カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
NYに暮らす長女からLINEで問い合わせがありました。
「ドヴォルザークの7番とブルックナーの5番、聴きに行こうかと思うんだけど、どっちがおススメ?」
そこで、個人的な印象で二つの交響曲のことを説明し返信したのですが、聴きに行くのはきっとニューヨーク・フィルなのでしょう。
「イイなぁ~、ニューヨーク・フィルがいつでも聴けるなんて・・・。」
と羨ましくて溜め息が出ました。
もし東京に居れば、別に来日する海外の有名オケに高いチケットを買って行かずとも、安いB席やC席のチケットでも良いので、読響やN響、都響といった国内のメジャーオーケストラを、聴きたい曲目や指揮者、独奏者で選んでいつでも聴きに行くことが出来ます。
しかし都会と地方との“文化格差”は大きく、“楽都”とも云われ田舎の地方都市としては比較的恵まれている松本であっても、なかなか「これは!」という演奏会はそうそうあるものではありません。
因みに今回の松本公演の指揮者が、当初予定されていた沖澤のどか女史が出産直後ということもあってキャンセルになり、東混のConductor in residenceの水戸博之氏に代わってしまったのが松本市民としてはちょっぴり残念ではありましたが、オメデタ直後では致し方ありません。むしろ出産を控えた中で、良くぞ8月のOMFでSKOを、しかも予定された指揮者の急な降板のためのブラ1&2の代役も含めて振ったと感心するばかりです(どうぞ、お大事に!)
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今年の9月に96歳で死去された桂冠指揮者の田中信昭氏は、亡くなる直前の8月まで東混の指揮台に立たれ、またこれまで多くのアマチュア合唱団の指導もするなど、我が国の合唱指揮の第一人者であり続けた、まさに合唱界の重鎮でした。
そして、東混といえば既に250曲を超えるという委嘱曲が有名で、その中には合唱曲の定番レパートリーとして、私も高校や大学の学生時代に合唱団で歌った混声合唱組曲で、佐藤眞作曲「蔵王」や「旅」、「大地讃頌」が終曲のカンタータ「土の歌」、そして高田三郎「わたしの願い」や中田喜直「海の構図」など、今でもアマチュア合唱団に歌い継がれる多くの合唱曲もその中に含まれています。
因みに、日本を代表する合唱団として海外公演も何度もしている東混の英語表記がMixed Chorusではなく、ベルリンフィルやNYフィルなどオーケストラに使われるPhilharmonicが用いられているのが少々気になったのですが、Philharmonicには「音楽愛好家」という意味もあるのだそうで、“音楽を専門とする人たちによる合唱団”ということで、結成当時(1956年は私メの産まれた年!)はまだ珍しかったであろうプロの合唱団としての、云わば“設立趣意書”であろうと勝手に理解し納得した次第。
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この日のステージの進行は、東混の事務局長の秋島さんが手慣れた感じで曲目紹介を含め担当されました。因みに、東混の松本への来演を知ったのを切っ掛けに時々見る様になった、YouTubeの「東混日記」。その撮影編集を担当されている村上さんのお姿が見えませんので、残念ながら東混のYouTubeでは今回の公演は取り上げて貰えないかもしれません・・・。
さて、続いて東混の団員がステージに現れての合唱は、クリスマスに相応しい曲をとのことで、そのままオルガン伴奏で、お馴染みの「主よ、人の望みの喜びよ」と「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。そして、ピアノ伴奏も加わって、マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から「復活祭の合唱」。
今回の演奏会を「松本公演」と銘打ってある通り、この日の東混は全部で26名とほぼフルメンバーでの来演(コンマスのソプラノ松崎さんは所用か、姿が見えませんでした)。さすがは全員が藝大声楽科を始めとする音大出のメンバーで、オペラのソリストも務められる様なプロの声楽家の皆さんですので、26名の声量はその人数の倍、否三倍以上のアマチュア合唱団のそれに匹敵します。しかし何と言っても一番の魅力は、その声量の豊かさではなく、むしろ最弱音のppp(ピアニッシシモ)です。響きの良いこの音文ホールの天井から、まさにハーモニーが静かに降り注いで来るかの如き美しさ。そして絶対音感をお持ちの筈のプロの方々ですのでむしろ当たり前なのですが、学生時代に合唱をやっていた身からすると、途中からピアノが入って来ても全くピッチがずれていないのに何度も感動してしまいました。
続いての第二部が「東京混声合唱団が送るシアターピース」として、東混の1973年の委嘱作である柴田南雄の「追分節考」。まさに東混の十八番とも言って良い難曲で、一人一人がプロの声楽家である東混だからこそ歌える曲であり、殆どのアマチュア合唱団では演奏困難です(決して自分たちだけの自己満足ではなく、聴衆にチケット代金を払って聴いて貰える水準として演奏するのは)。
この曲は指揮者がその場で考えて掲げる和声や旋律、歌い手などを示す数字や文字に合わせて即興的に組み合わされていくのですが、男声は馬子としてステージではなく、ホールの中を歩きながら歌いながら歩いて行きます。そしてそこに尺八も馬子と一緒に演奏に加わります。この日もいつも東混の「追分節考」で海外公演含め共演されている尺八演奏家(関一郎氏)だそうです。
その意味では700席という音文はホール全体を響かせられるので、「追分節考」演奏には相応しいホールなのかもしれません。しかも大元の「信濃追分」の舞台である、この信州の地で演奏することに意義があるとのことでした。YouTubeで鑑賞出来る「東混オールスターズ」コンサートでは、ロンドンから音楽監督である“ヤマカズ”こと山田和樹氏がPC経由で指揮をしていましたが、今回初めて生での演奏を聴くことが出来ました。会場の通路を馬子に扮した男声陣が練り歩くかの様に歌うので、恐らく聴衆一人一人の席で聴く歌声の強弱が違うであろうこの曲の、会場で聴く生演奏の面白さと共にプロの合唱団の凄さを改めて実感した次第。
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また、讃美歌でソロを歌われたのが、山形村生まれで松本蟻ケ崎高校出身というアルトの小林裕美さん。司会の秋島事務局長曰く、彼女にとって子供の頃から慣れ親しんだこの音文での、故郷松本への待ち焦がれた凱旋公演がこの日漸く叶ったとのこと。客席から一際大きな拍手が小林さんのソロに送られました。
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「小さな空」は東混のYouTubeでも聴くことが出来ますが、アンコールの2曲目で「これが本当に最後です」と言って歌われたこの曲は初めて聴く曲でした。
その「ミヨタ」という“不思議な”題名に惹かれてネットで調べてみました。すると、ミヨタとは信州の軽井沢の隣の御代田町のことだったのです。そこに武満徹氏の山荘があって、そこで氏が何曲も作曲したのだと知りました。
そして更に調べてみると、御代田町のサイトの中に、次の様な記事を見つけました。少し長くなりますが、以下抜粋にて引用させていただきます。
『その曲は武満氏が、作曲家「黛 敏郎」氏のアシスタントをつとめていた時の作品で、悲恋のメロドラマのワンシーンで使用するためのBGMとして書き上げたそうです。
武満氏の生前にこの楽曲が世に出ることはありませんでしたが、彼の葬儀の折、黛氏がその曲について「余りに素晴らしいので映画に使うのが勿体なくて、ひそかに私が使わずにとっておいたものです。私はあらゆる音楽を通じてこれほど哀しい曲を知りません。いうならば哀しみの表現の極致といえるでしょう。」と弔辞で語り、二人しか知らないこのメロディを何度も口ずさみ霊前に捧げました。
そしてのちに、この9小節からなる旋律に谷川俊太郎氏が詞をつけ「MI・YO・TA」を誕生させます。
「MI・YO・TA」は武満氏が20代で作曲をした大人の憂いを感じさせる作品ですが、今、御代田町内で少年少女合唱団が歌い継いでいます。』
知りませんでした。初めて聴いて「イイ曲だなぁ・・・」と感動し、このブログを書くにあたって後日ネットで調べた結果、この日の選曲がわざわざ「松本公演」と掲げたことをふまえたであろう、なかなかの深慮遠謀なるプログラム構成で、「追分節考」や「早春賦」だけではなく、当日のアンコールに選ばれた二曲とも信州に縁があったことを知りました(YouTubeで沼尻竜典介指揮で東混の歌う「MI・YO・TA」を聴くことが出来ます)。
2曲のアンコールが終わっても鳴り止まない暖かな拍手に、団員の皆さんは手を振りながら袖に下がって行かれました。
「プロの合唱団て、凄いなぁ・・・。」
そんな感動とアンコールの素敵な曲の余韻とで、とても暖かな気持ちでホールを出ると外は雪で真っ白。松本にしては少し早い雪ですが、クリスマスに因んだこの日の演奏会をまるで歓迎するかの様で、雪さえもこの日は少し暖かく感じました。
前回ご紹介させて頂いた様に、PCのオーディオ面強化として購入したPC用のアクティブスピーカー Creative Pebble V2。
僅か3000円足らずでの音質強化や、その使い勝手には非常に満足していますが、前回も記載した様に、唯一の個人的不満は「スピーカーグリルが無いこと」・・・でした。
終活に向けて実家と家を処分して、僅か100㎡の4LDKの狭いマンションへ引っ越すにあたり、設置面積が広くスペース効率の悪い長岡式の傑作バックロードホーンスピーカー「D-101スワンa」は泣く泣く手放してしまったのですが、シンガポール赴任時に自作したこのD-101スワンは、オリジナルではスピーカーグリルが無く、生まれてすぐ帯同した次女がよちよち歩くようになった時に、きっと音の出る部分が不思議だったのでしょう、スプーンで叩いてスピーカーユニットのコーン紙が凹んでしまいました。そのため、その後帰国した折、秋葉原で交換用にオリジナルのFOSTEXの10㎝フルレンジスピーカーユニットFE106Σとそれに適合するスピーカーグリルを購入し、その後マンションへの引っ越し時に手放すまでの25年間、我が家のメインスピーカーとしてずっとリビングに鎮座していました。
また、自作ではなく購入したスピーカー、40年以上も経った現在でもメインのKENWOODの前身時代のTORIO LS-202や、サブシステムのKEFのトールボーイCoda‐9もそれぞれ木枠をサランネットで覆ったスピーカーグリルが付いています。
こうしたスピーカーグリルは、スピーカーを保護して音質を維持するために使用される部材。 スピーカーユニットの音が出る部分を覆うことで、埃などからスピーカーユニットを保護することが出来き、結果としてスピーカー寿命を延ばすことができます。
一方、スピーカーグリルを外すメリットは、一般的には音質(特に高音域)がクリアになる、見た目がスマートになると云われています。
スピーカーのネットを通さずに直接スピーカーの音が耳に届くため、スピーカーグリルを装着している時よりも音がクリアに聞こえると云いますが、これは見た目も含めて、人の好み次第で好き嫌いが分かれます。しかも果たしてそれ程鋭敏な耳を持っているのかどうか・・・。少なくとも私自身は長女の様な絶対音感も持ち合わせていませんので、個人的にはスピーカーグリルがあった方が良いと思っており、先述の自分で取り付けた自作のスワンを始め、市販のスピーカーもスピーカーグリルを装着したまま音楽を聴いてきました。
むしろ私が一番気になるのは埃。長年外したままだと、特にスピーカーユニットのコーン紙などの振動板にハウスダストが溜まって経年劣化が進んでしまい、やがて音質面にも影響が出てしまいます。
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スピーカーユニットの大きさに合わせてスピーカーグリルが色々市販されているのですが、これらは皆D-101スワンの時に秋葉原で購入したモノと同様に、自作するスピーカーの部材はシナ合板や集積材などの木製ですので、スピーカーグリルの丸い金属のフレーム枠に穴が開いていて、自作スピーカーの板材に木ねじで留めるタイプ。従って木製ではないCreative Pebbleには使えません。
色々探してみると、我が家のスピーカーもそうですが、純正の木枠のスピーカーグリルが経年劣化で穴が開いたり破れたりした場合などの修理用に、メッシュ状のサランネットも売られています。修理用にこれを購入して、スピーカーグリルの木枠に合わせてカットして自分で張り替えるのですが、云わばサッシの網戸修理と同じです。
ただスピーカーグリル用のサランネットはサイズが汎用で大きいので、
スピーカーユニットのドライバーが僅か2インチのCreative Pebbleには大き過ぎて無駄です。そこで代わりになるモノを探していたら・・・ありました!
それこそ、網戸修理用の補修シールです。これならDIY用のホームセンターだけでなく、100均ショップにも売っています。
Creative Pebbleの2インチのユニットのコーン(振動板)部分をカバーするには最低でも直径6㎝の円形サイズが必要なので、中に90×90サイズの3枚組の補修シールがあり、これを購入することにしました。
また調べて行く中で、ネット情報の中に同じく100均ショップで売られているメッシュケースを切ってスピーカーグリルとして代用したという記事があり、併せてこれも探して、白黒、大小色んな種類やサイズがあった中で、一番網目の細かかった黒のA4サイズを購入し、どちらか合う方で自作してみることにしました。
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網戸補修シールは色がグレー、メッシュケースは黒。Creative Pebble V2はブラックを購入したので、色的には黒いメッシュケースの方が合いそうです。
そこで先ずメッシュケースをバラシて、円形の型紙に合わせてハサミで丸く裁断します。
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物置に使っている部屋の空きスペースを、ミニ書斎的に“男の隠れ家”として使っていることは既にご紹介した通りです。
そこでは、メインシステムであるリビングルームのマランツのネットワークレシーバーM-CR612に対し、ミニコンポのKENWOODのK-521 のオールインワンのレシーバーをサブシステムとしてKEFの3WayトールボーイCoda-9に接続しているのですが、K-521は10年ほど前に購入した古いモデルでネットワークオーディオではないので、例えばYouTube音源はPCからK-521へアナログ接続で聴いています。ただ、YouTubeの音楽配信ではなく、例えばグルメや観光地情報などを映像をPCで見る時には、わざわざスピーカーから聞くのも大袈裟なのでPCの内蔵スピーカーかイヤホンで聞いています。しかしそれだと、PCの内蔵スピーカーの音は“しょぼい”し、イヤホンだと音自体はそれよりはイイのですが、個人的に耳を塞がれるのは生理的にあまり好きではありません。
そこで、無駄遣いと云われればそれまでですが、PCからの音をもう少し改善することにしました。ツールはアクティブスピーカーです。
アクティブスピーカーとは、スピーカー内部にアンプを搭載している製品です。最近人気のBluetoothスピーカーや、イヤホン端子に挿して使えるPCスピーカーの大半は、このアクティブスピーカーです。
片や、K-521に繋げて聴いているKEFのCoda-9などの“通常の”スピーカーは、パッシブスピーカーです。このパッシブスピーカーとはアンプを搭載していないスピーカーなので、アンプと接続してアンプ側で音を増幅し音量を調整する様に作られています。従って、パッシブスピーカーを使用する場合には、必ずアンプに接続して使用する必要があります。
これに対し、アクティブスピーカーはスピーカーに小さなアンプを内蔵しているため、PCに繋げば直ぐに音を聞くことが出来ます。但し、アンプが小型のため、音質や音量に制約があり性能面では劣りますが、簡単に接続が出来、小型のスピーカーが多いので省スペースでスペース効率が良く、そして何より価格が安いモデルが多いのがメリットです(勿論高価なハイエンドモデルもあります)。
特にコロナ禍での在宅勤務やゲーミングPCで、テレワーク時のWeb会議での音声やゲームでの効果音など、PC内蔵のスピーカーでは聞き取りにくかったり音質が低かったりするのを改善するために、お手軽なアクティブスピーカーを使うケースが増えて来たのだそうです。(下の写真2枚はH/Pからお借りしました)
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このクリエイティブテクノロジー (Creative Technology, Ltd.) という会社は、シンガポールに本社を置く多国籍のマルチメディア機器製造企業で、スピーカーやヘッドフォンなどの音響機器を手がけていて、日本法人はアイ・オー・データとの合弁会社だそうです。因みに、創業者はシンガポールのニーヤン・ポリテク(日本で云う高専)出身とのことですが、シンガポール赴任中に技術スタッフの採用面接で良く聞いた懐かしい名前だったのも選んだ理由かもしれません。
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『人気のUSB電源スピーカー Creative PebbleがUSB Type-C電源に対応しパワーアップ!総合8W RMS/ピーク出力 16Wのパワフルサウンドをお楽しみ頂けます。
リスナーへサウンドがダイレクトに伝わるよう、スピーカードライバーを45°の上向きに配置し、パーソナルリスニングに適したサウンドステージを実現。また、スピーカー背面にパッシブラジエーターを備え、重低音の効いた奥行きのあるサウンドを再生します。』とのこと。
オンラインでは3000円程ですが、近くの松本のK’sデンキにもちゃんと「PCスピーカー」コーナーがあって(エディオンには殆ど無し)、このCreative Pebbleを含め20機種程各社のモデルが並んでいたので、オンラインよりも価格は少し高かったのですが、せっかくなので地元で購入することにしました。店頭価格は税込み3300円でしたが、K’sデンキの“安心パスポート”があるので5%Offの3135円で購入出来ました。
因みに、他に検討したPCスピーカーの候補モデルは、実際にK’sデンキにも実物があった、日米の老舗のオーディオ専門メーカーである、先ずオーディオテクニカのPCスピーカーの中で同額クラスのAT-SP95(3000円弱)とJBLのPebbles(7000円程度)でした。
オーディオテクニカのモデルは所謂箱型で高さ20㎝程の小型スピーカーなので、ちょっと“かさ張る”一方で音量が2wしかなく、またJBLのPebblesは同じタイヤの様な形状で(Pebbleとは英語で「小石」或いは「小さな玉石」という意味だとか)、この中では一回り大きくて音量も25wでDAC内蔵の、高音質な“JBLサウンド”モデルで且つBluetoothスピーカーでもあるのですが、“ミニ書斎”での音楽専用スピーカーはKEFがあるので、そこまで音に拘らなくても良いかと思い、またレビュー上、JBLのそれはスピーカー側の初期設定の音量が“爆音”で設定上難があるとの評価も、書斎でのPCとは別のKEFも繋げているので都度の音量設定が気に掛かり、結局コスパでクリエイティブを選びました(Creative Pebbleシリーズの中にも、上位モデルにはBluetoothスピーカーやDAC内蔵モデル、更にサブウーファー付きモデルもあります)。
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電源はUSB接続でPCから取れるので、コンセントに差す必要もなく、机上がスッキリします。またUSBからの電源供給はPCの電源On / Offと連動しているのが何よりも便利です。
Creative Pebbleの形状は直径11㎝程の球体を斜めにスパッと切った様な形で、とてもコンパクト。この斜めというのが、PCの左右の机上に置いて作業者の耳に向けた45°で聴くことを前提にしています。
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6月30日。この日の早朝、家内がまた横浜の次女の所へサポートに出掛けて行きました。
暫くはまたコユキと私メだけの生活です。いつもは家内にべったりのコユキも、この二人しかいない状況を理解すると彼女なりの諦めもつくのか、コユキなりのツンデレ気味ではあるのですが、ゴロニャンならぬゴロワンとすり寄ってきます。但し、大好きな家内が戻って来ると、それまでの恩義(何宿何飯かの義理・・・)など即忘れてしっかり元に戻るのですが・・・。
さて、そんなコユキに独りでお留守番を頼んで、この日の午後私メは一人でお出掛けです。
この日マチネでの松本室内合奏団の第63回定期演奏会を聴きに、ザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール、略して音文)に行って来ました。
松本室内合奏団(英語表記も室内管弦楽団のChamber orchestraではなく Matsumoto Chamber Ensemble)は2管編成の地元のアマオケですが、8年前に一度同じく音文での定演を(その時はプログラムのエルガーのチェロ協奏曲を生で聴きたくて)聴きに来て、その時のチェロ独奏には正直些かがっかりしたのですが、いくら“楽都”松本がスズキメソードの本部とはいえ(夏休みになると、小さなバイオリンのケースを提げた世界各国の子供たちが駅前通りを歩いています)、その後のメインの“ブライチ”でのアマチュア離れしたオケの巧さに正直驚いていました(第1108話)。
そして昨年も、演奏会で取り上げられることの少ない同じくブラームスのハイドン・バリエーションを生で聴きたくて、チケットを購入していたのですが、その時はまだ東京に居た長女の所に行く用事が急に出来てしまい、チケットは妹にあげて自分は残念ながら聴けませんでした。
今回は、SKFにも参加している京都市交響楽団(京響)主席の山本裕康氏が指揮振りで、ハイドンのチェロ協奏曲と彼の指揮でのメインがシューベルトの「グレイト」というプログラム。2月のN響の松本公演以来の久しぶりのコンサートですが、両曲とも楽しみにしていました。
1曲目のハイドンのチェロ協奏曲第2番ニ長調。生で聴くのは初めてです。ハイドンらしい優雅な旋律。今回のチェロ独奏は京響のチェロ主席を務める山本裕康氏。SKFにも参加されており、松本でもお馴染みです。前回がっかりしたエルガーの時とは違い、さすがでした。なお、今回は指揮がメインなのか、独奏者のアンコール曲の演奏はありませんでした。
休憩を挟んで、後半にメインのシューベルトの交響曲「ザ・グレイト」。昔は9番もしくは発表順で7番とされてきましたが、今回は8番となっています。
これは、シューベルトは生涯に計6曲の交響曲を発表したのですが、シューベルトが死去して10年後の1838年、作曲家のシューマンがシューベルトの「新しい」ハ長調の楽譜を初めて発見し、彼の依頼を受けたメンデルスゾーンが手兵のゲヴァントハウス管で初演しました。そして、この曲はシューベルトの第7番の交響曲と呼ばれるようになり、後年になって楽譜出版社により先に発表されていた規模の小さい第6番の同じハ短調の交響曲と区別するために、「大」ハ長調という意味で「グレイト(The Great))」と名付けられました。
しかしその後、1865年になってシューベルトのもう一つの2つの楽章だけが完成された交響曲が見つかり、「未完成」と名付けられます。書かれた順番からすると、ハ長調の交響曲より先だったのですが、既に「第7番」はあったため、「第8番」の交響曲「未完成」と呼ばれるようになりました。従って、昔小学校の頃?だったか、音楽の授業での習った「未完成」は、個人的にはどうしても8番というイメージが拭えないのですが・・・。
しかし、作曲順で云えば「未完成」の方が早いことから、グレイトの方は7番とする場合も注釈付きで9番と併記されたり、或いは「未完成」の飽くまで後ということを強調する場合は敢えて9番とも呼ばれたりしていました。
しかし最近では本来の完成順で呼ぶ方が主流となっており、有名な「未完成」が7番、この「グレイト」を8番とする方が多い様で、今回のプログラムもそれに倣い8番と表記されていました。
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第一楽章、冒頭のホルンのパートソロから始まります。管楽器の中で一番難しいとされるホルンですが、なかなかお見事。
そして、第二楽章冒頭で主旋律をソロで奏でるオーボエ。ハイドンのコンチェルトの時から感じていたのですが、オーボエが活躍するこのグレイトでは柔らかで滑らかな音色のオーボエの旨さが際立っていました。パンフレットのメンバー表では、プロの助っ人であろう賛助会員は今回1stVn、Cl、Tbにそれぞれ1名ずつでしたので、ホルンもオーボエも皆さんオリジナルメンバーでアマチュアなのでしょうけれど、練習の成果とはいえ本当に素晴らしい演奏でした。
松本が“楽都”と呼ばれるのはSKOが松本に来る前からであり、むしろスズキメソードの本拠地であることが本来はその理由ですが、メンバーの中にはメソードの先生方も弦楽パートにおられる様で、生徒さんと思しきお子さん方がたくさんお母さん方と一緒に聞きに来られていました。ですので、弦が玄人はだしなのは当然としても、管楽器群の演奏にも拍手でした。
このシューベルトの「グレイト」は、ベーム指揮SKドレスデン盤のCDを持っているのですが、以前生で一度聴きたくて選んだのが、信州からではマチネでしか日帰りが無理なので、8年前のインバル指揮都響の東京芸術劇場の大ホールで週末に行われているマチネシリーズでした。その時の都響は倍管でしたが、今回は楽譜通りでオリジナルの2管編成。ですので、作曲された当時は室内管での演奏が本来であり、音響の良いこの700席というどこで聴いてもまるでS席の贅沢な音文ホールには相応しい演目なのかもしれません。
昔、懇意にさせていただいたマエストロ曰く、
『演奏会に向けた練習時間が長く取れ、全員が真摯に集中した時のアマオケの演奏は、ややもするとビジネスライクで無味乾燥的になりかねないプロオケの演奏をも時として凌ぐ。』
昔、マエストロに対して「えっ、アマオケを振られるんですか?」と怪訝/不遜な態度で失礼な質問をした私に、尊敬するマエストロから諭すように穏やかに言われて自分の無知を猛省したことがあるのですが、この日の演奏を聴きながら今回もその言葉を思い出していました。
勿論、それを引き出すのはオーケストラビルダーとしての指揮者の力量だとしても、この日の山本裕康指揮松本室内合奏団の演奏にも大拍手です。
この日はカーテンコールだけでアンコール演奏はありませんでしたが、例え地方都市でも“楽都・松本”の実力に十分納得し、大いに満足出来た演奏会でした。ブラァボ!
以前もご紹介したのですが、マンションに引っ越してきて以降、鉄筋コンクリート構造故かマンションのFM受信状態が劣悪で、4LDKの中で北の通路側しか受信出来ないため、アンテナを張る場所的に通路側に近い壁側のコーナーに設置している机の上のどこかにオーディオ本体も置かざるを得ず、そのためこの一体型のポータブルコンポが、物置部屋兼“男の隠れ家”的ミニ書斎での唯一のFM受信可能ツールです。
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その部屋の中の空いたスペースを私メの“ミニ書斎”的に“勝手に”使っても良いということなので、その結果限られたスペースと空間の有効且つ効率的活用のため、購入した机上ラックの下にノートPCを置き、その上部に出来た二段の棚の上に一番小さなオールインワンタイプのポータブルココンポを乗せています(これも後述するK-251 同様KENWOODの製品なのですが、カタログ上は“コンパクトハイファイコンポーネントシステム”との表記。昔でいうラジカセの様に、レシ―バー本体とCDプレーヤー、スピーカーが一体で、USBと昔のiPodも視聴可能)。
その結果、一応受信は出来るのですが何とか聴けるというレベルで、受信時のサーノイズなどの雑音も殆ど気にならなかった沢村の一戸建ての時と比べると、マンションの受信状態は雲泥の差です。
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一戸建ての時にはFM放送を快適に視聴していた、このKENWOODのレシーバーなのですが、当時記載したブログから抜粋すると、
『K-521のレシーバーは、多分チューナー部分にかけるコスト的余裕がなかったのでしょう(それに加えて、付属の安物の簡易アンテナのせいもあるのか)。ネットでのレビュー記事では、「元々チューナーからスタートした音響メーカーにあるまじき受信状態の悪さ」との酷評もあり、購入時に然程期待していなかったFM放送でしたが、我が家の場所の電波状態が良いのか、階下のポータブルオーディオよりも遥かに鮮明に受信出来て、これまた満足でした(さすがに、スピーカーに近付くとサーノイズが聞こえますが、リスニングポジションで離れて聴く分には全く気になりません)。また、アダプター(iPod Dockが第5世代までの対応のため)を下のポータブルオーディオとの兼用でiPodを聴いてみると、ポータブルと比べては失礼ですが、左右独立のデジタルアンプと変更したKEFのCoda-9の威力か、低音を含めさすがに良い音がします。このデジタルアンプなら、レシーバーとして別スピーカーでも十分にドライブできそうです(実際に、後継のK-531は、直販のみですが単体レシーバーとしても販売されています)。』(第737話)
ですので、FMの受信状態は受信機器の性能よりも、むしろその構造体と受信場所(FM放送送信アンテナからの位置)に大いに影響を受けるのでしょうか。
以前住んでいた高台の沢村の一戸建ての木造2階の建物と、現在の市街地の鉄筋コンクリート6階建てのマンションを比べた時に、以前は良好だったそのKNWOODのレシーバーも、また建物の南東に位置する4LDKのリビングに置いてある現在のメインシステムであるマランツのネットワークCDレシーバー M‐CR612でも(10年前に購入したK-521のレシーバーに比べて遥かにスペックは上ですが)、どちらも全くFMが受信出来ないのです。
昔は市販されていた室内専用FMアンテナも、今では需要も無いのか、ネットで探しても(家電量販は言わずもがなで)見つからず、結局FMチューナーやチューナー内蔵のプリメインアンプに附属の簡易型のFMループアンテナを使うしかありません。
八木アンテナなど、屋外に設置する専用のFMアンテナも無いではありませんが、そこまでコストを掛ける必要が果たしてあるのかどうか・・・?
というのも、FMと言っても私が聞きたいのはクラシック番組なのですが、半世紀近く前の昔の学生時代から若手の社会人時代頃に2週間の番組表が載ったFM雑誌を片手に、当時はたくさんあったクラシック番組の放送予定から指揮者やオーケストラ、録音年など内容をしっかり事前に調べては、今や死語となった“エアチェック”で、レコ芸で特選となった新録音のLPや海外音楽祭のライブ録音などを、平日の昼間であればオーディオタイマーを使ってカセットテープに留守録音までしていた頃と比べると、現在のFM放送はクラシック番組が極端に少なくなってしまいました(公共放送なんだから、クラシック、JazzやPopsといったジャンル別の専門チャンネルがあっても良いと思うのですが・・・)。
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そこで、NHKのFM放送を聴く時は、事前にチェックをして聴きたい曲や演奏が見つかると、Bluetooth機能を活かしてスマホでNHKのインターネットラジオ「らじるらじる」検索し、Bluetooth機能を活かしてM- CR612に接続してNHK-FMを聴いています。
でも、もし聞き逃し配信可能な中に気に入った番組があれば、過去に放送された番組をある一定期間聴くことが出来るので、その内容を事前に確認して、自分の聴きたい曲や聴きたい演奏者の録音を、いつでも好きな時に掲載中は何度でも聴くことが出来るのでとても便利です。
因みに書斎のKENWOODのレシーバーは10年前の製品なので、ネットワークオーディオではありません。従って「らじるらじる」でFM放送を聴くことが出来るのはリビングのメインシステムのみです。
家内がリビングにいる時はオーディオは聴けない(奥さまは興味関心が無い)ので、聴くことが出来るのは(有難い時もあれば不便な時もあるという意味で、幸か不幸か)彼女のいない時だけですが・・・。
因みに、私が「らじるらじる」で専ら聞いているのは、以前の「クラシックカフェ」から改編された「クラシックの庭」という番組。本放送は月~木の14時からで、再放送が同じく一週間遅れ位で朝の7:25から。因みに以前は毎週聴いていた「きらクラ」は、改編後「かけクラ」となってMCも交代になった結果、興味を失して全く聴かなくなりました。
もちろん「らじるらじる」はNHK‐FMだけではなく、ラジオ第1や第2放送も視聴可能です(好きな方は、例えば「ラジオ深夜便」などもネットで聞くことが出来ます)。
またCMが入りますがJ-Popsに強い無料のサブスク(有料だとCM無し)もありますし、また昭和のJポップスも歌謡曲もありますので、若者だけではなく、我々シルバー世代も(特に年金生活者は)絶対にネットワークオーディオを使わなくては勿体無い!・・・と感じています。