カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 前の家では、家庭菜園で夏野菜と食用ハーブを栽培して楽しんでいました。
“自家製”の野菜は買ったモノと比べると、例えば敢えて小指大で収穫する“姫”キュウリを、“モロキュウ”で食べる時のパリッと折れる程のみずみずしさ。そしてまだ青い内に収穫して出荷する市販のトマトとは違って、真っ赤になってから収穫する畑のトマトの、「もしかすると、トマトはフルーツかも・・・」と思える様な本来の甘さ。また、付け合わせで捨てるなどトンデモナイ!と思える程の、ハウス栽培モノとは全く別モノだったパセリの美味しさなどなど・・・。自分で育てた方が安いというよりも、その美味しさが何より格別でした。

 引っ越したマンション。当然畑に出来るような庭はありません。田んぼは父の頃から農協(JA)に貸して耕作して貰っていますし、山にも(父の代から)知り合いの方にタダで貸している小さな畑もあるのですが、引っ越して距離も離れてしまい仮に毎日車で行くのも難儀ですし、何よりそこには水利も無いので野菜栽培には不向き(植えっ放しでも栽培可能な玉ネギとか、ダイコンなどの漬け物野菜なら良いかもしれませんが)。

 以前、長女が虎ノ門のマンションに居た頃、“キッチン菜園”でバジルと青ジソを育てていて「便利だよ」と言っていたのを思い出し、どうしても家庭菜園や庭いじりが出来ないのに我慢出来ず、一昨年ベランダで野菜を育ててみることにして、ホームセンターの園芸売り場に行って、30㎝以上の深さのあるプランター2個と浅目で長さのあるプランターを1個、そしてプランター用の土(培養土)を購入。そしていつもの園芸店で購入した苗は、キュウリ、ミニトマト、ナス、バジル、パセリ、青ジソ。
一昨年初めて“プランター野菜”にトライしてみたその結果は、パセリや青じそは問題無かったのですが、肝心のキュウリは「花は咲けども実の一つだに無きぞ悲しき・・・」で、漸くナスが数個とミニトマトがちょっと収穫出来たくらいで、家内からは、
 「あらっ、買った方が安いんじゃない・・・!?」
プランター栽培は初めてでちゃんと収穫出来る自信も無かったので、自分の小遣いの中から出費しており、家内にしてみれば、無駄な出費(“百害あって一利なし”)にしか過ぎなかった昔のタバコやお酒と同じ印象だったかもしれません。
そして、昨年は夏場出張で数週間不在となる長女のために、家内と一緒にコユキも連れて麻布台の彼女のマンションで柴犬のマイの面倒を見てあげなくてはいけなかったので、その間プランターへの水遣りが出来ないことから夏野菜の栽培は断念しました。

 しかし、マンションでもやっぱり野菜を育ててみたい!
そこで、今年は一年振りに再チャレンジしてみることにしたものです。本来ですと夏野菜はGWの頃からもう植えられるのですが、ただ信州では遅霜がある可能性もあり、特にウリ科の野菜は霜に弱いので、中長期予報をチェックしてリスクがあるなら遅めに植えるか、或いは防霜対策をする必要があります。
但し今年は6月下旬に南紀白浜旅行があって、一週間不在で水遣りが出来なくなることから、少し植えるのは遅くなるのですが、戻ってから6月末に苗を買って来てプランターに植えました。キュウリとミニトマトがそれぞれ2本。あとは、青じそ、パセリ、バジルが一株ずつ。
一昨年、初めて畑ではなくプランター栽培に挑戦し失敗。或る意味完敗と言って程の状態でしたが、栽培に関しては、昔の沢村の頃の母屋の果樹園脇の家庭菜園で色々な夏野菜を植えて収穫して、市販のモノと全く違うその美味しさを楽しんでいたので、その延長線上で同じ様に管理していました。しかし、これがいけなかったのだと思います。
というのも、我が家の果樹園は昔父のリンゴ栽培の仲間の人たちから「カネヤマの畑は土がイイだで」と羨まれる程の土壌の良さだったのです。
そんな肥えた土だったので、植えてただ水遣りさえしていれば美味しい野菜が毎年採れたのです。勿論、毎年春にはトラクターで耕して有機肥料を撒いて攪拌してはいましたが・・・。
ベランダ栽培のプランターも買って来た「元肥入り」の腐葉土を入れていますが、やはり畑の土とは違うのでしょう。そこで今年は定期的に追肥をしてみることにしました。ホームセンターで所謂3要素、チッソ、リン酸、カリが1:1:1の小さな袋の肥料を購入し、それぞれのプランターに撒いて土に混ぜます。
すると数日して効き目が表れて来ました。目で見て分かる一番の違いは、特に今まで少し黄緑っぽかったキュウリの葉っぱが、上部の方から次第に緑が濃くなってきたことでしょうか。木が元気になってきた証拠かもしれません。そして、以前は雄花ばかりで時々せっかくの雌花が咲いても黄色くなって萎れて枯れて落ちてしまっていたのが、緑色のまま成長し“ちゃんと”キュウリに成長し始めたのです。ナスも結実したのは最初だけだったのが、追肥をしたらまた花が咲き出しました。
 「ナルホド、いままでダメだったのは肥料不足だったんだ!」
 子供の頃、祖父が育てていた自家用野菜畑で採ってもらって食べた真っ赤なトマトの美味しかったこと。そして父も、農家として当たり前の様に果樹栽培の傍ら自家用の野菜を作っていました。
その父が突然倒れたので、祖父からも父からも野菜の育て方は何も聞いたことが無く、見様見真似での家庭菜園だったのですが、リンゴもですが、そうかぁ、やっぱり土が一番大事なんだ!と改めて実感した次第です。
そこで、定期的に追肥をしようと思います。ミニトマトとキュウリは順調なのですが、ナスがあまり実を付けてくれません。少しケチって苗をたくさん植え過ぎたかもしれません。来年はもう一つプランターを買って、ナスとミニトマトを分けて植えて育ててみようと思います。
ただ、二回目の追肥をしたらナスも一気に6個も花が付きました。それにキュウリと同じ様に、黄色っぽかった葉も上の方の新しい葉は緑色が濃くなりました。やはり、肥料が大事。野菜の種類にもよりますが、一ヶ月おきではなく、もう少し間隔を縮めてもよさそうです。
なお、小さなプランターにたくさん生えているのは青じそです。どうやら、一昨年植えた青じその種がプランターにこぼれていたらしく、発芽して生えてきたのです。勿体無いのでそのままにしていますが、今年結実したら種を採っておいて、来年はそれを植えてみようと思います。
 見様見真似のプランター栽培なので、色んな失敗もありますし、家庭菜園とも呼べない様なプランターでのミニ菜園ですが、それはそれで面白い!
朝夕の水やり一つとっても、毎日のルーティーン化すると何だか小さなやりがいにもなります。そして、今年の失敗は来年取り返すべく、来年もやってみようと思っています。