カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
今回、昼間コユキにはドッグヴィラの部屋でお留守番をしてもらって、我々は観光や買い物などをしたためランチも外で食べたのですが、夜もまたコユキ独りでは可哀想なので、先述した通りに出来るだけお惣菜やお弁当を買って来て部屋食での夕飯にしました。
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“知恩院門前町”を掲げるこの古川町商店街は、古くは安土桃山時代以前から、京の都に若狭からの水産物を運ぶルート「鯖街道」と呼ばれた若狭街道の終点として栄え、“東の錦”とも呼ばれた「京の東の台所」だったのだそうです。
ご多分に漏れず一時サビれたのを、商店街の町おこしで色とりどりのランタン(提灯)を飾り、今それが“フォトジェニック”だとして特に若い女性から人気の由・・・。
しかし、今回は行った時間が悪かったのか、或いは月曜日が定休なのか、地方都市の“シャッター通り”と大差ない程にシャッターを下ろした店が多く、残念ながらあまり活気が感じられませんでした。
そんな中で開いていた80代のご夫婦が営まれるお惣菜の「京山食品」で、お惣菜もおでんもどれも安い中で、700円位だったか日替わりのお弁当と名物のおでんを買いました。昔、女優の名取裕子さんがここでおでんを買って帰るのがロケで撮影されたそうで、その時の写真が記念に飾られていました。
因みに、総菜は化学調味料を一切使わず、おでんもお出汁が効いた“普通”の優しい味でした。
二日目は、錦市場の「冨美家」に行ったついでに、帰りに四条の大丸地下の食料品売り場に寄って、フロアを回って、野菜サラダやつまみ用に各種総菜、そして我が家のお気に入りの551蓬莱で2種類のシュウマイとちまき三種、更には翌日の朝食用に豚まんも、そして奥さまは下賀茂茶寮のお弁当など、二日分の夕食を買って帰りました。
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こちらは、観光客が多い錦市場とは異なり、地元の方々に密着したアーケード商店街です。“町の映画館”「出町座」や古書店など若者向けのスポットもありながら、生鮮食品店や青果店、乾物屋さんやお茶屋さん洋品店など、どちらかというと、地元の人に長く親しまれる個人商店も数多く営業している、謂わば「街の台所」。こちらは、「古川町商店街」に比べて、今でも地元の買い物客も多く随分活気がありました。
因みに、商店街の中には、かつて長年「餃子の王将」出町店の店長をされていた時、お金の無い学生にはタダで食べさせてそのお代の代わりに皿洗いをさせたという名物店長が、王将リタイア後にこの商店街で自営で餃子店を開業し、そのサービスを今でも引き継いでいるという、如何にも“学生の街”京都らしいお店もありました。
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いつもだと見た目の行列よりも意外と早く進むのですが、でもこの日はベテランスタッフが少なくアルバイトの子が多いのか、清算に時間が掛かっていて、前回より列の進みが随分遅い感じがしました。また物価高のためか、こちらも前回より値段が結構上がっていて、味はともかくとして、残念ながらコスパ的なお得感は少々下がった気がしましたが、ただ味はさすがに相変わらずの美味しさでした。
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我が家では専ら長野の善光寺門前の「八幡屋磯五郎」の七味が昔からの(県内スーパーではどこでも買えますので)定番だったのですが、京都好きの長女がお土産に買って来てくれた「黒七味」も気に入って、ちょうど終わってしまったので今回買って帰ることにしていました。最初から決めていた黒七味の他にも、店内で幾つかこちらの商品の白出汁に一振りして幾つか試飲をさせてもらった結果、気に入ったゆず辛と粉山椒も併せて買って帰ることにしました。
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そして、この三大七味程有名ではありませんが、それに続くのが「原了郭」で、その初代は赤穂浪士四十七士の一人だった原惣右衛門元辰の一子、原儀左衛門道喜という人で、のちに剃髪して名を「了郭」と名乗り、店を祇園社門前に開いたのが「原了郭」の始まりだとか。
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京都の漬物といえば、すぐき、聖護院蕪の千枚漬け、そして産地の赤紫蘇を活かした大原のしば漬け・・・でしょうか。
ホテルの近くの岡崎に本店が在る大安の他にも、西利やしば漬けの土井といった有名店を始め、家族経営の個人商店まで京の街中にはたくさんの漬物店がある中で、ホテルのスタッフの方から薦められて行ったのが、川端二条の「加藤順漬物店」。
この店は、保存料、甘味料も加えない昔ながらの手法で作っている個人経営の小さな漬物店で、一番のお薦めはやはり千枚漬け。こちらの店では、通常のものより厚くカットされた聖護院蕪と、多めに加えた昆布でのトロミが特徴・・・とのことでした。他にも、以前近江八幡の漬物店で購入して気に入った日野菜や柚子大根など、幾つかお土産に購入しました。
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そして「原了郭」の後、岡崎へ戻る途中昼食に立ち寄ったのが、川端三条、三条京阪の対面に在る昔ながらの大衆食堂「篠田屋」です。
家内は京セラ美術館のカフェでランチの食べると言っていたので、私メはこちらで戴くことにしました。学生時代4年間、しかも1年間は毎日この前を通学で歩いていたにも拘らず、今回が初めての入店です。
この「篠田屋」は1904(明治37)年創業だそうですので、ナント創業120年。100年では未だ老舗とは云われない京都ですが、食堂や洋食といった明治以降誕生した形態であれば、立派に老舗と言って良いのではないでしょうか。外観は勿論、店内も昭和レトロな雰囲気。まさに「三丁目の夕日」的な、昭和30年代にタイムスリップしたような何とも懐かしい雰囲気でした。
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他にも篠田屋名物という「皿盛」。これは、一見カツカレー風な見た目で、ご飯に掛けたルーがカレーうどん用の餡かけになっている、このお店独自のメニューなのだそうです。確かに面白そうですが、ここは初志貫徹です。
運ばれて来た大盛りの中華そば。その澄んだスープはごくあっさりで、和風とも言えそうな醤油味。うどんのつゆよりも多少は鶏ガラが効いてるなという感じのスープで殆ど脂分が浮いておらず、一般の鶏ガラからすれば非常にあっさりです。麺は中細ストレート麺で、昔ながらの黄色い麺。固めでしっかりしたモモ肉のチャーシュー、シナチク、刻んだ九条ネギがトッピングされています(どうやら、大盛はチャーシューも増やしてくれている様です)。
テーブルにコショウの瓶が無かったので訝しく思っていたら、最初からコショウが振り掛けられていました。
大盛りは結構麺の量が多く、優に二玉分以上はありそうです。そして“昔ながら”かもしれませんが、京都の出汁文化らしい和風とも言えそうな実にあっさりしたスープなのですが、昨今のこってり人気からすると、いくら鶏ガラ醤油好きの自分としても、あっさりし過ぎていて途中でやや飽きてしまいました。
「うーん、でもちょっと好みじゃないなぁ・・・やっぱり、京都でのラーメンは新福菜館かなぁ・・・?」
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第一志望だった国立大学に落ちてから進学を決めたため、京都に下宿先を探しに行った時には既に洛中に下宿先は無く、そのため一回生の時は山科の四ノ宮に下宿をしていました(余談ですが、それも駅から下宿までは結構な距離を歩くので、大学帰りに駅近くの銭湯に入ってから下宿に帰ると、冬には髪の毛が凍ったことさえありました)。
ですので、毎日四ノ宮からチンチン電車に毛が生えた様な京津線の二両連結の京阪電車で三条京阪まで行って、少し歩いて河原町三条から広小路までは市電に乗って通学していたのに、当時地上駅の駅前にあった筈のこの篠田屋のことは全く知りませんでした。勿論入ったことも無ければ、視界の中に捉えてすらいませんでした。
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「イヤハヤ、実に京都は奥が深い・・・。じゃあ今度はラーメンじゃなくて、皿盛を食べてみようかな!」
【注記】
最後の写真は、伎芸上達にご利益があるということで、祇園の芸舞妓さんからの信仰を集める祇園のシンボル「辰巳稲荷」です。ここも昔と何も変わっていない京の街の風景なのかもしれません。
余談ですが、インバウンドの観光客が全く無関心で、全く見向きもせずに通り過ぎて行くのが、彼等は歴史やエピソードではなく、飽くまでビジュアルだけに興味があるのか、ある意味面白い・・・。
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