松本の縄手通りに「中劇シネサロン」という映画館があった。
残念なことに2004年に閉館し、その跡地には高層マンションが建った。
最近はその景色にやっと慣れたが、初めのうちはどうも違和感があって馴染めなかった。
「中劇シネサロン」は松本の街中に調和した時代を感じさせてくれる映画館だった。
何度か足を運んだことがあった。建物は古いが木の床は磨き込まれ、常にキレイに掃除されていた。
そんな時代を経て磨り減った木の丸みや、柔らかなやさしさに触れると気持ちが落ち着く。
古い木造の建物にはそんな良さがある。
よく探してみれば、そんな建物は街中にもまだ沢山残っている。
新しいお洒落なお店も良いけれど、たまには古いお店を訪ねて何年もの月日の中で、多くの人々の喜怒哀楽を静かに見守ってきた木のぬくもりに触れて、木のつぶやきを聞いてみてはどうだろう。
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