カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 娘が以前京都滞在中に地元の食通の友人に連れて行ってもらって以来、京都に来ると必ず行くという地元の食通の方々に評判の割烹と共に、今回娘が我々を連れて行ってくれたのが、同じく「瓢亭別館」の朝粥でした。
奥さまは昔娘に連れて行って貰い、また次女が二人目の孫が生まれる前に皆で一緒に京都へ来た時も、私が孫を見ている間に、彼女のリクエストで「朝粥」を母娘三人で食べに行ってもいるのですが、お粥は多分に男性よりも女性に受けが良いのだろうと思い、私はこれまで一度も食べに行ったことはありませんでした。
今回も正直二の足を踏んだのですが、娘が予約サイトを通じて予約してあり、既に決済済みで人数を減らすなどの変更は不可とのこと。そこで止む無く、予約通りに皆で行くことになりました。 

  「瓢亭」は江戸時代に南禅寺参道の腰掛茶屋として暖簾を揚げたのが始まりで、400年以上の歴史を持つという京都でも屈指の老舗料亭であり、ミシュランの3つ星を15年以上も連続維持している、日本を代表する京料理・茶懐石の名店です。
以前NHKのBSだったと思いましたが、正月準備をする京都の老舗の様子を取り上げた番組で、伝統的な正月用の各種料理の出汁を取る様子で紹介されていたのがこの「瓢亭」でした。それ程に、今やユネスコの無形文化遺産にも認定された「和食」の京料理を代表する料亭の筆頭格でもあります。
場所は蹴上の無鄰菴のお隣。住所は南禅寺草川町で、「瓢亭」の店名の横には今でも創業の由来を示すように「南禅寺畔」と付記されています。土塀に囲まれたお屋敷の中に本店と別館があり、朝粥は別館で供されます。ただ本店でも真夏の二ヶ月間だけ、別館とは少し内容を変えて(値段も上がり、アユの塩焼きなどが加わり)食べることが出来るのだそうです。
 朝9時。入口前の道には打ち水がされていて、店のシンボルの瓢箪が染め抜かれた茶色の暖簾をくぐって、良く手入れされて静けさ漂う前庭の石畳を通って玄関へ。仲居さんに案内されて、囲むように中庭を挟んで二部屋ある食事処の部屋の予約席へ向かいます。本館は一室毎の畳の個室とのことですが、別館は6卓程の大小のテーブル席で腰掛けて座る様になっています。
奥さまに依れば、以前来た時は二回共外国人観光客も含め満席だったそうですが、今回は窓越しに見える別の部屋に一組、そしてこちらの部屋には我々だけの二組(途中でもう一組来られ、朝粥は三交替で一時間の時間制とのことですが時間内に3組だけで、インバウンド半減の影響なのか家内も大層驚いていました。そう云えば今回の滞在中、京都の天ぷらの名店という「圓堂」岡崎店の横を夕食時に歩いていた時に、こちらも一組しかお客さんがおられず家内が驚いていましたが、一時期とは様変わりとのこと)。
 着物を着た年配の仲居さんが、最初に梅干しと昆布が数枚入った一口の梅湯を持って来てくれ、最初食べる前に先ずはサッパリと口の中を整えるということなのでしょう。
ところで、学生時代の京都で一番しっくり感じられたのは、例えば芸妓さんや舞妓さんは生粋の京女ではない方が多いので、むしろ旅行者に道を聞かれた時などに着物を見事に着こなされた地元の老婦人の話される京都弁でしたが、こちらの年配の仲居さんの京言葉も実にしっくりと馴染んで聞こえ、今京都にいることを耳でも実感しました。
因みに、この時間帯に接客を担当されていた仲居さんは三人で、内一人はマレーシアかインドネシア出身と思しき若い女性。その所作や言葉使いはさすが老舗でしっかりと指導と躾がされていて、他店のヘタな日本の若いコよりも余程キチンとして見事でしたが、何年後かの海外出店のための準備ならともかく、もし人手不足が瓢亭の様なこんな老舗にまで及んでいるのだとすれば、元人事担当者の性とはいえ、何だか考えさせられてしまいました。
 閑話休題。さて、続いてお茶が香ばしいほうじ茶に代わるといよいよ食事になって、最初に八寸と瓢亭らしい瓢箪型に重ねられた3段のひさごの器がお膳に載って運ばれてきます(因みに“ひさご”とは瓢箪のこと)。
八寸は取肴と半熟具合が絶妙なその名も“瓢亭玉子”が美しく盛り付けられ、瓢箪の形をしたひさごの三つ重ね鉢には、和え物、蒸し物、炊き合わせなどが月替わりであしらわれていて、食材や月毎にメニューが替わるそうです。
江戸の茶店の頃から出しているという、名物の瓢亭玉子。今ではラーメンでも珍しくはない黄味がトロっとした半熟卵なのですが、薄っすら醤油ベースの出汁が利いているのがさすがです。
(以下写真を見ながら思い出しているのですが、もし記憶が違っていたらご容赦ください)
八寸には京らしい押しずしと、これまた名物という“ぶどう豆”。見事な大粒で、最高級の丹波の黒豆なのでしょうけれど、全く皺が寄らずに炊いたばかりのようにふっくらとしているのに驚きます。絵札の形をした伊達巻には今年の干支の馬の焼き印が押され、他にも子持ち昆布など正月らしい品が並んでいます。
 そして三つ重ねの鉢。和え物と蒸し物、そして京野菜中心の炊き合わせ。特に印象的だったのは二段目の蒸し物です。魚の種類が分からない・・・鯛にしてはホロホロしているし、まさか鱈・・・?お聞きすると甘鯛とのこと。京都で云う“ぐじ”。おそらく少し天日に干して身が凝縮している感じです。そこに大根おろしと、キツクなく薄っすらと酢を効かせたもずく酢が添えられ、薄味の餡の汁が掛けられています。妙な言い方ですが、「薄味なのにしっかり味がする」・・・。
料理は八寸と三段重ねのひさごの器だけなのですが、まるでミニ懐石。その料理のどれも薄味なのですが、京料理らしく出汁が良く利いていて、素材の旨みがしっかり感じられます。決して主張し過ぎることなく、驚く程の薄味なのにしっかりと素材と一体となって下支えする、京料理の出汁の凄さと奥深さ・・・。NHKが京料理の出汁の紹介した番組の中で、瓢亭が登場していたのも納得でした。
そしてその奥にはきっと京都の水の力があり、同じく京料理を代表し「和食」のユネスコ無形文化遺産登録に尽力した、こちらもミシュラン3つ星の名店「菊乃井」(ご先祖が北政所の接客や給仕を行う「茶坊主」として仕えていた時代に、茶の湯に用いる「菊水の井」という井戸を大事に守っていたのが店名の由来で、今も同じ東山で高台寺に隣接して本店を構える)の村田氏曰く、「煮る、さらす、浸す、茹でるといった水を中心とした調理法で、微妙な味わいで素材を引き立たせる日本料理は、京都の軟水だからこそ進化した」ということを自分の舌で実感として納得することが出来ました。
でも実際にこうした京料理を食べてみると、それは単なる薄味ではなく、妙な言い方ですが、“しっかりとした薄味”であることに気付かされるのです。お酒でも伏見は“女酒”と云われますが、京都の地下水は千年以上にわたって一定の味と温度を保っているため、他の軟水に比べて硬度が低く、よりまろやかで繊細な味わいが特徴なのだとか。素材の味をより引き出すこの地下水があったからこそ、京都では出汁を重んじる薄味の文化が生まれたのでしょう。
 途中、汁物が運ばれて来て、如何にも京都らしい白味噌仕立てのお汁でした。菜花とお麩が入っているのですが、南禅寺麩とのこと。当方信州ですので白味噌に馴染みが無いと云えばそれまでですが、この汁、まるでポタージュの様に濃厚で滑らかで甘味もあり、味噌汁と云うよりもむしろクリームシチューの様で驚きの一品でした。
 そして最後に名物の朝粥です。今回は「鶉粥」で、冬季限定(12月1日~3月15日)のお粥だそうです。
因みに、朝粥が瓢亭の名物になったのは、何でも明治初期、祇園で夜遊びをした旦那衆が早朝に芸妓を連れ立ち店へ訪れ、店の者を起こし朝食を作ってくれと言われ、その時のあり合わせの食材で粥を出したのが始まりとのこと。
そして冬の季節の鶉粥は、瓢亭のH/Pの紹介をお借りすると、
『寒い季節に体が気軽に温まるものとして13代目が作ったのが、この名物の「鶉がゆ」の始まり。本当はおかゆではなく雑炊なのですが、夏の「朝がゆ」と揃えて、瓢亭では「鶉がゆ」と呼んでいます。炊いたご飯を一度洗ってサラサラにし、鶉のお肉とスープで炊いてせりを散らした、体が芯から温まるひと品』ということで、昔瓢亭には鶉小屋があったのだとか。
この鶉粥は、ご飯を鶉のガラと野菜から取った出汁で炊き、細かく刻んだ鶉の肉を加えた雑炊で、刻んだセリが加えられています。ほんのりセリの香りと、鶏よりも濃厚な鶉の旨味を感じられ、確かに底冷えのする京都の朝には暖まる一品なのでしょう。付け合わせの京漬物のかぶらと瓢亭特製のちりめんじゃこで、途中味変も楽しみながらご飯茶碗に優に二杯、しっかりと残さずに頂きました。因みに、箸よりも茶碗によそうのに使う木べらで食べた方がお粥は食べ易いのでおススメです。
但し家内と娘は、出汁の効いた葛餡を掛けて味変を楽しみながら食べるいつもの白粥の方が、ここ瓢亭でしか味わえない何とも言えずシンプルながら絶品のお粥で、冬の鶉粥よりも好きとのことでした。もしかすると好みが分かれるのかもしれませんが、個人的にも確かにそうかもしれないと感じた次第です。
 瓢亭の朝粥。以前はずっと4500円だったそうですが、昨今での肝心のお米を始めとするあらゆる食材などの諸物価高騰もあって、別館では現在5445円(税サ込み。夏2ヶ月限定の本館の朝粥は7590円だそうです)決してお安くはありません。否、もしかすると日本一高い“お粥”なのかもしれません。しかし一見の価値、イヤ“一食の価値”あり・・・かも。
食べ終わって感じるのは確かな満足感。何だかシンプルなのにその奥深さに「う~ん美味しい・・・」と、その後の言葉が続かず、むしろ垣間見たその奥深さに何だか気圧された様な気さえしたのでした。
  「ナントモ恐れ入りました。さすが、400年続く伝統は伊達じゃない・・・」
但し、次回も食べたくなるかは何とも・・・??(あっ、でも白粥は食べてみたい・・・かな!?それと一度でイイから、本館の個室と庭も是非とも見てみたい気も・・・)

 奥さまと娘は、二人がとても気に入っているという、清水五条の高瀬川沿いに在るレバノン料理店に今回はブランチを食べに行くと言うので、私は一人で久しぶりに「新福菜館本店」で朝ラーを楽しむことにしました。

 京都駅から東へ少し行った塩小路高倉の線路を跨ぐオーバーパス、通称“たかばし”。ここに目指す「新福菜館本店」が在ります。10時前に着くと、隣のこれまた人気店で朝6時開店の第一旭本店も、お目当ての「新福菜館本店」にも開店前から並んでいたであろうお客さんは既に一巡したのか、どちらも店の外には行列はありませんでした。
昭和13年(1938年)創業で、所謂“京都ラーメン”のルーツとされる「新福菜館」。因みにお隣のこれまた“京都ラーメン”を代表する「第一旭」は、その15年後の創業とか。どちらも“京都ラーメン”を代表する名店です。
一階の店内はカウンターが一杯で、二階にも客席があるのですが、一階奥のテーブル席へ相席で案内されました。
6年前に来た時は特大の新福そばにしましたが、今回は中華そば(並み950円)と同じく「新福菜館」名物の焼き飯(600円)を注文しました。
以前長女が住んでいた麻布台のマンションに行った時に、京都ではその後食べられなかった新福菜館が麻布十番にもあると聞き、勇んで食べに行きました。その時は中華そばの並に小の焼き飯が付いたセットメニューがあったのですが、この京都の本店のメニューには小の焼き飯は無し。でもあの真っ黒なヤキメシも、ラーメンと共に新福菜館の名物メニューですので外せません。そこで、この歳には少々キツイかもとは思いつつも、ここは止む無く普通のサイズでお願いしました。
 程なく運ばれて来た並サイズの中華そば。鶏ガラベースに豚骨の旨みも合わさった、新福菜館の代名詞の真っ黒なキレのある醤油スープに、どっさり盛られた九条ネギ。その下に 京都の近藤製麺特注という中太のストレート麺と、これまた名物のスライスされた柔らかな豚バラチャーシューがこれでもかと(確か6枚だったか)隠れています。
先ずはスープをレンゲですくって何杯か味わって、今確かに新福菜館にいることを舌でも実感します。
続いて、ラーメンと同じ醤油ダレで味付けて、香ばしく焦げた褐色の焼き飯も登場。
せっかく「新福菜館本店」に来たのですから、中華そばの「小」では物足りないので、中華そばは普通の「並」サイズが必須。しかしせいぜい年に一度しか食べられないのであれば、こちらも逃したくはない焼き飯が、本館は普通サイズしか他に選択肢が無いのでこれまたしょうがない・・・。
ラーメンに続き、焼き飯をスプーンで二度三度・・・。やはりどちらも捨てがたい。ただ、全部食べられるかどうか不安を感じつつ、残しては申し訳ないので頑張って何とか完食出来ましたが、その分、スープを全部飲み干せずに少し残さざるを得なかったのが、少々心残りではありました。
ただこの日いつもよりスープの塩味が濃く感じたことも、もしかするとそれに影響したのかもしれません。しかしそれは、店の味が変わったのではなく、恐らく少々風邪気味だったその日の自身の体調が、この日の自分の味覚に微妙な影響を与えていたのではなかろうかと思います。
いずれにせよ、焼き飯も一粒も残さずに完食して満足満腹になった「新福菜館」の朝ラーでした。
ただ出来れば、減塩などとは決して言いませんので、我々高齢者のためにせめてメニューにヤキメシの「小」も加えて頂けると大変助かります。
ごちそうさまでした。また来ます!

 今回の京都滞在中、娘が友人と食事する以外の我々との食事は殆ど娘のおススメする処に行ったのですが、まだ彼女が一度も行ったことが無いと言うので唯一我々が案内して食べに行ったのが、出町の和食「ろろろ」でした。
この「ろろろ」は、我々も二年前に初めてランチのおばんざい弁当を食べに行って感激したお店で、今回が二度目の訪問です。
京都で合流してからでないと娘のスケジュールが分からなかったのですが、こちらは予約必須の人気店ですので、事前に奥さまが車で京都へ向かう途中に車内から電話をして、取り敢えず今回の滞在中で空いている日の空いている時間に予約を入れました。
「ろろろ」は和食の料理人ご夫婦二人で切り盛りされている小さなお店で、こちらのランチは20食限定とのこと。最初希望した三日目のランチは最後の午後1時半からの組しか空いておらず、そこで二日目の明日の予約状況をお聞きしたところ、翌日が水曜日だったせいか運良く11時半開店の最初の一組目に空きがあり、無事予約することが出来ました。

 当日、出町には11時頃着いたので、先に人気の「出町ふたば」で豆餅などを買ってから「ろろろ」に向かうことにしました。
コロナ禍前まで、息子さんが京都で勤務医をしておられる友達と一緒に毎年京都旅行に来ていた家内は、その時にこの「出町ふたば」にも一緒に買いに来ていたそうで、家内に依るとこの日も順番待ちの行列は折り返しての三列でしたが短い方とのこと。
店舗の前では行列の整理専門のスタッフの方が、お隣のお店や歩道を歩く方々の迷惑にならぬよう都度列に並んだ人に案内をされていて、店内には注文を聞く店員さんが4人と品物を手配準備するスタッフも同じ位いて、テキパキと注文を捌いているので意外と早く進んで行きます。
豆餅だけなら伊勢丹店や、また事前に買う品が決まっていれば予約も出来るそうですが、当日の品揃えを店頭でじっくり見て季節ものなども買いたいので、その場合は列に並んで買う他ありません。
時間が11時20分を過ぎたので、念のため彼女たちは先に「ろろろ」行って時間通りに配膳を開始して貰うことにして、私が一人残って彼女たちの希望の品を購入してから向かうことにしました。
結果ギリギリで11時半の2分前に無事購入。先ずは豆餅、そして私メの希望した季節の桜餅は関西らしく勿論道明寺で、塩漬けの桜の葉二枚に包まれていて美味。更に娘のリクエストで好評だった芋餡の福豆大福と家内の希望でヨモギ餅の田舎大福も購入(商店街を含め、前回の二年前の時の写真です)。
急いで「出町枡形商店街」を通って、「ろろろ」に向かいました。この「出町枡形商店街」は、嘗ての“京の台所”と云うよりも今や観光スポットとなってしまった錦市場とは異なり、地元の方々の日々の生活に密着したアーケード商店街です。“町の映画館”「出町座」や古書店など若者向けのスポットもありながら、生鮮食品店や青果店、乾物屋さんやお茶屋さん洋品店など、どちらかというと、地元の人に長く親しまれる個人商店も数多く営業している謂わば“街の台所”で、今でもその日の夕飯の材料を求める様な地元の買い物客も多く、枡形商店街には随分活気がありました。
 「ろろろ」に到着すると既に店の前には行列も無く、私も靴を脱いで中に入ります。
町家を改装した店内は、コの字のカウンター席8席に加え、テーブルは4人掛け1卓と1人掛けが1卓。私たち家族はテーブル席で、お客さんは殆ど女性。男性客は、後から来られたカップルの男性と私の二人だけでした。ランチは20食限定なので、二回転すれば終わってしまいます。ネットで見つけた紹介記事に依ると、
『「ろろろ」は揃って和食の料理人というご夫婦が営むお店です。肩肘張らない雰囲気のなか、本格会席を気軽に味わえるとマダムを中心に人気を集めています。料理には、店主が惚れ込んだ大原の旬の野菜をふんだんに使用。お昼の「ろろろ弁当」は、豆皿に少しずつ、趣向を凝らした料理が盛り付けられ、見ているだけで楽しくなります。一段目には8品。二段目は、おこげがポイントの土鍋ご飯とおかず2品、そこに野菜の味噌汁が添えられます。この内容でこの値段は相当お値打ち。京都マダムご愛用というのも納得です。』
昨今の値上げでお弁当の価格もですが、土鍋ご飯も以前はお替わり自由だったのが今回は追加料金になっていましたが、昨今の事情ではそれも止むを得ません。しかし、それでもこちらのコスパは最高だと思います。
 お昼のメニューは、おばんざい弁当(税込1500円)と事前予約が必要なおばんざいのミニ懐石(同2650円)の二つのみ。ミニ懐石はおばんざい弁当に魚介の焼き物が一品追加されるのですが、断然おばんざい弁当の方がおススメ。
ですので、我々は今回もおばんざい弁当です。京都らしい炒り番茶が香り高くて美味(今回はビールを我慢しました)。
盛り付け担当のご主人がせわしなく動かれ、10人分程の弁当もミニ懐石も同じ一段目のおばんざいを次々とお膳に盛り付けをされています。
店名の由来は今回も分かりませんでしたが、この日も観光で来られたお客さんなど次々と来店されるのですが、予約客以外は全員断られていました。
また、こちらのお店の支払いは現金清算のみ。京都にはそんな個人商店が多いので注意が必要です。
さて、一段目のおばんざい8品の中では、前回同様に九条ネギの煮干し煮、そして今回では金時人参の海苔煮とゴマトウフの胡麻揚げが美味しく感じました。
二段目では、やはり今回も出し巻あられあんかけが絶品。日本酒が欲しくなります。写真はありませんが、セロリが具材のお味噌汁が土鍋ごはんに添えられます。個人的には追加でご飯を頼みたかったのですが、30分単位の予約で12時に来られたお客さんへの配膳対応で忙しく、カウンターから出て来られないので、結局ご飯もお茶の追加も諦めざるをえませんでした(大きな声でお願いすれば対応いただけたかもしれませんが・・・)。
この日のかき揚げはやや揚げ過ぎか、前回の方が美味しかった気がします。家内も娘も一つ食べてもう要らないとのことで、残りの二つは結局私が全部戴いたのですが、さすがに胃がもたれました。
 小さな豆鉢に入ったおばんざいは見た目には量も少なく感じますし、しかも野菜ばかりなので何となく物足りなく感じるかもしれませんが、その一品一品は味付けが工夫されて、京都らしく出汁を利かせた薄味での調理方法もそれぞれ異なっているので、これが食べてみると意外と十分で、結構お腹が一杯になります。初めて食べた娘も満足した様子で、かなりの高評価でした。
ごちそうさまでした!また来ます。

 婿殿が松本での正月休みを終えて、一足先に横浜に戻る正月三日。
蕎麦好きの婿殿のために、事前に色々ネットで調べて三が日も営業してしる蕎麦屋を探し、漸く見つけて予約してあったのが安曇野の穂高有明地区の人気店「そば処 時遊庵あさかわ」です。
以前、大町方面からの帰りに山麓線を走っていたので寄ろうとしたら、まだ2時前だったのにその日打った蕎麦が既に終了とのことで諦めたことがありました。こちらは蕎麦店が点在している山麓線沿いの有明地区でも人気の行列店です。
その「あさかわ」が正月三が日も営業して且つ予約が出来ると知り、こちらも1ヶ月前に婿殿のために事前に予約をしてありました。

 松本から穂高の有明へ行くだけのためにまたアルファードをレンタルするのは無駄なので、「今日はちっちゃい車ダネ・・・」という上の孫のガッカリした感想をジィジとしては「アハハ・・・」と冷たく受け流し、二台に分乗して有明山麓線沿いの店舗を目指して出掛けました。
店は11時半の開店で、我々は12時の予約で行ったのですが、駐車場には既に10数台の車が停められていて、店内にはもう何組もの順番待ちの方々がおられ、名前を書く受付表には30分待ちとの表示がされていました。
我々は小さい子供が居るので、店側が畳の小上がりに二卓に分かれて我々の予約席が用意されてありました。
(注:冒頭の2枚は、婿殿をもてなせる店かどうかチェックのために、11月末に試しに一度伺った際に撮った写真です。時遊庵という名を付けられている通り、店内には土壁の装飾やインテリア、そしてテーブルに置かれたちょっとした小物にも店主のご主人の遊び心が感じられます)
娘たちも婿殿も家内も、皆天ざるをオーダーとのこと。私メは頑なに大ざる(蕎麦の香りの邪魔をする刻み海苔は掛かっていないので、実際には本来の「もり」なのですが)一択。つゆの味が変わるので天ぷらを蕎麦つゆに付けるのは個人的に御法度ですし、仮に天つゆが別にあっても、天ぷらの油で味覚が変わるので、個人的には純粋に蕎麦の味を楽しみたいため、天ざるはあまり好きではありません。蕎麦自体を楽しむのなら、飽くまでもりそば一択です(但し、京都のにしんそばの様に、具材を楽しむ温蕎麦の場合はその限りに非ず)。そして、こちらの名物のそば玉の素揚げは、今回は天ぷらがあるからと一皿だけ頼んで皆でシェアすることにしました(一皿十数個あります)。
満席でもそばを茹でるのはご主人一人だけでしょうから、サーブまでは結構時間が掛かります。入口の受付表には「待ち時間30分以上」とありましたが、おそらく1時間近くは掛かるでしょう。これが夏なら、ご主人が丹精込めて育てたという、数千株というアジサイが咲く広い庭を散策して時間を潰せば良いのでしょうが、冬場はそうもいきません。
 結構時間も掛かって運ばれて来た天ぷらは、ナス、カボチャ、大えび、山菜(何の葉か不明ですがセロリ?)、舞茸、そして珍しい油揚げと蕎麦の素焼き揚げ。
二八のそばは季節の葉が一枝添えられていて、ご主人の遊び心と風情を感じます。私と婿殿は大盛りですが、女性陣の頼んだ並盛りでも結構な量があります。
そば玉の素揚げは、そばがきをもっと粘り気が出るまで練って、団子状にして揚げたもの。外はカリっと中はモチモチしていて、塩を付けて食べるのですが、そば粉の味だけで素朴で美味。
そして、ご主人自らテーブルまで運んで来て下さるサービスのそばの薄焼き。そばがきより水を少なめにして、練って延ばしたガレット状の薄焼きを少し焼いて、蕎麦の実をまぶして塩と味噌を塗った素朴な薄焼きです。
そして、その薄焼きに粉をまぶして揚げた天ぷらと油揚げの天ぷらは珍しい。ただ一度揚げてある油揚げを更に天ぷらにしてまた揚げるのは、天ぷら素材としては面白いものの、些かoily過ぎてもたれてしまい今一つで、我が家のメンバーには不評でした。むしろ揚げ出し豆腐の様に、水気を絞った木綿豆腐を薄く切って天ぷらにした方が良い様に思います。因みに、家内は天ぷらがもたれてしまい、次回からは天ぷらはやめてそばだけにするとの仰せ。
 婿殿はこちらの蕎麦に大満足の様子。勿論お世辞もあるのでしょうけれど、今まで食べた蕎麦の中で一番美味しかったとか。個人的には、最近行けてはいませんが、二八ではのど越しの良い安曇野翁が一番でしょうか。
地元安曇野産と北海道産、茨城産のそば粉をブレンドして打ったという「あさかわ」の玄ソバも二八そばで、こちらの蕎麦ものど越しが良く風味豊かで、今年食べた幾つかの秋の新蕎麦では初めて香りを感じました。
また量も十分で、食べ応えもありました。そして何より、正月三が日に営業していただいていて、県外からのお客さまを信州そばでもてなす場合は大変助かりました。
また婿殿が来たら、一度夏のアジサイの庭も見てみたい気がしますので、安曇野をドライブがてらお邪魔しようと思います。ごちそうさまでした!

 次女一家が初めて年末年始に松本へ帰省し、また長女も二年振りにNYから帰国してくれて、久し振りに賑やかだった2026年のお正月。
皆揃ってくれたのは誠に嬉しい限りなのですが、都会と違いウィンタースポーツでもしない限り信州では冬に行く所がありません。
それはお正月の三が日も同様です。特に次女の婿さんは、病院勤務のせっかくのお正月のお休みを初めて嫁さんの実家の信州で過ごしてくれることになったので、家食ばかりではなく、せめて一度くらいは外食でもてなしたいところなのですが、逆に昨今の働き方改革や人手不足での従業員福祉もあって、この正月三が日くらいはさすがにお休みする飲食店が多いので、食べられる処を探すのに一苦労です。
 そうした中で三が日もやっている店を探して色々調べ、且つもてなす場として相応しいかどうか事前にチャックもした結果、選んだのが「そば居酒屋 蔵のむこう」です。こちらは、正月三が日に営業して逆に4日から数日間お休みとのことで、この時期にお客さんを迎える我々からすると誠に有難い限りです。
ただ、この「蔵のむこう」へ食べに行くのは、我が家としては実に10年振りくらいになります。というのも、以前長女と三人で行った時に、私以外はお酒を飲まないので彼らはお茶を飲んでいて、そこでお茶のお代わりを頼んだら、フロアで接客をしていたかなり年配の女性スタッフが如何にも気に入らなさそうに、あろうことか、
  「無料のお茶ばかり飲んでいないで、お酒を飲んで貰わないと困るんですけどネ!!」
と吐き捨てる様に云われて憤慨。「もうこんな店二度と来るものか!!」と決め、実際にそれ以降は一度も行ったことはありませんでした。
しかし、正月三が日にも営業している貴重な存在だったため、12月中にランチで一度家内と二人で状況(そんな店の接客態度が変わっているかどうか)を確かめた上で、今回久方ぶりの訪問となった次第です。

 この時は“チェックを兼ねて”、ランチタイムに伺ったのですが、食べ終わってから正月三が日の予約のことをお聞きしてみました。
因みに、「蔵のむこう」には個室の宴会場も何部屋かあるようで、但し人数は8人以上とのこと。ただ我々は7人で且つ幼児が2名含まれることをお伝えしたら、着物を着たフロアの接客の責任者の様な女性(先述のお年寄りの女性とは全く別人で中年のスタッフでした)が、その場で「空いていたら7人様でも構いませんヨ」と言われて、すぐに個室の予約状況をちゃんと確認してくださったのですが、残念ながら一ヶ月前で既に予約で一杯でした。そのため、
  「二階席奥の広いテーブル席なら小さいお子さんがおられても大丈夫でしょう。ただ、当店にはお子様用の椅子がありませんのでご了承ください。」
と、とても心のこもった対応でしたので、その場で三が日の予約をさせていただいた次第。

 私たちが予約して食べに行ったのは、正月二日の夜。さすがに他にやっている店が少ないのか、しかも夜に蕎麦が食べられる店となると尚更ですので、正月三が日に外食しようとする地元の皆さんや観光で来られた方にとっては誠に有難い存在の筈。
我々は1ヶ月近く前にランチで訪れた際に予約をして、今回は夕方6時に伺ったのですが、正月で皆さんスタートも早いのか、この日は一階二階席とも既にほぼ満席でした。
この日の我々のオーダーは、サラダ二品に始まり、子供用にだし巻き玉子と冷やしトマト。信州らしく、山賊焼きと馬刺し(赤身と霜降りを頼んだのですが、この日霜降りの用意はありませんでした)、揚げ出し豆腐と野沢菜漬け。因みに人数分のお通しが最初に供され、野沢菜のミニお焼きとかぶら寿司でした。
中でも山賊焼きと馬刺しがとりわけ好評でした。また川魚好きの婿殿用に追加して、初めて食べたというシナノユキマス(長野県産のサケ科の養殖魚)も喜んでいました。
そして最後の〆に信州そば。信州そば専門店の殆どが昼営業のみで、夜に本格的なそばを食べられる店が少ない中で、そば居酒屋と「蔵のむこう」が名乗るだけあって、決して蕎麦の専門店にも負けぬ本格派の二八の手打ちで、これまた蕎麦好きの我が家のメンバーにも好評でした。
 前回彼らが来た11月末にコースの郷土料理を食べたばかりの「草菴」は、肝心のこの正月三が日はお休みだったので、今回は止む無くこちらの「蔵のむこう」にしたのですが、「草菴」の様に個室で小さい子も一緒に落ち着いてという訳にはいかないものの、手軽に信州そばや馬刺し、山賊焼きといった郷土料理を楽しむ(しかもお酒も飲みながら)にはおススメだと感じた次第。
因みに、10年近くも経ったためか、あの年配の女性店員の姿は見えず、この日の若いスタッフの皆さんは気配りもされていて、気持ちの良い接客振りでした。
しかも正月三が日に営業されていたのは、帰省して来る家族を迎える地元民にとっては何よりも有難い限りでした。4日からの一足遅れの正月休みを、どうぞゆっくりと休んでください。ごちそうさまでした!

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