カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
渡米前にどうしても一度長女を連れて来たかった、裏町の「はしご横丁」に在る“日本一小さなインド料理店”「DOON食堂印度山」。
2016年3月にオープンした、松本には珍しい北インドの家庭料理の店。
その一風変わった名前のDOONというのは、インド人のご主人アシシュさんの出身地からの命名で、印度山というのはアシシュさんがお相撲さんの様に大柄なので四股名風に名付けたのだとか。
私が初めてこの店で食べたのが、開店から一年経った2017年の5月でした。その時に、お互い同じ会社にいたことを初めて知りました。今回は実に5年振りの再訪です。
その間、瞬く間にその本格的なインドの味で有名店となり、マスコミ等でも東京のキー局に取り上げられたり、異業種とのコラボや「松本カレーラリー」の中心メンバーとなったりと大忙しで、遂には、重いフライパンを振る料理人には有りがちな、肘を痛めて手術入院とその後のリハビリで暫く休業を余儀無くされたりと・・・。
一方、こちらもその後何度も来ようと思った(実際に何度か店には来た)のですが、スケジュールが合わなかったり、お店が休業されていたり、コロナ禍だったりとなかなか食べる機会が無く、今回渡米前の長女と家内も一緒に漸くランチに伺うことが出来ました。
中には成功し独立した店もある様ですが、一方で閉店した店もあり、夜のみ営業する居酒屋さんなどを除くと、現在昼間営業しているのはこの「印度山」のみとのこと(横丁対面の魚屋さん「魚長」に数台分の駐車場が確保されていますが、この辺りは一方通行ばかりなので、車で行く時は道順を事前に確認した方が良いでしょう)。
当時は、2坪程の小さなお店に3人掛けのテーブル席が2卓あるだけでしたが、人気店となってお客さんも増えたために、同じ様なスペースのお店を二軒増やして席数を増やして営業されておられましたが、我々が伺ったのは金曜日のランチタイムですが、直ぐに全部のテーブルが埋まりました。
オーダーしたのは、娘と家内が、チキン、キーマ、豆のカレーのコンボセット(1400円)をコシヒカリからインド米であるバスマティ米(+100円)に変更。因みに、このバスマティ種というお米は、インディカ米の中でも特に“高級米”と謳われる米で、玄米そのものに若干の香りがあり、炊くと一層香りが強くなる「香り米」の一種で、インドやパキスタンなどカシミール地方で栽培されているお米なのだそうです。見た目、タイ米のジャスミン米よりも更に長細い感じです。アシシュさんに依れば、タイ米よりもパラパラとしているのだとか。
私メは、マトンタリー(1600円)にチャパティ(一枚100円)を追加。接客を担当されている日本人の奥さまから、注文を受けながら「(マトンカリーは)“マトンマトン”してますけど、大丈夫ですか?」と心配頂く声に、「シンガポールでしょっちゅうインド料理食べてましたから、全然大丈夫です!」。
それで、以前食べに来た時にシンガポールや偶然同じ会社にいたことなど色々話したので、奥さまも何となく思い出してくださったようで、しかも奥さま曰く、
「アシシュは一度でも来てくださったお客様のことは決して忘れずに、私なんかよりもホントに良く覚えていますから・・・」
そういえば、その時に小学校低学年の息子さんがパパっと安産で会計を手伝っているのを見て、さすが!と感心したことがありました(インドでは二桁までの掛け算を暗算で覚えますから)。その息子さん、今6年生だったか、もう180㎝を超えてるとか(バスケか、バレーか・・・もしやってたら将来が楽しみ!)。
5年前に来た時に教えて頂いたのですが、北インド料理で一般的なナンはタンドールという釜で焼くのですが、ナンやタンドーリチキンなどはその高価な釜を常備出来た本来は高級な宮廷料理であって、普通の家庭にはタンドールが無いので、一般的に普段家庭で食べるのは全粒粉を使った薄焼きのようなこのチャパティなのだそうです(乾燥する北インドは小麦文化でナンやチャパティが主食ですが、最近日本でも見掛ける様になった南インド料理はミールスやビリヤニに代表される通りに、高温多湿の南インドは稲作が盛んでお米が主食。昔、シンガポール経由でインドのチェンナイからバンガロールとムンバイに出張した時に、現地では毎日インド料理を食べましたが、シンガポールでいつも食べに行っていた、今は無き北インド料理店「モティ・マハール」の方が遥かに美味しかったですし、決して高級店では無かったのですが、あれ以上のインド料理にはいまだ出会えずにいます)。
更に、それぞれに付いてくる、ひよこ豆の粉を焼いた煎餅の様なのがパパドで、崩してご飯と一緒に食べるとパリパリして違った食感が楽しめるとのこと(個人的にはセットのライスや苦手なヨーグルトとかデザートも要らないので、今度からはカレー2種類とチャパティ数枚だけでイイかな)。
始めて食べる長女も家内もどうやら感激の様子。長女に至っては、東京でもこんな本格的なインド料理が味わえる店はなかなか無いとのこと。
「へぇ~・・・、これが松本で食べられるなんて・・・」
アシシュさん曰く、
「どうしても日本人向けに味を合わせてしまうから、我々インド人からすると“ちょっと違う”という風になるけど、ここは私のお母さんがインドで調合してくれるスパイスで、私の家庭の味そのもの。今まで私が日本で食べた中では、例えば銀座のインド料理店「ナイル」は本当の北インド料理でした。」
とのことでした。
余談ですが、本場のインドに逆進出した「CoCo壱」は、むしろ現地のインドの人たち向けにちゃんとアレンジしたメニューがあって、地元の方々にも人気なのだとか。実際に、アシシュさんも食べて美味しかったそうで、十分インドでもやっていけるだろうとのこと。
以前松本で食べたインド料理店(既に閉店。ただ、ちゃんとサモサやチキン・ティカもある本格的な店だったんですが)は、油の使い過ぎで(しかも油が古過ぎて)閉口した家内も、家庭料理としての「印度山」のインドカリーは油の量が抑えられていて、むしろアッサリで気に入った様子。これなら大丈夫とのことで、また来たいとの由。お陰さまで、また食べに来れそうです。三人とも満足満腹で、
「美味しかったです!ごちそうさまでした。」
「これからは一人じゃなくても良さそうなので、また来ますね!」