カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 観光目的では今回初めて訪ねた滋賀県でしたが、思いの外と言っては大変失礼ながら、予想以上でとても良かった旅でした。
とかくケンミンショー”的に“隣県同士の犬猿の仲”“で云うと、「お公家さんの京都に、上から目線でいつも馬鹿にされる田舎の滋賀県」という取り上げ方をされ、「だったら、琵琶湖の水止めんゾー!」と拗ねる滋賀県・・・というワンパターンの構図なのですが、嘗て“近江を制する者は天下を制す”と云われた通り、政治経済両面での要衝の地。しかも、琵琶湖から淀川水系一本で京都を経て大阪湾に至ることから、滋賀に留まらず“三方良し”の近江商人をそのルーツとする企業には、日本を代表する錚々たる大手企業が並びます。

 先ず、現地に行って分かったことは、比良山系や鈴鹿山脈などに囲まれた内陸県で、琵琶湖が県の面積の1/6を占めているというのに、平野部(平地)の広いこと。米どころであることが一目で分かります。
また、草津から野洲、彦根辺りまで、平日の朝に駅に向かうと、何だか学生や子供たちの多いことに驚かされます。長野県などは高齢化が進み、町内会によっては年寄りばかりで子供が居ない・・・という地区も決して少なくないのですが、滋賀県では、朝の通勤通学時間帯に、街中で集団登校する子供たちや、自転車通学をする中高生が何だかやたらと目に付くのです。もしかすると、私服の多い長野県の学校と、制服の学校が多そうな滋賀県という視覚的な印象の違いもあるのかもしれませんが、目に飛び込んで来る子供たちの数が圧倒的に多い気がしました。
また、例えば草津市は人口僅か14.5万人とのことですが、草津や草津南の駅周辺にはやたらと高層マンションが目立ちます。確かに草津は京阪への通勤通学の便も良いので、京都や大阪のベッドタウン化しているのかもしれません。また彦根にしても人口は僅か11万人だそうですし、近江八幡は8万人だそうですが、街が非常にコンパクトで住み易さを感じます。

 ひと山を挟むだけで、京都(といっても山科ですが)に近い大津が県庁所在地(確かにその昔都が置かれていたとはいえ、琵琶湖の棹の先で、北に偏った長野県同様、県庁所在地としてはちょっと南に偏り過ぎな気もしますが・・・)で、人口も一番多い34万人だそうですが、草津のイオンモールなど大津からも近いとはいえ、たかだか14万人の都市のショッピングモールとは思えぬ程の大きさで、逆に人口の数を聞いてビックリした程でした。また少し郊外に出れば、広大な琵琶湖と共にのどかな里の景観が拡がっているのも癒されてイイ・・・。
そういう意味で、滋賀県には京阪神に近いという意味でのポテンシャルの高さを感じます。何より、若者が多いというのが街に活気があってとても羨ましく思います。
そんなことも影響しているのか、昔の滋賀県は甲子園でも活躍したという記憶は殆どありませんでしたが、最近では今センバツで準優勝(しかも近畿地区の補欠校)した彦根の近江高校やサッカーの野洲高校など、スポーツでも活躍する滋賀県チームが増えてきた気がします。若者が増え、県全体に活気が出て来ているのかもしれません。
 人口的には8万人の近江八幡と11万人という彦根。
運河としての機能を失った堀を、住民自らの意志と努力で維持保存してきた結果、歴史的な街並みと共に、今では観光スポットとして多くの観光客を集めています。一方彦根は、目玉の彦根城を中心に、中心街が駅周辺に移り、地盤沈下した街の再活性化を目的に、行政の支援の下、江戸期の建物・風情を再現した町並みを再現し、結果としてお城からの観光客を街中へ人の流れを誘導することに成功しています。
同様に、以前「籠清」で蒲鉾を買うために立ち寄った小田原駅前も、「かまぼこ通り」という江戸時代の小田原宿の街並みを再現した街並みがありました。
同じ城下町でも、角館や萩津和野の街並みの様な歴史的価値は無くとも、ある統一性を持った街並みを再現することは大いに参考にすべきだと思います。
城下町である松本にも、結果として残った“蔵の街”中町や大正期の建物が点在する街並みの上土がありますが、大名町や本町などは各々勝手な建物が立ち並び統一性は全く感じられません。
もし、観光的に集客を目的とするならば(そうでなければどうでも良いのですが)、そうした統一性はとても重要だと思います。
松本市も、せっかく大手門跡の桝形や外堀復活を目的に市が土地買収をしたのですから、ちゃんとした計画をベースに彦根市の様に統一性を持った街づくりをして欲しいものだと思いました。
 滋賀県は、観光的には地元関西ではともかく、東日本的には京都奈良が近いだけに素通りされて盲点になっている気がします。大津など京阪電鉄一本で直ぐに京都三条に出られますので、便の悪い京都の外れに泊まるくらいだったら、却って大津や草津に泊まった方がコスパも良い筈です。またアクセスだけではなく、今回は行けなかった紫式部ゆかりの石山寺や三井寺、そして滋賀県からの比叡山、近江八幡や、長浜、琵琶湖の浮御堂や竹生島など、観光的にも魅力的なスポットがあります。
確かに京都は魅力的ですが、いずれあのインバウンドの人波が戻って来るかと思うと、行きたい時は京都にも行けて、そうでない時はノンビリ湖岸のカフェで焼きたてのバウムクーヘンを食べながら・・・。喧噪の無い静かな琵琶湖のほとりで、そんな過ごし方をしていた方が良いのかもしれません・・・。
初めての滋賀県でしたが、大いに感じ入った素敵な旅となりました。
【追記】
いつもより評価点が高いのは、もしかすると(京都も同様なのですが)今回の近江八幡と彦根への滋賀旅が車ではなく電車で移動・観光が出来たので、昼間からビールを楽しめたせいかもしれません。もしも主観が過ぎたとしても、何分飲兵衛故に悪しからずで何卒ご容赦願います・・・。