カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
秋の紅葉と聞いて想い浮かべるのは、紅い色ならモミジ、ナナカマド、ウルシ、ドウダンツツジ・・・。そして黄葉の方の黄色は、カラマツ、イチョウ、ナラ、そしてシラカバ・・・でしょうか。
ただ黄葉の場所、例えば高山や里山、平地、そして例え狭い日本列島でも北と南の緯度の違いに依って違いますし、何より一番は自分の生まれ育った場所、そして今棲んでいる地で、紅葉(黄葉)と聞いて各々想い浮かべる木は皆さんそれぞれ全く異なると思います。
そんな四季のある日本列島に暮らす私たちにとって、秋の恵みである紅葉(黄葉も)の中で、個人的に意外と見過ごされている身近な木がある様な気がしています。
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調べてみたら15年も前でしたが、本ブログに紅葉した柿の葉の落葉する様子を一度書いたことがありました。それは・・・、
『さて、柿の葉の落葉をご覧になったことがありますか。
まるで雨が降るかのように、次から次へと赤く色付いた柿の葉が、それこそ“サラサラ”と音を立てるように散っていきます。その様は“散る”というよりも、まさに“降る”と言った方が近い感じがします。特に風の無い日は、まるで不思議な光景を見るようで、幻想的ですらあります。
ただ、家に不在の平日だと気付かないことの方が多いのですが、前日とはうって変わって葉が落ちた柿の木の様子からは、恐らく一日の中の僅か数時間でその不思議な“現象”は終わってしまうように思います。』(第169話より抜粋)
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他の木と違って、それは決して一定の法則や“決まり事”があるのではなく、それぞれの木に依って少しずつ紅葉の仕方が違う様に思います。紅く色付く木もあれば、どちらかというと黄色が優勢で黄葉と云った方が良い感じに色付く木もある。更に同じ木であっても、場合によっては一枚一枚、葉毎に色付き方が異なる・・・と言うよりも、「同じではない」と言った方がむしろ正しいのかもしれません。
その意味で、他の木はこの時期、紅葉或いは黄葉、そのどちらであっても殆ど“木”そのもの、若しくは例えば“モミジの永観堂”の様に木々を見る(愛でる)のだと思うのですが、柿の木の“紅葉”は赤や黄色に色付いたその葉一枚一枚が微妙に違っていて、柿の木全体としてではなくむしろ葉の一枚一枚が、例えその虫食いの跡でさえ風情が感じられて実に味わい深いのです。
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そんな身近で見つけた、“小さな小さな秋”・・・でした。
何日か秋雨が続いた後、久し振りに北アルプスが朝くっきりと見えた10月中旬。今年も新栗のモンブランを求めて、家で独りお留守番をさせておくのは可哀そうなので、コユキも一緒にドライブがてら小布施に行って来ました。
小布施に行く前に、奥さまのリクエストで、翌々日からまた横浜に孫の世話に行くので、次女の所に送るリンゴと自家用のブドウを買うために須坂の産直市場に立ち寄りました。
小布施へは小布施PAのスマートICが便利で降りるとすぐ到着するのですが、須坂へは長野東ICで降りて暫く一般道を走ります。
長野東ICのすぐ近くでは、県下最大のショッピングモールというイオンモールが建設工事中でした。前評判でどんなに大きいかと思いましたが、3棟ある松本と比べてそんなに変わらない感じ。松本はあがたの森の近くで駅から歩いても10分足らずと市街地に在るので便利ですが、こちらは高速を降りてすぐではありますが、長野市の中心街からだと車で30分以上と結構離れていますので、長野市の商工会議所が「イオンが出来てパルコや地元デパートが閉店に追い込まれた松本の二の舞になる」と出店に反対している様ですが、果たしてどうなのでしょうか?イオンモールの影響がゼロとは言えないのかもしれませんが、(飽くまで私見ですが)パルコはセゾングループ全体のリストラの一環ですし、地元デパートは経営努力不足が真の原因でしょう。
京都の錦市場はインバウンドの影響もあって特殊でも、出町今出川の枡形商店街の様にインバウンド客など関係無く地元のお客さんで賑わっている商店街だってあるのですから、長野商工会議所も他責にではなく、自らの知恵と工夫で経営努力しないと所詮先はありますまい。
ただ須坂(長野?)のイオンモールの開店に依って、松本のイオンには結構長野ナンバーも多いので、それをこのイオンモールが吸収してくれれば、いまだ平日でも駐車場が混んでいる松本も多少駐車場に停め易くなるので有難い気もします。
さて、須坂の産直市場には1時間ちょっとで到着。家内が買い物をしている間、コユキにおやつを上げて駐車場を少し散歩。
須坂には県の果樹試験場があり、長年に亘る品種改良の中からブドウではナガノパープルやクイーンルージュ、リンゴでは“りんご三兄弟”を構成しているシナノスイートやシナノゴールドを始め、最近栽培が増えているシナノドルチェなど、シナノと冠した品種がここで誕生しています。その背景には、この“須高”地区と呼ばれる須坂と下高井郡から中野に掛けての一帯が、“フルーツ王国・信州”の中でも、リンゴ、ブドウ、更に長野市川中島の桃も含め、県下では最も果樹栽培の盛んな地域だからなのです。
65年位前でしょうか・・・、幼い頃、戦前からリンゴ栽培を始めていた祖父に連れられて、汽車に乗ってこの方面へリンゴ苗を買いに来て、その帰りに善光寺に立ち寄ってお詣りした時に境内で鳩に群がられて泣いたらしいのですが、そんな半世紀以上も前からリンゴ栽培でも北信地方のこの辺りは松本エリアの果樹栽培の先輩でした。
ですので、今でも同じ産直に並ぶブドウもリンゴも、残念ながら味も価格もこの“須高”エリアの方が松本エリアよりも上。そのため次女の家では、須坂がご実家という家内の友人の方に紹介していただいた須坂の果樹農家から、シャインマスカットやナガノパープルなどのブドウを毎年取り寄せているそうです。須坂の産直に並ぶブドウやリンゴは、値段で言えば、例え産直であってももし松本で買ったら1.5倍はするでしょうか(但し、そのためだけにここへ来るのは、高速代を考えると全くのナンセンス。飽くまで小布施や長野に来たついでに買うのであれば・・・です)。そこで、この産直で独自品種であるナガノパープル、クイーンルージュとシャインマスカット、そして旬を迎えつつあるシナノスイートも購入してから、今回の目的地である小布施に向かいました。
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須坂からだと、国道403号線を来るとそのまま小布施の中心を通り抜けます。10年程前に「一度食べてみたい」という新栗の時期の期間限定商品、「小布施堂」の“和栗の点心”「朱雀」を食べるために、一時間並んで整理券をゲットしたことがありました(第797話)が、その朱雀はコロナ禍で事前の完全予約制となり、小布施堂本店前には次の予約時刻を告げる看板を持ったスタッフが立っていました。我々は一度食べてもたれてしまい、「もう(食べなくても)イイね!?」となりましたが、相変わらずの人気の様です。
その我々が新栗のこの時期、小布施に来ると「朱雀」に代わって食べているのが「栗の木テラス」のモンブランと、家内に依るとモンブランには合うというポットで供される紅茶・・・です(私メは頑固にコーヒーですが、第1772話を参照ください)。
この日は混雑を避けるべく平日なのですが、県下で面積の一番狭い自治体で市街地もこじんまりした小布施とはいえ、新栗の季節ということもあり、女性客を中心にこの集客力は大したものだと感心します。
NTTのCMで使われている、北斎が小布施滞在中に描いた岩松院の天井の鳳凰図や、彼の作品を集めた北斎館もあるとはいえ(個人的には中島千波館の方が好きですが)、或る意味“栗だけ”でのこの小布施人気はオドロキです。小布施は、国内の“町おこし”の代表的な成功例ではないでしょうか!
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1時間ほどで自宅に戻り、コユキにもおやつを上げてから早速焼き栗とケーキを頂きました。家内はコーヒーではなくモンブランには合うからと紅茶。焼き栗が香ばしいのは勿論ですが、甘くて美味しい。モンブランは二つとも家内に。一つは翌日に回して美味しくいただいたそうです。
以上、我が家の今年の“小布施の新栗”でした。
10月上旬、マンションの3年に一度の設備点検のため、1時間全館停電となるとの通知が事前にありました。その間は、PCは勿論ですが家電製品は一切使えず、また水も出ずトイレも使用出来ず、館内のエレベーターも自動ドアも全て停止とのこと。
当初は、コユキをカートに載せて松本城まで散歩に行って、どこかワンコOKのカフェ(町を挙げて“Dog Friendly”を標榜する軽井沢に比べ、松本だけではありませんが、県内に留まらずどこもワンコOKの店が少な過ぎ!)にでも寄って来ようと言っていたのですが、奥さまはたまたまこの日お義母さんに頼まれて茅野の実家に行く用事が出来たので、止む無くコユキを連れて一人で何処かへ行くことにしました。
そこで代わりに選んだのは、城山公園に隣接する『Gallery & Cafe憩いの森』です。渡米した長女が松本に帰って来る度に行った彼女のお気に入りのカフェで、以降我々も自宅から城山公園経由でアルプス公園までの“城山トレイル”の帰りの休憩などで時々利用しています。
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またギャラリー&カフェと銘打っておられるように、店内には展示スペースがあって、地元作家の陶芸作品や工芸作品などが、期間での入れ替えをしながら展示販売がされていて、時々は小さな絵画展や貸切りでのミニコンサートも開催されています。
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この日は平日のせいかカフェにはお客さんは誰もおらず、我々だけ。停電終了まで、ここで小一時間過ごさないといけないので、コユキの水とおやつは勿論ですが、文庫本も持ってきました。
女性スタッフの方が動物好きで、コユキを可愛がってくれました。そこでコユキを見て頂いている間に、店内のギャラリーコーナーを除いてみると、地元作家の方の陶器が展示されていて、その中に前回家内と来た時に家内がとても気に入った、店内でラテ(メニュー表記はミルクコーヒー)用に使われているのと同じ大きなカップがあったので購入することにしました。その時にマスターに伺ったら、後日作品が展示される予定とのことだったのですが、ちょうどタイミングが合った様です。一脚3800円(税抜き)。
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そこで、後日コユキを連れてまた家内と一緒に伺ってテラス席で喫茶した後、もう一脚購入して帰りました。ヤレヤレ・・・。
9月23日、キッセイ文化ホール(県松本文化会館、略して“県文”)で、『まつぶん浮世絵寄席 春風亭一朝・一蔵親子会』があり、聴きに行って来ました。
以前の春風亭雛菊さんが凱旋出演したいつもの二つ目の「まつぶん新人寄席」の時に今回の開催を知り、一朝師匠は今まで一度も生で聴いたことが無かったので、その場でチケットを購入していました。
今回は演じられるネタが二席ということもあってか通常でも2500円というリーズナブルな価格設定なのですが、今回も「まつぶん新人寄席」と同様、有難いことに65歳以上はシルバー料金として更に1500円(学生も同額です)と割り引かれており、本当に有難い限りです。また、購入したのが早かったので、席はやや下手の通路側の最前列の席です。
今回は「浮世絵寄席」と銘打ってある通り、浮世絵に描かれた江戸時代の実在の人物を題材にした落語のネタをそれぞれ師匠が演ずるという趣向。そのため、既に一朝師匠が芝居ネタの「中村仲蔵」、一蔵師匠が相撲ネタの「阿武松」をいずれも本寸法で演じられると事前にネタ出しされています。
会場は、今回も中ホールで、階段状の席は使わず、フロアのパイプ椅子だけですが、さすがは春風亭一門の大御所一朝師匠と弟子の若手実力派一蔵師匠の登場ということもああって、私の様なシルバー世代主体ではありますが、お客さんで一杯でした。
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余談ですが一蔵師匠が大柄なせいもありますが、一朝師匠は思いの外小柄でビックリしました。でも木久扇師匠張りに、大師匠(師匠は彦六の弟子故
柳朝)である彦六の声色をそっくりに真似られて会場を沸かせてくれました。
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続いての一蔵師匠。2022年9月下席より8代目柳亭小燕枝、10代目入船亭扇橋と共に真打に昇進とありますので、まだ真打になって丸二年ですが、多少高座での言い回しが落語よりも講談風で、些か大仰で鼻につく感も無きにしも非ずなのですが、でも朗々としていて旨い。また決して一本調子では無く、抑える時はちゃんと抑えてメリハリも効いています。一蔵師匠は現在43歳で、入門前にトラック運転手などもやっていて入門が遅かったということもあってか、堂々としていて大柄で押し出しも良く、真打まだ丸二年とは思えません。
因みに、一蔵師匠と一緒に真打昇進となった8代目柳亭小燕枝、10代目入船亭扇橋のお二人は、それぞれ二ツ目の市弥、小辰時代に一緒に「まつぶん新人寄席」で来られていました(第1177話)が、この三人は同時昇進二年目でいずれも活きの良い実力派真打です。ここで、お仲入りが15分。
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一朝師匠は生粋の江戸っ子で、故春風亭柳朝に弟子入りし、柳朝から「女中に来たんじゃねぇんだから掃除何てやらせねぇ。ウチにも来なくてイイ。その代わり稽古をしろ!」。普通弟子入りすると、前座時代にさせられる師匠の身の回りの世話や掃除などの家事などを一切させなかったのだそうです。それで一朝師匠も亡き柳朝師匠を踏襲し、今や真打の弟子6人を抱える大所帯となった一門の弟子たちにも一切そうした家事などをさせず、落語の稽古に励ませたとか。しかし、自分だけが教えると自分の“小型”を作るだけだからと、色んな師匠に頼んで弟子たちに稽古をつけてもらったのだそうです。
また師匠は前座だった時に、寄席で出囃子を上手く吹きたくて笛を習い始め、その笛の師匠から「あなたは残りなさい」と引き留められて名取にもなり、二ツ目時代には歌舞伎座、新橋演舞場などで歌舞伎の笛を務め「落語家やめませんか」と言われたこともあったという笛の名手だそうです。この日のトークショーでも紹介されてご自身では謙遜されていましたが、師匠は千住で生まれ、大工など職人の言葉を耳にして育った江戸っ子ですが、歌舞伎の笛を勤めていた時に名優の台詞回しなどを近くで体感したことも、ご自身の江戸前落語に生きているそうです。そして今では大河ドラマなどで、江戸言葉の指導もされているのだとか。
そんな芸が生きる、芝居噺の「中村仲蔵」。
漸く名代となった歌舞伎役者の中村仲蔵が、歌舞伎の人気演目「仮名手本忠臣蔵」が取り上げられた中で貰ったのが5幕目の端役である斧定九郎の一役のみ。それは「仮名手本忠臣蔵」一番の見せ場である4幕目の「判官切腹の場」が終わり、一斉に観客が我慢していた飲食をすることから、それまでは弁当幕といわれた5幕目の端役でした。中村仲蔵は自らの工夫で演じ、今の歌舞伎の定九郎の役の型を作り上げていく物語。因みに昨年8月の「松本落語会」で古今亭菊之丞師匠が判官切腹の場面の「淀五郎」を演じられましたが、淀五郎が悩んで相談に行くのがその時には既に名人になっていた中村仲蔵でした。
この「中村仲蔵」は一朝師匠の大師匠である故林家彦六が得意としたネタであり、最後のサゲもその彦六師匠から直接アゲてもらった通りに終わりました。
この日の様に事前にネタ出しで「中村仲蔵」と指定して演じるなら、彦六からの口移しという一朝師匠が一番相応しい噺家であり、しかも歌舞伎にも精通しておられる正調江戸落語の実力者ですので、さすがはベテランとしての風格も感じられ、一朝師匠の小柄な体格がお弟子さんの一蔵師匠に負けぬ程大きく見えた高座でした。
以前ご紹介したインテリアグリーンとしての観葉植物のミニ鉢植え。ガジュマル、パキラ、コーヒー、クチナシ、そしてアジアンタム。
毎朝の水やりがささやかなルーティーンではあるのですが、買って来た時と比べ随分大きく成長したので、ここで少し大きめの鉢に植え替えてあげることにしました。
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そこで幾つか大手のホームセンターの園芸用品売り場を見て回ったのですが、別に値段は高くても構わないのですが、これといってピンとくる鉢は見当たりません。
そこで諦め掛けたのですが、すぐ近くの100均ショップもついでに覗いてみることにしました。すると、ホームセンターに在った様な如何にも安物のプラスチックという風な植木鉢ではなく、むしろオシャレで品の良い感じの鉢が並んでいて(さすがに大きな鉢は100均にはありませんでしたが)、その中から良さそうな鉢を二つ購入しました。
一方で、100均ショップには観葉植物用の土は種類が少なかったので、またホームセンターに戻って、酵素入りの観葉植物用の土を2ℓの袋で購入しました(これでも多いくらいですが、2ℓが最小でした)。
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クチナシは8㎝から10㎝、パキラは7㎝の丸い鉢から一辺が9㎝角の四角い鉢にそれぞれ一回りから二回り大きな鉢に変更です。
クチナシは枝も随分伸び、根本から新しい芽も伸びて随分窮屈そうです。そこで鉢から土が付いたまま株毎抜いて、竹串で少し伸びて固まった根をほぐします。そして植え直す鉢の真ん中に移して、周りに少しずつ観葉植物用の土を注いで、最後に株がぐらぐらしない様に土の表面を突き固め、更に土を補充して平らにならしました。
パキラは、挿し木栽培で育てたと思われる本当に小さな5sm足らずの苗を買って来て、自分で鉢に赤玉土を入れて育てたモノ。小さかった枝葉はすくすくと成長し、何本もの新しい枝葉を伸ばして5倍にも10倍にも成長しましたので、もっと大きな鉢に今回も赤玉土で補充して植え直しました。
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そして他のガジュマルやコーヒーの鉢と併せて、また成長して窮屈そうになったら、更に大きめの鉢に植え直してあげようと思います。
9月の敬老の日と秋分の日で、二週続けての三連休の狭間の平日。諏訪湖畔の渋崎に在る「原田泰治美術館」に一人で行って来ました。
家内は横浜の次女の所に行っていて留守。横浜に行く前に、ドライブがてら行かないか聞いたところ、興味無しとのお答え。原田泰治美術館には、開館してすぐ家内と一度見に行った記憶があるのですが、1998年に開館したそうですので、今回は四半世紀ぶりの再訪ということになります。
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しかし、残念ながらその複製画の手持ちの中には夏と冬に相応しい絵がありません(魁夷の「年暮る」は年末年始には相応しいとしても、冬の間ずっとでは間が抜けてしまいます)。
そこで夏と冬に飾れる複製画を求めて、(山種は買いに行くには遠いので)近間の「原田泰治美術館」へ行くことにしました。
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岡谷ジャンクションの高架橋の補修工事で、松本からだと塩嶺トンネルから岡谷JCTを過ぎるまで4~6㎞の渋滞が慢性的に発生しています。
この日も塩嶺トンネル入り口付近から渋滞しており、諏訪ICまで40分との表示。そこでノロノロと1700mのトンネルを抜けて岡谷ICで降り、岡谷市街地を抜けて釜口水門から諏訪湖畔を走る通称“西街道”で向かいました。諏訪湖畔は最近一周16㎞のサイクリング道路が全線繋がった由。この日も、観光客の方々も含めてか、たくさんの人たちが思い思いにぺダルを漕いでいおられました。
11時過ぎに「原田泰治美術館」の駐車場に到着すると、広い駐車場には車が5台程。いくら平日とはいえ、些か寂しい感じです。
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選んだのは、夏用には入道雲が背景に描かれた「ボンネットバス」と冬が四季を描いた連作の中で「ふるさとの四季・冬」の雪景色を描いた一枚。
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美術館ではちょうど開館25周年の特別企画展として「原田泰治が描く 美しい日本の童謡・唱歌展」が開かれていました。これは、館のパンフに依ると、
『「日本の歌100曲」という童謡や唱歌を集めた100曲のリストがあります。亀田製菓株式会社が設立40周年を迎えるにあたり文化事業として、全国から「21世紀に残したい童謡・唱歌」を募集(応募総数21万2,403通)したものをもとに、5名の選者(永六輔氏・服部克久氏・黒柳徹子氏・さだまさし氏・Toshi氏)により選考されたものです。
それに連なる企画の一つとして100曲ひとつひとつに合った作品を原田泰治氏が自身の作品から選出・描きおろしたものが[日本の童謡・唱歌100選]という名前で発表され、画集やCDなどの形で展開しました。』
とのこと。
“あられ、おせんべい”の亀田製菓の当時の社長が、「豪華な社史を作るくらいなら、同じ予算で何か社会に貢献出来ることを」として企画された文化事業だったそうです。2000年に100曲が選ばれ、2006年に原田泰治が描いた絵が本として出版されたそうです。
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美術館に行くと毎回思うのですが、海外ではルーブルやオルセーなど、個人使用でフラッシュを使わなければ「モナリザ」でさえ写真撮影が可能という美術館が殆どなのに、残念ながら日本の殆どの美術館では絵画については一切写真撮影が禁止なこと。今までで全部ではありませんでしたが、その数少ない例外は、2023年5月に行った国立近代美術館の特別展「重要文化財の秘密」では、明治期以降の重要文化財の殆どが一堂に会していて、その絵画も含め7割もの作品が撮影OKだったこと(第1821話)。そして、今年の春に久しぶりに云った箱根の「ポーラ美術館」でも、その多くの所蔵作品の撮影が認められていて、ビックリしました(第1891話)。
残念ながら、今回の原田泰治美術館も勿論撮影禁止でした。
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暑い日が続いたとはいえ、さすがに9月に入ると夏野菜も目に見えて日に日に衰えて来て、キュウリもミニトマトもシーズン終了といったところ。ナスは秋になっても収穫出来るかもしれませんし、青紫蘇やバジルはまだまだ元気なので霜が降りるまでは大丈夫ですが・・・。
今年二年ぶりに取り組んだ夏野菜のプランター栽培。5月末に一週間旅行不在が予定されていたため植えたのが戻って来てからでしたので、少し遅すぎた嫌いはあるのですが、それでも一昨年は特にキュウリなど「花は咲けども・・・」で全然実にならなかったのが、今年は途中で気が付いて追肥を定期的にした結果、キュウリもミニトマトも、ナスも一応収穫することが出来ました。
しかし、反省としては欲張ってプランターに苗を植え過ぎてしまったことでしょうか。もう少し余裕を持たせるべく、来シーズンはもう一つプランターを増やそうと思います。
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そこで、青紫蘇は秋口まで利用出来るように、大きな株の延びた茎をそれぞれ切り詰め、小さな枝葉の芽がまた伸びて来るようにしました。こうすることで、成長してコワくなった葉ではなく、また柔らかな葉が新しく茂ってきます。そして、最後は花を咲かせ結実させて、今度はその実をちゃんと摘んで取って置いて春になったらプランターに植えたいと思いますし、たくさん取れるでしょうから、今夏アパートから引っ越して、戸建てに暮らす次女の家にも春になったら家内に持って行ってもらうことにします。
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ただ、バジルはせいぜい使うのはその程度なので、たった一株の苗ですが、こんもりと茂って勿体無いので、家内が久しぶりにジュノベーゼソースを作ることになりました。
以前一戸建ての時は、ハーブガーデンでバジルは3株栽培していたこともあり、霜に当たるとバジルの葉は黒く変色して枯れてしまいますので、降霜前に葉を全部摘んでジュノベーゼソースやレンジを使って乾燥バジルを作ったりしていました。ただ、乾燥バジルは結果として余り使い道が無く、数年前に作ったのがまだ使い切れていません。
そこで、今回は一株だけですので、次女のリクエストで、ジュノベーゼソースを作って娘の家に家内が持って行くことになりました。
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霜が降るのにはまだまだ時間がありますので、4本程あった株立ちの中で、一番細い一本だけはまだピザやパスタに使う様に残し、残りの太い3本を全て摘み取ることにしました。
傷んだ葉と花芽を取り除き、小さな葉っぱも丁寧に摘み取った結果、ボールに山盛りになるくらいありました。
家内が丁寧に水洗いして、キッチンペーパーを何枚か拡げ、その上に葉を敷いて水気を取り、多少乾いたところでバジルの葉はたくさんあるので一度では無理で何回かに分け、松の実、にんにく、エクストラバージンオリーブオイルを加えて、ミキサーにかけて攪拌します。
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全国のお城は、“白鷺城”と呼ばれる姫路城に代表される白漆喰で塗られた白いお城と、別名“烏城”の岡山城や熊本城の様に、漆喰保護が目的の下見板張を黒く塗った豊臣系に多いとされる黒いお城に分かれますが、その“黒いお城”の中で、唯一松本城だけが築城当時から今でも黒漆が塗られているお城で、しかも毎年秋に塗り直されているのだそうです。
『松本城では、天守の塗装部分の塗り替え工事を実施します。
この工事は、松本城の保全を目的として、漆の塗装と乾燥に適したこの時期に毎年実施しています。昭和41年から毎年実施しているものです。
工事期間中は、月見櫓への入場制限や外壁への足場の設置、塗装部分を保護するために天守の一部を白いシートで覆う期間もございますので、あらかじめご了承ください。
工事内容:松本城天守下見板・月見櫓欄干の漆部分の塗り替え 』
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以下、萩原さんの書かれた文章から、その関係する箇所を拝借させていただくと、
『地元の漆職人の碇屋公章さん。昭和の解体修理の際、先代の碇屋儀一さんが請負ったものの、材料費を考えれば儲けはなく、どちらかというと善意での参画だったようです。
儀一さんはひとりですべての壁面を塗り直した後、なんとその後の約10年間は自腹で修復をしていたそう。前述のように、漆は1年も経てば傷みが目立ちはじめます。日々傷みを増し汚れていく松本城天守群の姿を、儀一さんは職人として放っておけなかったようです。
全国唯一の漆黒の天守は、職人の心意気と誇りによって伝統となり、日本の宝となった歴史があります。』
その碇屋公章さんという漆職人さんが営まれているのが、市内の天神に在る「碇屋漆器店」。因みに「いかりや」と読みます。
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そして松本平にアルプス颪(おろし)が吹き始める11月には、まさに文字通り漆黒の輝きを増した松本城が今年も見られる筈です。