カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 以前の先代の頃の会食だけでも受け入れていた頃から、我が家では10年以上贔屓にしてきた美ケ原温泉の料理旅館『“鄙の宿”金宇館』。
2019年の3月から一年間掛けて“次の百年に向けて”という大幅な改装工事を行い、2020年の4月にリニューアルオープン。
改装前に父の法要後の会食も何度かお願いしたのですが、改装後は数か月先まで予約で埋まっているという人気の高さも手伝い、松本在住者としては誠に残念ではあるのですが、会食だけでの受け入れはもう不可能で、食事は宿泊客のみへの提供となってしまいました。

 年始に松本に帰省出来なかった次女一家と今年の2月末に金宇館にお世話になったのですが、ちょうどその時に工事中だったのがこの別館でした(第1888話参照)。それまで三部屋あった別館が昨年で閉鎖され、一年間の改装工事を経て、この10月17日に一棟貸しの「離れ」としてリニューアルオープン。
今回の改装工事は、今までの別館3部屋を一室に纏め、二階建てに2洋室1和室の三つの寝室、そしてリビング部分と今までは無かった別館専用の内風呂を設け、更に別館だけは食事も部屋食にして、これまで要望があっても受け入れ出来なかった8人までのグループも受け入れ可能にするのが目的とのことでした。
 H/Pに依ると、
『この離れは1日1組様限定の貸し切りでご利用いただける建物です。
暖炉のあるリビングダイニングを設け、お食事は朝夕共にお運びさせていただきます。庭を眺める半露天風呂を備え、洋室2室と和室1室の寝室を設けて最大8名様までご利用いただけます。
一階は暖炉のあるリビングダイニングと庭を眺める半露天⾵呂を備え、昭和七年建築当時の意匠をそのまま残し、板張りのリビングと寝室。そして、建築当時の急な階段を上った二階に、和洋の寝室が二部屋。四畳半だった⼆部屋を繋げ、それぞれにゆったりとお休みいただけるダブルベッドの洋室と最大4組の布団が敷ける数寄屋風の和室にしました。』
とのこと。
 
因みに各寝室は洋室が2名ずつで和室が最大4名の合計8名ですが、それより人数が少なくても、勿論料金は高くなりますが、例えば二人だけで「離れ」を独占しての利用も可能とのこと。
そして家族での利用も出来ますので、これまで本館の5部屋の内「湯ノ原」一室だけだった子供の宿泊も、改装後は別館の「離れ」もOKになりました。こちらなら部屋食ですので、どんなに孫たちが騒ごうが泣こうが、他のお客様に気兼ねなく過ごすことが出来ます。
そこで今回は少し贅沢をして、その「離れ」に我が家で泊ることにしました。但し、本館よりも宿泊料金がかなり上がるので、今回は一泊だけですが(但し、私メは今回もコユキを独りにしておけないので、泊まらずに自宅に戻ります)。

 午後3時のチェックインの少し前に着いてしまったのですが、「もう準備は終わっていますから」と、時間前に受け入れて頂きました。そしてラウンジでのチェックイン後、「まだ他のお客様は一人も来られていませんから」と、離れ利用の説明していただきながら、今回は使わぬ一室も含めて「離れ」全部をじっくりと館内見学をさせていただきました。
本館同様に、この「離れ」も館内のあちこちに置かれた生け花と、ご主人がファンで集められたという沢田英男の小さな木彫りの像が“鄙の宿”の静謐な雰囲気を醸し出しています。
そして改装後の本館同様、「離れ」の家具も全て、明治から100年続く木芸工房で江戸指物の技術を受け継ぐ松本の前田木藝工房「アトリエm4」の四代目、前田大作氏の作品とのこと。リビングダイニングに置かれていた椅子の、背もたれの削り出されたカーブが何とも快適そうで、また意匠としてもとても印象的でした(ダイニングの写真はH/Pからお借りしました)。
離れ滞在者専用の板張りの源泉かけ流しの内風呂は、大きな窓が二つあって庭園を眺めながら入浴を楽しむことが出来ますし、時間制限なく貸切状態でいつでも好きな時に自由に温泉を楽しむことが出来ます。
因みに「離れ」では、TVは一階の昭和七年建築当時の意匠をそのまま残したという寝室横のリビングに1台置かれているだけで、二階の和洋の両寝室にはTVがありません。ですので、要らぬお節介ですが、浮世を離れ喧騒を忘れての温泉三昧で、金宇館のコンセプトである“時と泊る”・・・という認識が必要でしょう。
また「離れ」には小さなパントリーがあって、冷蔵庫(ビールや天然果汁のリンゴジュースなどが無料飲料として用意されています)と専用の全⾃動コーヒーマシンもあるので、本館のラウンジに行かなくても後述の広縁に座って庭を見ながら、或いは冬なら暖かな暖炉の柔らかに揺れる炎を見ながらエスプレッソを楽しむことが出来ます。
そのリビングダイニング横の「広縁」と名付けられた庭に張り出した板張りのテラスからは、改装に合わせて作庭された庭が望め、斜面を活かして石庭の様に幾つもの山辺石が置かれています。ただ造園作業に時間が掛かり、植栽工事が全部間に合わず、植栽が可能となる冬になったらまた何本かの木々が植えられる予定だそうですので、完成するとまた印象が変わるのでしょう。
 翌朝、他のお客様は皆さん既に観光に出発されたようですが、我々はゆっくりとチェックアウトの11時まで過ごし、最後に樹齢160年という立派な百日紅の横の門柱の所写真を撮っていただいてから、4代目ご夫婦に見送られて金宇館を後にしました。
今回はチョッピリ贅沢をしましたが、価格以上に満足した、完成前から楽しみにしていた憧れの「離れ」滞在でした。

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