皆さん、お元気ですか? またまたきちゃいました金曜日は前置き長めの専務ブログです。 
今日からしばらく「不連続の連続シリーズ ほっとけない!!」と“朝ズバ”ならぬ“金ズバ”スタイルでいきたいと思います。

と、その前に、市民タイムスの4月6日の一面の記事で「市長交際費」が取り上げられていましたのでこれについて一言。

市のまとめによると、菅谷市長の21年度に使った交際費が155件(77万2,755円)で、16年3月の市長就任以来、件数・金額ともに最少だったということです。

ところで、市長交際費77万円って高いのでしょうか、安いのでしょうか?
毎年200万円が予算に計上されているそうですが、77万円に抑えることが出来たのか、77万しか使わなかったのか、今回の記事からはなかなか判断しかねます。

実際のところ、市長の自己評価で「意図して減らしたわけではないが無駄が減ってよかった。」という発言から察するに“無駄な交際”が実際にはあるようです。
市議会議員の受け止めはおおむね好評だということなので、きっとおおむね評価すべきではあると思いますが、個人的には“いくら使ったか?”は大した問題ではなく、“何に使ったか?どのような結果(効果)をもたらしたか?”そういう目線で記事にしてもらえればもう少し読者も記事を読んで判断できるのにな、と感じた次第です。
参考までに、ここに平成21年度と20年度の項目別市長交際費の比較を載せておきます。 

         平成20年度      平成21年度
         件数  金額      件数  金額     前年比(金額)
祝儀・会費  155   ¥773,825   123   ¥606,155  78.3%
賛助・協賛    3  ¥ 15,000     2  ¥ 10,000   66.7%
葬儀・弔事   33  ¥175,000    26  ¥137,600   78.6%
激励費など   0  ¥   0       0  ¥ 0   ―
見舞い      0  ¥   0       1  ¥ 5,000   ―
その他      3  ¥ 14,000     3  ¥ 14,000   100.0%
合計      194  ¥977,825   155  ¥772,755   79.0%

全体の支出で78.4%を占め最も高い支出は「祝儀・会議」ですが、前年比78.3%と支出減に大きく貢献しています。「無駄が減った」という市長のコメントですから、きっと祝儀・会費の支出に無駄があったのかな、と穿った見方をしてしまいます。皆さんはどう思われたでしょうか?

さて、前置きが終わりいよいよ本題の“不連続の連続シリーズ第1回”は「小麦価格高騰」についてです。
2007年後半から2008年にかけて小麦価格が高騰し多くの食品メーカーが値上げに踏み切ったあの頃を皆様覚えてらっしゃるでしょうか?

(忘れちゃった方は↓をクリック)
http://allabout.co.jp/career/jijiabc/closeup/CU20071014A/index2.htm

(覚えている方は↑クリックで小麦高騰理由を確認してね)

当時の農水省の見解では、小麦価格高騰の背景として
1.中国やインドなど人口が多い新興国での経済発展にともなう食糧需要の増大
2.米国やブラジルでの小麦に代わるバイオ燃料用作物の生産拡大
3.オーストラリアの干ばつなど気候変動の影響により需給のひっ迫
4.生産国であるロシアやアルゼンチンなどの輸出規制の開始・強化 

などが国際相場を押し上げる要因であった、とのことですが、概ねメディアでもそのように報じられていたと思います。

当時個人的に特に関心があったのは2番バイオ燃料についてでした。
地球温暖化問題という名目の下、食料(穀物)を燃料にしようという発想に商業主義の浅ましさを感じると同時に、ブラジルはともかく米国のエネルギー戦略の強かさに日本も少しは見習ってほしいと思ったものでした。

さて本題ですが、小麦価格が高騰したのは、上記のHPアドレスで紹介されているような原因や農水省の見解で述べられているような理由では決してない(!)、ということに最近気づかされ、とてもびっくりしましたので今回の「不連続の連続シリーズ」第一弾としました。

それでは、どのような理由が小麦価格の高騰を招いたのか・・・結論から申し上げると、農水省が小麦価格を高騰、そして維持させてきた、というのです。びっくり?
先ず、基本的な情報の共有ですが、民間が小麦を独自に輸入しようとすると約250%(1キロ当たり55円)という輸入関税がかかってしまいます。実質政府が独占的に国際価格で小麦を調達し、港湾諸経費(2,102円/トン)と国家マージン(16,868円/トン)を乗せ製粉業者などに政府売り渡し価格で卸しているそうです。どちらを選ぶまでもなく安いほう(政府提供価格)を選ぶのは民間企業の当然の選択であると思います。
つまり国家が貿易と国内価格を一元的にコントロールできる仕組みとなっており、完全な価格統制がなされているわけです。もともと日本国民は国際価格より2倍も3倍も高い価格で小麦を買わされている現状を認識することが先ずは前提となります。

そのような状況の中、当時小麦の国際価格高騰に対し欧州では消費者のダメージを和らげるため輸入関税を0にして対応したのに対し、日本ではご存知の通り企業や国民が価格上昇を負担することになりました。

仮に上記で示された要因が世界的な小麦国際価格を引き上げたにしても、輸入関税や国家マージンを調整するなど政府(農水省)は何らかの対応策を講じ、国際価格上昇分くらいを吸収させることはいくらでも出来たわけです。しかし結果的にはそうはなりませんでした。何故か・・・?
この国家マージンは、農水省にとっては貴重な財源(単純に年間の小麦輸入量約570万トンで国家マージン1万7千円/トンを掛けると約969億円)となるわけで、この財源を手放す(減らす)という考えはどうやら思いつかなかったようです。むろん969億円の全てが無駄に使われているわけではなさそうですが、やはりこれらのお金の使い方には随分課題がありそうです。
結果として、農水省が国民の負担よりも自らの財源確保を優先させたと言っても過言ではない、ということになります。   

今回取り上げたのは“小麦”ですが、調べてみると“日本の農業事情”は随分ユニークで多くの問題を抱えていることが窺えます。その多くは農水省の在り方に起因することが多いそうですが、皆さん興味があるようでしたらまた調査しご紹介したいと思います。

いつでもそうですが、マスコミが伝える情報をそのまま鵜呑みにせず、マスコミが(時に意図的に)伝えない情報は何か、真実はどこにあるのか、ということを常に忘れず情報に接することは大事である、と自戒の念を込めて今回のほっとけない!!はお終いです。

専務理事 井上 博文