カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
せっかくの全国旅行支援なので・・・ということで、11月末に、大混雑の京都を避けて“国のまほろば”奈良へ行くという長女に付いて行ってきました。そして、これまた「せっかくなので・・・」というお義母さんの希望で、12月に入ってから家内が一緒に二泊予定で松本の旅館「翔峰」へ。
義母は足が弱くなってしまったので、遠出は無理。そこで近間の美ヶ原温泉にしたのですが、この「翔峰」はアルピコ(旧松本電鉄)系列の宿泊施設で、オランダ人女性が女将さんに抜擢されて、全国的にも話題にもなりました。一泊二食付きですので、昼食はついていません。そこで、お昼に旅行支援キャンパーンの一環で戴ける観光クーポンを使って、お蕎麦が食べたいとのこと。しかも、せっかくなので旅館内や里山辺(美ヶ原温泉)ではなく、どこか松本市内の蕎麦店でとの希望の由。
そのため、私メもお昼だけ一緒にお相伴に与(あずか)ることになりました。市内であれば義弟の営むお蕎麦屋さんがあるのですが、母や叔母がまさしくそうなのですが、麺類を除く小麦粉消費全国一という長野県の特に戦前生まれの信州人が希望する様に「蕎麦には必ず天婦羅が付かないとダメ!」なのです。長野県は山国で油分が摂り難かったことが背景の様ですが(第137話参照)、山国で魚介類は無くても、野菜でもキノコでも何でも天婦羅にさえすれば立派な“お御馳走”(信州弁では“おごっそ”と言います)なのです。従って、蕎麦には天麩羅がマストなので、天婦羅の無い義弟の店を始め、そうした蕎麦店は除外。そこで、ネット検索をして、メニューに天婦羅や天ざるがありそうな店を検出し、その中から選んだのは、市街地で近いということもあって、本町通の「そば切りみよ田」。前回、長野駅ビル内の「そば処みよた」(第1775話)は長野市に本社のある日穀製粉の直営店で、松本店も日穀製粉が南松本に工場があることから、以前は同じく直営店だったのですが、その後王滝グループが経営権を取得して名前はそのままで経営している店。パルコ近くに支店も出すなどして、今では観光客の方々に人気の行列店になり、昔より質を落とした(つなぎを増やした)長野の「みよた」より蕎麦の質は遥かに上だと思います。
お酒の肴向けの一品もあって、昼だけ営業の蕎麦屋が多い(昼だけで十分経営可能ということなのでしょう)中では貴重な店で、手打ちそばに加えて県外からの方々が喜びそうな馬刺しや塩イカ(本来とはちょっとレシピが違うのですが)といった郷土食もあります。更には、奈川名物のとうじそば(投汁蕎麦)も松本で食べられる数少ない蕎麦店でもあります。
20分ちょっと待って入店。我々は二巡目ということですが、蕎麦は他の食事に比べて回転が速いのが(特に熱くないザルなら一層)助かります。せっかちで気の短い江戸っ子に好まれたというのもむべなる哉・・・です。
注文は、お義母さんが案の定で天婦羅そば、家内が鴨つけそば、私メがさるの大盛り。天婦羅は冷たい天ざると温かい汁蕎麦(かけ)とお皿に別盛りの天婦羅の二種類がありました(別に汁蕎麦に載せた掻き揚げそばもあり)。
小木曽製粉を始め、自社で製粉工場を持つ王滝グループの蕎麦は、御岳の裾野の文字通り王滝村の開田高原を始めとする地元産の蕎麦粉の筈で、二八のそばは細打ちでコシがあり、結構私の好みでしたが、やはり新そばの香りは無く、また更科ではなく田舎風の蕎麦であっても、新そばの時期はやや緑がかって見える筈なのに、今年の新そばは何処で食べても香りもですが色も新そばらしい感じが全くありません。
もしかすると、自分の記憶違いか、或いは個人の(加齢に伴う?)味覚の衰えか、はたまたその年々の栽培環境の違いか、更には温暖化の影響か・・・理由、原因は定かではありませんが、今年の新そば巡りは残念ながらここで諦め、終了することにします。
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