うと、朝から晩まで長い時間仕事ばかりの日々で、定休日も仕込みなど
何かと雑用に追われ、なかなか休みを取ることができませんでした。
これも若い時遊びすぎたつけか・・・と思ったりしながら仕事に追われる毎日でした。
しかし、今になって思うと家族(特に子供たちに対して)
仕事が忙しいからと、遊んでやったり相談にのってやったり、
かかわってこられなかった事や、言葉足らずや誤解を解くこともできずに、
大切なもの傷つけ失ってきたことの大きさに本当に申し訳なく思っています。
今更、反省してもどうなるものではありませんが・・・
命ある限り、これからもそば作りに励んで生きたいと思います。
べん