11月7日(日)に日本抗加齢医学会の専門医講習会に参加しました。
5時間に渡る講習会ですが、多くの医師、医療従事者が参加されておりました。
その中のレクチャーでもテーマのひとつになっていましたが、有害ミネラル、特に日本人に高値でみられる水銀について簡単にご紹介します。
ミネラル(元素)には生命活動に不可欠な栄養素が多々ある一方、カドニウム、水銀、鉛、砒素、ベリリウム、アルミニウムなど人体い悪い影響を及ぼす有害ミネラルも存在します。
有害ミネラルによる急性の健康障害の例では、カドニウムによるイタイイタイ病、水銀による水俣病、砒素による和歌山カレー事件などが挙げられます。
軽度蓄積による慢性障害では、疲れやすい、肌荒れ、むくみ、イライラや集中力低下、便秘・下痢、冷え性などのいわゆる不定愁訴の原因となったり、不妊やガンの原因になる場合があるようです。
マグロなどをはじめとする有数の魚介類消費国である日本人は、欧米人に比べて水銀の体内蓄積が多いことが知られており、水銀蓄積による健康障害が心配されます。現在は毛髪による有害ミネラル検査でスクリーニングができ、私自身が以前測定した時には水銀が8.39ppb(基準範囲2.18~6.94)と高レベルでした。日本人は米国人に比べて10倍程度の水銀を蓄積しているようです。マグロなどの魚介類以外でも、歯科治療で用いられたアマルガムと呼ばれる金属なども水銀蓄積の原因になります。
しかしながら魚介類、特に青魚には抗老化作用や生活習慣病予防機能が注目されているEPAやDHAと呼ばれる不飽和脂肪酸を多く含むため、魚を食べないことは単純な解決策ではありません。但しある種の魚(マグロ、カジキ、キンメダイ、カツオなど)には水銀が多く含まれており、サケ、マス、サンマ、アジ、イワシなどには水銀が少ないということは頭に隅に入れておいても良いでしょう。
体内の有害ミネラルが高い場合はキレーションと呼ばれる治療で体外へ排出させることが可能です。従来キレーション治療は国内で認可されている薬剤がなく、輸入した医薬品が用いられていました。今回の講習会で、水銀の場合は初期老人性白内障治療薬として認可されている内服薬によりキレーションが可能であるということを知りました。
毛髪による有害ミネラル検査は当院でもご紹介できます。