『職人・・・もの作りの魅力』
私が30才になる頃、近所に「手仕事屋きち兵衛」
さんが木彫の店を開きました。
手仕事屋・・・少し変わった名前に興味をひかれ
店の中を覗いていると、モジャモジャ頭に
顔中ひげだらけのちょっと気難しそうな人が
小さなこたつの上で黙々とノミで木を彫っていました。
「近くで見せていただいてよろしいですか。」
と聞くと「どうぞ・・」と応えてくれたので、
遠慮なくこたつにはいり込んで
見させていただきました。
ノミが木を削っていくときの木肌の美しさに魅せられ、
暇を見ては毎日のようにお邪魔して、きち兵衛さんの
美しい仕事ぶりに見入っておりました。
「俺もこんな美しい仕事のできる職人になりたいなあ!」
と思うようになりました。
今、思えば本気でそば職人になろうと思ったのは、
きち兵衛さんとの出会いがあったからだと思います。
木彫とそばの違いはありますが
「手仕事屋きち兵衛さん」が私にとっての
師匠といえるかもしれません。
その後、何年かしてきち兵衛さんが
弾き語りをしてCDを出し、コンサートを
やるようになるとはその時は
想像できませんでした。
べん
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