先月の眼科手術学会で眼形成外科のレクチャーを聴いてきました。
眼形成外科で扱う疾患は、おもに眼瞼(まぶた)、眼窩、涙器ですが、そのなかで最も頻度の多い疾患は、まぶたが下がってしまう「眼瞼下垂」です。
眼瞼下垂は、眼科の他、形成外科、美容外科でも取り扱われる疾患ですが、治療を行うには眼科一般の知識が不可欠です。
後天性の眼瞼下垂の原因には、筋原性(重症筋無力症など)、神経原性(動眼神経麻痺、ホルネル症候群など)、腱膜性(加齢性、コンタクトレンズ性)、その他(外傷など)があり、その中では「上眼瞼挙筋」と「瞼板」の接合がゆるむ腱膜性眼瞼下垂が多く見られます。この変化は加齢や、ハードコンタクトレンズを長期使用していた方にしばしば見られます。
上眼瞼縁から角膜反射までの距離が3.5mm以下だと、眼瞼下垂と診断されます。
腱膜性眼瞼下垂では、視野障害など視機能に障害がある場合は手術適応があります。しかしながら一部で眼瞼下垂があると交感神経の過緊張があり、肩こり、 頭痛、冷え性、便秘、不眠などの自律神経症状を引き起こすという理論が提唱されており、自律神経症状改善目的で手術が勧められている状況もあります。但し、この理論には明らかなエビデンス(科学的な根拠)がありませんので、over surgeryに注意する必要があると本学会でも指摘をされておりました。