カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
二年前にナナが虹の橋を渡り、もうワンコはコユキで最後にしようと思っていたのですが、縁あってナナと同じシーズーの保護犬を迎えることになり、11月22日に松本の我が家にやって来た保護犬の「くるみ」(以下判別し易いようにクルミとカタカナ表記にします)。
その3日後から、奥さまはかねてからの予定通り長女のいるアメリカへ渡航し、彼女の帰国するまで18日間不在。
そして帰国したと思ったら、その三日後に今度は横浜の次女の所に“月例”の育児支援で、今回は10日間の不在。
ということもあって、当初は12月末からクルミのトライアルを(私メは)希望したのですが、仮ママさんも家内も「仮宅に慣れてしまう前に、里親宅でのトライアルを開始した方が絶対に良いから!」との仰せ。
そのため、止む無く“独居老人”+コユキと新たに迎えたクルミとで、一人VSワンコ二匹での“新生活”がスタートしたのでありました。
当初、クルミはクレートに入ったままで、用心してなかなか出て来てくれませんでした。しかし部屋に誰も人間が居ないと安心するのか、クレートから出て来るのですが、人間が部屋に入って来るとまた一目散にクレートに逃げ込んでしまうのです。
でも、コユキの時もそうでした。特にコユキはブリーダーが男性だったのか、特に私を怖がり、女性の家内とは(今でも差がありますが)接し方がまるで違っていて、私に慣れるのには随分時間が掛かりました。
ただ、クルミは食欲がすこぶる旺盛。仮ママさんの所でも、食事の準備を始めると、ドッグフードの袋のこすれる音や食器に入れる音とかがすると、クレートから飛び出して来るのです。これは我が家でも同じ。ただ、エサを十分に貰ったことが無かったのか、例えばお菓子の袋の音やコーヒー豆をミルに入れる音などでも食事準備の音と勘違いして飛び出して、すぐ近くまでやって来るのです。でも触ろうとすると、またさっとクレートに逃げ込んでしまいます。
そんな時は、後左脚の膝が固まってしまっていて曲げられないので、足を伸ばしきったままお尻を器用に左右に振って走って来るのです。食事の時は、食欲で興奮してアドレナリンが出ているのか、本当にお尻を振って跳ねる様に駆けて来ます。むしろ準備出来て食器を運ぶ時は、クルミの方がコユキよりも早いくらいです。仮ママさんが、
「クルミは障害があっても、繁殖犬としてこれまでの過酷で劣悪な環境を何とか生き抜いてきた子ですから、存外強い子かもしれませんヨ!?」
と仰っておられたのですが、確かにその通りなのかもしれません。
クルミはコユキと違って足に障害があって正しい歩行が出来いので余計フローリングが滑り易いことから、クルミの移動範囲であるクレートとオムツ、そして食事準備中に動き回るキッチン周りと夜寝る寝室迄の廊下に、滑らない様にタイルカーペットを敷いてあげることにしました。家内の不在中に彼女の選んだ商品がオンラインショップから届いたので、市松模様に敷き詰めてみました。一応写真を撮ってLINEで報告はしましたが、家内の実際の反応が不明なので、残り半分を敷くのは帰国を待つことにしました。
すると、見た目はともかく、前にも増して食事準備の時には跳ね回る様になりました。そして日が経つにつれ段々慣れて来て、「コイツは危害を加える様なことは無さそうだ・・・」と理解出来たのか、私がリビングルームに居てもクレートに入らずに外の大きなペットベッドに居る様になりました(但し、触ろうとすると怯えてクレートに逃げ込んでしまいます)。
しかし、日数の経過に比例するように、クレートから出ている時間も次第に増えてきました。
そしてアドレナリンが出ていると、時には“はしゃいでじゃれつく”様な仕草を見せる様なことも出て来ました。コユキは出産後のケアがされず、カルシウム不足で歯が殆どダメになってしまったのでオモチャは不要ですが、クルミは歯の方はしっかりしているので、そこでナナの時を思い出して、ホームセンターのペットコーナーから噛んだり引っ張ったり出来る小型犬用のオモチャも飼って来ました。
朝起きた後や外出から帰って来た時などには嬉しそうにはしゃぐ様になり、じゃれて甘噛みをしたり、おもちゃの引っ張り合いをしたりする様になりました。そんな風に遊びたがるクルミは、もしかすると推定よりもっと若いのかもしれません。段々と家に慣れつつあるそんな様子をビデオに撮って仮ママさんに送ろうとすると、携帯が怖いのか、さっと止めて怯えた様に携帯の方を眺めています。一体、この子は今までどんな“犬生”を送って来たのかと、不憫でなりません。
最初の頃はプラスチックの袋がこすれる音がしただけで常にドッグフードかと関心を寄せていたのも、朝夕の同じ時間近くにでないと自分の食事では無いと分かったのか全く気にしなくなりました。これまで人の動きに常に敏感に聴き耳を立てていたせいのかもしれませんが、どうやらクルミは学習能力が高そうです。
大分我が家にも慣れて来たので、クレートは常時寝室に置いて寝る時だけ使う様にて、リビングではペット用のベットをクルミの居場所にする様に変更しました。
コユキは先住犬のナナとは一緒にくっついて寝ていることも多かったのですが、クルミはコユキの所に行くことは余りありませんし、コユキも余りクルミを意識することありません。日中はそれぞれお互いに自分の居場所(コユキはソファーの上)でくつろいでいます。
1月に入り、動物病院で血液検査と二回目の薬浴をしてもらいました。先生もそしてナナと今はコユキも担当して貰っているトリマーさんも、クルミが見違える様に肌がキレイになったと驚いていました。また2㎏台だった体重も今回図ると4.2㎏とのこと。ガリガリで保護されて以降、仮ママさんのお宅にいた時からもう少し太らせようと食事を少し多めに与えてきたのですが、シーズーの標準体重である4~6㎏の範囲になったので、このまま維持していけば良いとのこと。クルミも漸く“普通”のワンコになったのかもしれません。後日届いた血液検査結果も、幸い異常無しとの診断でした。
そこで検査も薬浴も無事終わったことから、1月10日過ぎから生まれて初めてクルミも戸外に連れて行ってみることにしました。というのも、コユキを毎日の散歩に連れて行く時に、クルミが甘えた声でクンクンと鳴いて一緒に行きたそうに(若しくは“置いて行くな!”のアピール?)するのです。
仮ママさん宅でも一度も外には出なかったクルミにとっては、初めて家の外、未知なる外界への冒険です。
そこで先ずはすぐ近くの公民館の広場へ抱いて行って、子供向けの遊具のあるエリアが人工芝で覆われているので、そこでリードを外して遊んでみました。
すると全てのことに興味津々・・・。「これ、一体何だ?」とばかり、例えば落ちている落ち葉一つとっても、きっとクルミは初めて目にするのでしょう。おそらく彼女にとっては、目にする何もかもが珍しくて興味深いのでしょう。そこら中をクンクンと嗅ぎ回っていました。あまり遠くへ行かぬように「おいで!」と呼ぶと、曲がらない左の後ろ足を引きずってお尻を振り振りさせながら器用に駆けて来ます。
何度か公民館の広場で遊んでいる内に、段々外の様子にも慣れて来て、次第に人工芝のエリアから土の上へと行動範囲が拡がっていきました。そこで、一週間くらい経った時、思い切っていつもの散歩コースを行ける所まで歩いてみることにしました。それまでも、公民館の広場での後、ナナやコユキの散歩コースを抱っこしながら一周して周囲の環境を見せてはいました。
しかし、クルミはこれまで生きて来た中で、リードを付けて散歩をする、人に付いて歩くという習慣も躾けもされていません。ましてや狭いケージの中に何年も居ただけで、救い出されるまで(不要と判断されるまで)外に出たことも無かった筈です。そのため、私に付いて一緒に歩くということはなく、行きつ戻りつしながら、自分の興味本位にクンクンと匂いを嗅ぎながら徐々に歩を進めていきます。そこで、何とかコースに沿って前進してくれる様にクルミの前方から声を掛けては前に進んで行きます。
道すがら、我が家に来てからの家の中では経験し得なかった、例えば電車が来たり、或いは人とすれ違ったり、時には鳥が鳴きながら近くを飛んで行くと、都度「一体何だ?」と興味深そうに立ち止まっては音のする方を眺めています。
そんな、生まれて初めてのクルミの“大冒険”の日々が始まりました。
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