日本理化学工業は日本のチョークシェア30%を占める会社で、最近では環境に優しい粉の出ないチョークを開発しています。 さらに有名なのは障害者雇用の推進。なんと70名中、57名が知的障害者。その半分が重度の障害者です。 日本理化学工業の4つの理念は 「人に愛されること」 「人に褒められること」 「人の役に立つこと」 「人に必要とされること」 会長の大山泰弘氏の著書「働く幸せ ~ 仕事でいちばん大切なこと ~」 と言う本があります。ご覧になってはいかがでしょうか。
障害者雇用は現在法定雇用率が1.8%と定められていて、56人に1人は障害者を雇用する義務があります。ところが、実際にはこの数字は半分にも満たないのが現状です。法定雇用率に達せず、不足する分を納付金という名の罰金(一人当たり年間60万円×不足人数)を支払う会社も多いのではないでしょうか。しかし、日本理化学工業株式会社は、障害のある方々を正社員として雇い、月12万円以上の最低賃金を守った報酬をきちんと支払っています。
最初の障害者雇用は50年前。社長が近くの養護学校の先生から「養護学校の生徒2名を貴社で雇ってくれないか。」といわれたことがきっかけで、当初社長は「障害者には無理では」と思い断りますが、養護学校の先生が
「この子達は一生働かず、一生を終える。それは本当にかわいそうだ。そういうことがないようにしてあげたい。雇うのが無理なら、2週間だけ職業体験させてくれ。」
何度も何度も繰り返す、熱意に負けて2週間だけの約束で受け入れます。2名の養護学校の生徒がきますが、彼らはもちろんすぐに仕事を覚えることはできません。でも一生懸命、一生懸命働きます。
昼食時間になっても休憩時間になっても、もうやめなさいといわれるまで、手を休めることなく働く彼等。誰よりも一生懸命一生懸命一生懸命・・・。
職業体験が終了する2週間後、社長は会社の全従業員に取り囲まれます。
「社長。お願いです。あの子達を雇ってあげてください。あの子達ができない分は全力で私たちがサポートします!」
「社長!お願いします。。あの子達を雇ってあげてください!」
社長は心を打たれ、その養護学校の生徒たちを雇うことを決めました。そうして始まった日本理化学工業の障害者雇用。彼らは大切な戦力です。
そして50年たった今…。
まだ、その時に雇われた少女は、今、素敵なおばあちゃんになっています。そして今も現役で日本理化学工業で働いています。
「社長さんと出会えてよかった。」そういってキラキラの笑顔で一生懸命、今も働いています。

やっていただく仕事が無い、売場では無理、トイレや階段などが福祉対応になっていない等等、いろんな理由がありましたが、結局は罰金を払った方が良いという経営判断も多いかもしれません。
でもする仕事が無いからではなく、その人にあった仕事を作ることもが必要なのではないでしょうか。
障害者雇用で社員の意識が変り会社が変わるのだと思うのです。
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