カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
秋の紅葉と聞いて想い浮かべるのは、紅い色ならモミジ、ナナカマド、ウルシ、ドウダンツツジ・・・。そして黄葉の方の黄色は、カラマツ、イチョウ、ナラ、そしてシラカバ・・・でしょうか。
ただ黄葉の場所、例えば高山や里山、平地、そして例え狭い日本列島でも北と南の緯度の違いに依って違いますし、何より一番は自分の生まれ育った場所、そして今棲んでいる地で、紅葉(黄葉)と聞いて各々想い浮かべる木は皆さんそれぞれ全く異なると思います。
そんな四季のある日本列島に暮らす私たちにとって、秋の恵みである紅葉(黄葉も)の中で、個人的に意外と見過ごされている身近な木がある様な気がしています。
調べてみたら15年も前でしたが、本ブログに紅葉した柿の葉の落葉する様子を一度書いたことがありました。それは・・・、
『さて、柿の葉の落葉をご覧になったことがありますか。
まるで雨が降るかのように、次から次へと赤く色付いた柿の葉が、それこそ“サラサラ”と音を立てるように散っていきます。その様は“散る”というよりも、まさに“降る”と言った方が近い感じがします。特に風の無い日は、まるで不思議な光景を見るようで、幻想的ですらあります。
ただ、家に不在の平日だと気付かないことの方が多いのですが、前日とはうって変わって葉が落ちた柿の木の様子からは、恐らく一日の中の僅か数時間でその不思議な“現象”は終わってしまうように思います。』(第169話より抜粋)
そんな柿の木の紅葉。
他の木と違って、それは決して一定の法則や“決まり事”があるのではなく、それぞれの木に依って少しずつ紅葉の仕方が違う様に思います。紅く色付く木もあれば、どちらかというと黄色が優勢で黄葉と云った方が良い感じに色付く木もある。更に同じ木であっても、場合によっては一枚一枚、葉毎に色付き方が異なる・・・と言うよりも、「同じではない」と言った方がむしろ正しいのかもしれません。
その意味で、他の木はこの時期、紅葉或いは黄葉、そのどちらであっても殆ど“木”そのもの、若しくは例えば“モミジの永観堂”の様に木々を見る(愛でる)のだと思うのですが、柿の木の“紅葉”は赤や黄色に色付いたその葉一枚一枚が微妙に違っていて、柿の木全体としてではなくむしろ葉の一枚一枚が、例えその虫食いの跡でさえ風情が感じられて実に味わい深いのです。
コユキとの朝の散歩道。秋の色付きが日毎どの色合いを変化させていく中で、何本か道端にある柿の木の葉が色付いて落葉しており、そうした道に落ちている落葉の中から、一枚一枚目でさっと確かめながら、その目視の中で視界に飛び込んで来た色鮮やかな葉を二三枚拾って帰り、渡米した長女のマンションから引き継いで、玄関脇に取り付けてある無印良品のコーナーシェルフの上に置かれているザクロのドイリー(=敷布或いはコースター)代わりに使っています。
そんな身近で見つけた、“小さな小さな秋”・・・でした。