寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
信州のおとぎ話にこんなお話がございましたので、
皆様にご紹介したいと存じます。
昔々、とてもきれい好きなお殿様がおりました。
お城の中はいつもきれいで家来たちの手によって、
いつもピカピカに磨き上げられていました。
お殿様は、いつもきれいな城内にご機嫌でした。
ある冬の日に、お殿様が城下にいらっしゃいました。
城下もお城の中には及びませんでしたが、
とてもきれいに掃除されていました。
お殿様は上機嫌でした。
しばらくして、お殿様の一行は、
ゴミ捨て場の前を通りかかりました。
そこには、ゴミが積まれておりました。
「これ、これはなんじゃ!」
「は、しかし、ここはゴミを捨てる場所ゆえに、いたしかたなきかと…」
「たわけ! 見苦しいわ!
次に余が来るまでに全て城下のゴミ捨て場をなくしておけ!
一つでも残っておったら、重い罰を与えるぞ!」
お殿様はぷんぷん怒りながらご帰城されました。
…さあ、困りました。
人々が生きていくとどうしてもゴミは出てしまい、
それを置く場所が必要です。
それを全てなくせとのご命令です。
それからというもの、
お城の家来も領民の人々も
ゴミを減らす努力を一所懸命、致しました。
しかし、どうしてもゴミは出てしまいます。
「お役人さま。ゴミを出さずに生きていくなど、無理な話だべ。」
「なんとかしてくだせぇ。」
「うーむ…」
領民はもちろん、ご家来さまも困りはて、
お殿様にご命令をお引き下げ頂きますよう進言しました。
しかし、
「武士が一度、口にした言葉を、やすやすと引き下げるか!」
…と、お聞き入れ頂けません。
そうこうするうちに、
再び、お殿様一行が城下にいらっしゃる日がやってきました。
ゴミ捨て場はそのままです。
お殿様一行が
あと少しでその場所にさしかかろうと言う時に、
天から、白いわたぼうしが舞い降りてきました。
雪です。
雪は瞬く間に降り積もり、
あたり一面を白く白く覆いつくしました。
それはゴミを減らそうと、必死で努力した領民の為に、
神様が、ゴミ捨て場を隠してくださったのです。
「殿! ご覧下さい! ゴミのない城下にございます!」
「……うーむ。雪の城下は、かくも美しいものであったか…。」
そうおっしゃると、何も言わず踵を返し、お城に戻られました。
ご家来も領民も天の助けに大喜びでした。
…それからというもの、神様は冬のこの時期に
毎年、雪化粧した美しいを景色を
私達に贈ってくださっているのだという事です。
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浅間温泉は今日も美しい雪景色です。
どうぞこの素晴らしい景色をご覧にいらして下さい。
スタッフ一同、心よりお待ちしております。