歯牙破折~意図的挺出~メタルボンド
昨年の11月から通っていただいている患者さんです。
来医院の数日前、硬いものを噛んだ拍子に前歯にひびが入ったとのことでした。
一見するとよくわかりませんが、右上1番が破折しています。
X線写真です。破折線がはっきりと見えます。
とりあえず破折した部分を除去してみました。
破折片です。わずかにセメントエナメル境を越えて破折しています。
処置に迷う症例でしたが、患者さんが26歳と若いため、より安定した歯周環境を獲得するためIntentional Extrusion(意図的挺出)を行うことにしました。
挺出開始時のX線写真です。
挺出完了時です。
この後歯周外科処置をさせていただき、歯肉の治癒を待ってから最終補綴をしました。
初診時から4カ月ほどかかってしまいましたが、今後メインテナンスで安定した歯周組織を保つよう頑張りましょうね。
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MTM ~アップライト~
抜歯の後、長年放置してしまうと隣の歯が倒れたり、かみ合わせの歯が出てきたりしてかみ合わせのバランスが崩れてしまいます。
そうなってしまった場所に補綴処置をしようと思うと様々な代償を余儀なくされます。
昨年6月初診の患者さんです。右側が噛みにくいとのことで来院されました。
お話によると10年以上前に右下6番を抜歯して、そのままになってしまったそうです。
歯周病の問題もありましたので、まず歯周基本治療を行い、右下8番を抜歯後、7番をアップライト(整直)させて補綴処置を行う治療計画をたてました。
装置を付けた直後のレントゲン写真です。
最初のうちはなかなか思うように動かず苦労しました。
約2カ月後のレントゲン写真です。
だいぶ歯の向きが変わったのがわかります。
初診時の写真と比べるとだいぶ良くなりました。
欠損補綴はブリッジを選択されました。
歯が傾斜したままでは補綴が不可能でしたが、アップライトさせてブリッジを装着したことにより少しでも咀嚼能率が上がったのではないでしょうか?
これからメインテナンスで歯周病や2次カリエスを予防していきたいと思います。
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歯根破折
虫歯で歯の神経をとってしまうと確実に歯の寿命は下がります。
中でも致命的な“歯根破折”。何度かご紹介していますが、破折した瞬間に歯の寿命はおしまいです。
先日お見えになった患者さん、右上の7番(一番奥)の動揺と咬合痛を訴えていました。
レントゲンを撮ってみると歯根の周りに黒い影が。
間違いなく歯根破折の像です。
後日抜歯になりました。
写真では分かりにくいのですが、近心頬側根に根尖に及ぶ亀裂が確認できます。
残念ながらこの歯根破折を防ぐ手法はありません。
虫歯の予防、早期治療をして神経をとらないようにするしかありません。
すでに神経をとってある歯は、常に歯根破折の危険をはらんでいます。
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綺麗すぎてちょっと・・・と言われても
以前にもご紹介したことのある患者さんです。
初診時の正面観です。
約1年治療しました。
齲蝕治療は勿論、ホワイトニングや臨床的歯冠長延長などもさせていただき、先日ようやく最終補綴が終了しました。
ただ患者さんから思いがけないお言葉が。
“なんだか綺麗にそろいすぎちゃって・・・”
えっ?
確かに個人の個性に合わせてステインをつけたり乱排することもありますが、初診時の写真を見せて中切歯に関してはおそらく揃っていたであろうことを説明いたしました。
私たちの常識では正中がそろって左右対称が美しいと思っていますが、なかなかそうもいかないケースもあるんだということを改めて認識いたしました。
歯科治療って奥が深い・・・・
本日30日(木)は午前中のみ診療いたしております。
よろしくお願いいたします。
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1年半ほどかかってしまいましたが・・・
一昨年の10月から通っていただいている患者さんです。
初診時の状態です。主訴は前歯をきれいにしたいということで、歯科医院を受診するのは10年ぶりとのことでした。
口腔内には無頓着な方かと思いましたが、臼歯部にはサファイアインプラントが施術されており、補綴はゴールド冠が入っていますのでデンタルIQは決して低くはない患者さんです。
今思えば、なぜもっと早く受診しなかったのか不思議でなりません。
やはり歯医者に来る、特に初めての歯科医院に来るというのはとても勇気が必要なことなんでしょうね。改めて考えさせられます。
結局この患者さんは欠損部にインプラント治療を希望し、前歯部もメタルボンドで修復しました。
このきれいな状態を長く続けていけるようにメインテナンスをしていきたいと思います。
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自家歯牙移植 ~その後のその後~
9月に移植した患者さんです。
その後良好に経過しています。
3ヵ月後のレントゲン写真です。
だいぶ骨も再生してきています。
最終補綴です。
これからメインテナンスを続け、できるだけ長くお使いいただけるよう望みます。
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臨床的歯冠長延長
先日ご紹介した患者さんです。
早速歯冠長延長術を行わせていただきました。
術後1週間の抜糸時です。
歯肉ラインを根尖側へ約2mm程下げました。
TEK(仮歯)の長さも修正しました。
術前の歯肉ラインと比べるとその違いが良くわかると思います。
あとは歯肉が成熟するのをじっくりと待ち、補綴処置に入ります。
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ジルコニアクラウン その4
23歳の美容師の患者さんです。
右上1番(向かって左側)が失活歯で変色しています。
オフィスホワイトニングとオールセラミッククラウンを選択していただきました。
左上の2番も失活歯で少し変色していますが、今回はとりあえず見送ることにしました。
残念なのはタバコの影響と思われる歯肉の変色です。
若い子にはピンクの歯肉がとても良く似合います。(若くなくても歯肉はピンクがきれいです)
歯はとても綺麗になりましたので、ぜひ禁煙をしお口の健康を取り戻していただきたいものです。
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ジルコニアクラウン その3
52歳男性の患者さんです。
初診時(今年7月)の口腔内写真です。
右上の1番(真ん中の向かって左の歯)が失活歯です。
写真ではわかりにくいのですが、歯の裏側からレジンを大きく詰めて修復してあります。
初診時のレントゲン写真です。
当然根管治療もやり直します。
根管充填後のレントゲン写真です。
そして最終補綴物が入りました。
だいぶ個性の強い色調でしたが、なんと綺麗に仕上がりました。
ヘビースモーカーの患者さんなので、線維性の歯肉であることが見た目でもわかります。
歯が綺麗になった記念に、ぜひ禁煙を実行していただきたいものですね。
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ソケットプリザベーション その2
以前紹介したソケットプリザベーションです。
インプラント治療をする方に限らず、将来その可能性がある方やブリッジでもより審美的に、高い清掃性を希望する方などに紹介させていただいています。
抜歯した後、できた穴に人工骨を入れたところです。
その上にコラーゲンでできた特殊なスポンジを置き、縫合します。止血効果もありますので、傷の治りもとても早く感じます。少しでも歯槽骨の吸収を抑え、より良い予後を期待します。
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オールセラミッククラウン&オフィスホワイトニング
以前にも登場していただいた30歳の男性の患者さんです。
ご自身の挙式を10月に控え、前歯を綺麗にしたいという主訴で来院されました。
オフィスホワイトニングと前歯2本をオールセラミッククラウンで補綴させていただきました。
綺麗になった前歯を末永く使っていただきたいものです。
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ジルコニアオールセラミッククラウン Lava
約1年ほど前から通っていた患者さんです。
某ホテルの新入社員として入社し、接客に携わるので前歯を綺麗に白くしたいという主訴で来院されました。
初診時の写真です。
とてもチャーミングな女性なのですが、やはり前歯は綺麗とはいえませんでした。
仕事時間が不規則なため、なかなか治療に通えない時期もありましたが、歯を白く綺麗にしたいという願望が強かったため、ホームホワイトニングと前歯2本をジルコニアオールセラミックで修復しました。
最近3M社のジルコニアLavaを使用していますが、とても適合が良いと感じています。
患者さんにも大変喜んでいただきました。もともととてもかわいらしい方だったのですが、素敵な笑顔で帰っていかれた姿がとても印象的でした。
オールセラミックは保険適応外診療です。
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ラミネートベニア
前歯というのは見た目を気にする方がとても多いですね。
ただ、歯の変色や歯と歯の隙間などを治すために歯を削って被せてしまうのは、ちょっと歯がもったいないように思います。
そこでほんの少し(0.5mm~0.7mm程度)歯を削って型を取り、非常に薄いセラミックの板を歯に貼り付ける方法が“ラミネートベニア法”です。
初診時の状態です。真ん中の歯の隙間を気にされていました。矯正という選択肢もありますが、治療期間や費用等検討された結果、ラミネートベニアを選択しました。
歯をほんの少し削った状態です。ラミネートベニアは通常もとの歯の色が透き通って見えるので、より綺麗に仕上げるため“オフィスホワイトニング”もされています。
セラミックを歯に接着したところです。非常に強力な接着材を使用しますので、剥がれたりする心配はほとんどありません。
多少歯の幅が大きくなりますが、患者さんにはとても満足していただきました。
ラミネートベニアは保険適用外です。
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キャラクタライズ
歯の色というのはとても複雑です。透明感の強い歯もあれば縞模様の歯もあり、前歯を修復するときはかなり気を使います。(前歯だけではありませんが・・・)
それでもなるべく自然に仕上げたいという要求をされる患者さんには特別に技工士さんに診療室に来ていただいて色を直接合わせていただいています。
ある患者さんの初診時の写真です。右上1,2番(向かって左側)にメタルボンドが入っています。メタルボンド自体はきれいに仕上がっていますが、いかんせんもともとの歯の色が複雑なためその2本が浮いた状態になっています。
宮下歯科医院で作製しなおした状態です。微妙な差こそあれ、初診時より周りの歯に調和しているのがお解りいただけるかと思います。
おそらくご本人もぱっと見ただけではどれがメタルボンドかわからないと思います。
その人の歯の色に合わせてキャラクタライズできるのもセラミックスの利点です。
技工は平沼歯科研究所の平沼光治氏によるものです。
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ハイブリッドインレー
奥歯の歯と歯の間にむし歯ができると、歯を削って型取りをして、銀歯を入れるのが一般的な保険治療です。
銀歯(金銀パラジウム合金)については以前のブログでもとりあげました。
特に見える部分は金属色を嫌がる方も数多くいらっしゃいます。そういった方にはハイブリッドインレーをお勧めしています。
左上4番と5番がハイブリッドインレー(MOD)です。
横から見ても金属色は全くありません。
4番を形成した模型です。こんな感じで歯を削り、型取りします。
ハイブリッドインレーは保険適応外診療です。
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オールセラミックスクラウン
近年口の中に金属を入れない修復方法が主流を占めるようになってきています。先日お伝えしたファイバーポストもその一例です。
歯に土台をたてた後に被せるわけですが、従来のメタルボンドとは違い、金属を使わない“オールセラミックス”という方法があります。
金属で裏打ちされていないので、透明感が自然で天然歯の色調を再現できる利点があります。また冠と歯のつなぎ目もきれいに仕上がります。
従来のオールセラミックスは強度的に多少問題がありましたが、当院ではジルコニアという非常に強度のある素材をコーピングに使用し、その上にセラミックを焼き付ける“ジルコニアクラウン”を採用しています。
ジルコニアは人工ダイアモンドとも言われるくらい強度が強く、最近ではブリッジにも耐えうるようになっています。型取りした模型をコンピューターに読み込ませ、ジルコニアのブロックを自動で削りだして作製します。(CAD/CAM)
その精度も年々向上しており、臨床に問題なく使用できるぐらいになっています。
普通のメタルボンドより手間がかかりますので多少高価ですが、金属をまったく使用しないので金属代のご負担はありません。
メタルボンド
前歯や小臼歯部の見える場所は白くしたいという患者さんが数多くいらっしゃいます。
前歯であれば保険でも白くできますが、その素材は硬質レジン(プラスチック)となります。この硬質レジンの最大の弱点は“変色”です。
私の経験では装着後1~2週間で艶はなくなってきます。1年もすると確実に黄ばんでしまいます。
それに比べてメタルボンド(セラミック)は色調の変化は起こりません。色も艶もきれいな状態をずっと保ちます。さらに当院では技工士さんが立ち会って色を確認するので、自分の歯と見分けがつかないくらいの仕上がりになります。
真ん中の2本が1年半ほど前に当院で入れたメタルボンドです。
現在もきれいな状態を保っています。
メタルボンドは金属のコーピングにセラミックを焼き付けていく方法です。金属を使わないオールセラミッククラウンはさらに透明感が出てきれいに仕上がります。
次回はオールセラミッククラウンの話です。