カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
“世界のマエストロ”オザワ・セイジ氏亡き後、その後を継ぐのは通称“ヤマカズ”山田和樹氏がその筆頭に挙がるといっても決して過言では無いでしょう(続くのは、沖澤のどか女史でしょうか・・・)。
あのサイモン・ラトルが率いて名を挙げたバーミンガム市交響楽団の音楽監督に就任し、ここで更に2028/2029年シーズンまでの任期延長が発表される蜜月ぶり。そして昨年は、アメリカのメジャーオケであるシカゴSO 、NYフィル、そして今年は遂に“世界の”BPOの定期にもデビュー。
藝大時代には同窓生と、あの“のだめ”のSオケを彷彿させるかの様に、当時は学内のアマオケとして現在の横浜シンフォニエッタを立ち上げ、そして何より個人的に注目したのが、大先輩のマエストロ故岩城宏之氏の様に東京混声合唱団の音楽監督を引き受けたこと・・・。オーケストラよりも注目度の低い合唱団の指揮をしてくれたことが、嘗ての合唱経験者としては本当に(部外者ながら)感心しました。
その、今や“世界のヤマカズ”が、60周年を迎えたTV朝日の長寿番組『題名のない音楽会』の特別企画「未来オーケストラ」の指揮をし、その練習風景が放送されたのですが、それが本当に素晴らしい内容で、一つのドキュメンタリーとしても出色の出来でした。
弦楽器、管楽器、打楽器、全ての楽器奏者はオーディションで全国から選抜された、小学生から大学1年生まで104人の子供たち。
公式H/Pに依れば、
『18歳以下の子どもたちに「音楽の楽しさ」「共に演奏する喜び」を届けるべく立ち上がったこのオーケストラは、山田和樹によるオーディションを経て、今回初めての全体練習を迎えます。山田和樹がどのように彼らと対峙し、何を考え、何を伝えるのか』
二週に亘り放送されたオーケストラ全体での練習風景。第一回目の放送を知らず、最後の10数分だったでしょうか、途中から視聴したのですが、思わず引き込まれてしまいました。
マエストロは、子供たちに、自分自身の個性を出すこと、お互いを聴き合うこと、先を読むことなどの大切さを、子供たちに分かり易いマエストロ自身の“ことば”、表現で伝えていきます。すると、その言葉がまるで乾いた大地に沁み込む雨の様に彼等に伝わって、子供たちの音が、表情が目に見えてどんどん変わっていくのです。
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真剣そのものの目をキラキラと輝かせて、しかも本当に楽しそうに演奏する子供たち。
それにしても、全員何てイイ顔をしているんだろう。中には、1stヴァイオリンとチェロのフォアシュピーラーの席で演奏する子は(チェロの子などは半ズボンでしたし)、どう見ても小学生としか思えないのですが、本当に真剣そうに、でも本当に楽しそうにニコニコと演奏しているのです。もしかすると、いつのまにか孫を見るジイジの眼の様になっていたにしても、今まで聴いた中で、恐らく一番“視覚的に”感動したオーケストラ演奏だったと思います。
1stヴァイオリンなどの弦楽器だけでなく、木管も、ホルンを始めとする金管も、そして打楽器も、どの楽器も皆真剣に且つ本当に楽しそうに演奏しています。しかも音も実に素晴らしい!ホルンなんて本当に柔らかい音色で奏でていて、時に気の抜けている様な下手なプロオケより上手い!そして、何より「音楽って、本当に音を楽しむんだ」ということを、改めて実感させられた気がしました。
“世界のヤマカズ”と未来オーケストラの子供たちに、ブラーヴォ!本当に感動しました。思わず、画面の子供たちに向かって拍手をしていました。