カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
何日か秋雨が続いた後、久し振りに北アルプスが朝くっきりと見えた10月中旬。今年も新栗のモンブランを求めて、家で独りお留守番をさせておくのは可哀そうなので、コユキも一緒にドライブがてら小布施に行って来ました。
小布施に行く前に、奥さまのリクエストで、翌々日からまた横浜に孫の世話に行くので、次女の所に送るリンゴと自家用のブドウを買うために須坂の産直市場に立ち寄りました。
小布施へは小布施PAのスマートICが便利で降りるとすぐ到着するのですが、須坂へは長野東ICで降りて暫く一般道を走ります。
長野東ICのすぐ近くでは、県下最大のショッピングモールというイオンモールが建設工事中でした。前評判でどんなに大きいかと思いましたが、3棟ある松本と比べてそんなに変わらない感じ。松本はあがたの森の近くで駅から歩いても10分足らずと市街地に在るので便利ですが、こちらは高速を降りてすぐではありますが、長野市の中心街からだと車で30分以上と結構離れていますので、長野市の商工会議所が「イオンが出来てパルコや地元デパートが閉店に追い込まれた松本の二の舞になる」と出店に反対している様ですが、果たしてどうなのでしょうか?イオンモールの影響がゼロとは言えないのかもしれませんが、(飽くまで私見ですが)パルコはセゾングループ全体のリストラの一環ですし、地元デパートは経営努力不足が真の原因でしょう。
京都の錦市場はインバウンドの影響もあって特殊でも、出町今出川の枡形商店街の様にインバウンド客など関係無く地元のお客さんで賑わっている商店街だってあるのですから、長野商工会議所も他責にではなく、自らの知恵と工夫で経営努力しないと所詮先はありますまい。
ただ須坂(長野?)のイオンモールの開店に依って、松本のイオンには結構長野ナンバーも多いので、それをこのイオンモールが吸収してくれれば、いまだ平日でも駐車場が混んでいる松本も多少駐車場に停め易くなるので有難い気もします。
さて、須坂の産直市場には1時間ちょっとで到着。家内が買い物をしている間、コユキにおやつを上げて駐車場を少し散歩。
須坂には県の果樹試験場があり、長年に亘る品種改良の中からブドウではナガノパープルやクイーンルージュ、リンゴでは“りんご三兄弟”を構成しているシナノスイートやシナノゴールドを始め、最近栽培が増えているシナノドルチェなど、シナノと冠した品種がここで誕生しています。その背景には、この“須高”地区と呼ばれる須坂と下高井郡から中野に掛けての一帯が、“フルーツ王国・信州”の中でも、リンゴ、ブドウ、更に長野市川中島の桃も含め、県下では最も果樹栽培の盛んな地域だからなのです。
65年位前でしょうか・・・、幼い頃、戦前からリンゴ栽培を始めていた祖父に連れられて、汽車に乗ってこの方面へリンゴ苗を買いに来て、その帰りに善光寺に立ち寄ってお詣りした時に境内で鳩に群がられて泣いたらしいのですが、そんな半世紀以上も前からリンゴ栽培でも北信地方のこの辺りは松本エリアの果樹栽培の先輩でした。
ですので、今でも同じ産直に並ぶブドウもリンゴも、残念ながら味も価格もこの“須高”エリアの方が松本エリアよりも上。そのため次女の家では、須坂がご実家という家内の友人の方に紹介していただいた須坂の果樹農家から、シャインマスカットやナガノパープルなどのブドウを毎年取り寄せているそうです。須坂の産直に並ぶブドウやリンゴは、値段で言えば、例え産直であってももし松本で買ったら1.5倍はするでしょうか(但し、そのためだけにここへ来るのは、高速代を考えると全くのナンセンス。飽くまで小布施や長野に来たついでに買うのであれば・・・です)。そこで、この産直で独自品種であるナガノパープル、クイーンルージュとシャインマスカット、そして旬を迎えつつあるシナノスイートも購入してから、今回の目的地である小布施に向かいました。
須坂からだと、国道403号線を来るとそのまま小布施の中心を通り抜けます。10年程前に「一度食べてみたい」という新栗の時期の期間限定商品、「小布施堂」の“和栗の点心”「朱雀」を食べるために、一時間並んで整理券をゲットしたことがありました(第797話)が、その朱雀はコロナ禍で事前の完全予約制となり、小布施堂本店前には次の予約時刻を告げる看板を持ったスタッフが立っていました。我々は一度食べてもたれてしまい、「もう(食べなくても)イイね!?」となりましたが、相変わらずの人気の様です。
その我々が新栗のこの時期、小布施に来ると「朱雀」に代わって食べているのが「栗の木テラス」のモンブランと、家内に依るとモンブランには合うというポットで供される紅茶・・・です(私メは頑固にコーヒーですが、第1772話を参照ください)。
この日は混雑を避けるべく平日なのですが、県下で面積の一番狭い自治体で市街地もこじんまりした小布施とはいえ、新栗の季節ということもあり、女性客を中心にこの集客力は大したものだと感心します。
NTTのCMで使われている、北斎が小布施滞在中に描いた岩松院の天井の鳳凰図や、彼の作品を集めた北斎館もあるとはいえ(個人的には中島千波館の方が好きですが)、或る意味“栗だけ”でのこの小布施人気はオドロキです。小布施は、国内の“町おこし”の代表的な成功例ではないでしょうか!
「桜井甘精堂」の駐車場に車を停め(栗の木テラスを含め店舗で2000円以上購入すると、駐車料金が2時間無料になります)、先ずは栗菓子の一番の老舗である本店に行って、ちょうどこの日の夕刻の例会(単なる飲み会ですが)に集まる友人たちへのお返しのお土産を購入。今回はコユキも一緒なので、私はコユキと外のベンチで待機。すると横の広場のテントで焼き栗を売っていて(桜井甘精堂自身でやってらっしゃる様でした)、半世紀近くも前ですが、新婚旅行で行ったパリでシャンゼリゼのマロニエ通りで買った焼き栗の香ばしい匂いが懐かしくて、一つ購入(300円)しました。
それからお目当ての桜井甘精堂の洋菓子・喫茶部門である、ケーキと紅茶の専門店「栗の木テラス」へ。カフェの方は8組ほどの順番待ちとか。残念ながらこちらにはワンコOKのテラス席はありませんので(残念ながら、小布施全体が“Dog Friendly”な街ではありません)、最初にナナと来た時は車でナナに待っていてもらいましたが、こちらはモンブランを食べるだけでなく併せて紅茶を注文するお客さんが多く、紅茶はポットで供されるので優に3杯分くらいはあって、しかも失礼ながら女性客が殆どなので“話に花が咲いて”食べ終わるのに優に一時間近く掛かります。
そこで、今回はコユキを車で待たせておくのは可哀そうなので、テイクアウトならすぐ買えますので、モンブラン(520円)を二つ購入して持ち帰ることにしました。帰りは駐車場へ店舗沿いに抜けていく小道を進みます。店舗の隣が洋菓子工房でガラス越しに眺められ、ちょうどマロンのロールケーキなどが作られていて、外までバニラエッセンスの良い香りが漂っていました。
帰りは市街地から栗畑とリンゴの果樹園の中を走り、たった5分で小布施PAのスマートICから高速へ。ホント近くて便利です。
1時間ほどで自宅に戻り、コユキにもおやつを上げてから早速焼き栗とケーキを頂きました。家内はコーヒーではなくモンブランには合うからと紅茶。焼き栗が香ばしいのは勿論ですが、甘くて美味しい。モンブランは二つとも家内に。一つは翌日に回して美味しくいただいたそうです。
以上、我が家の今年の“小布施の新栗”でした。