カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 “暑さ寒さも彼岸まで”と云いますが、今年は9月になっても余り残暑がなく、またなかなかスカッとした秋晴れもありませんでした。
ところが、お彼岸を過ぎたら“残暑”なのか、信州でも28℃を記録するなど急に夏が戻った様に暑くなり、日中はまた半袖を出して着てみたり・・・。
そして10月の声を聞くと天気の良い秋晴れの日が現れる様になり、日によっては松本平からは北アルプスの峰々も遠く白馬方面までクッキリと見渡せるようになりました。
9月末にはやっと緊急事態宣言も解除されたので、週末は松本の街中でも観光客や県外車が目立つようになりました。

 我が家では、10月中旬にビッグイベントが予定されているので、今年の秋の旅行はありません。秋の紅葉も、仮に見に行けたとしても、せいぜい日帰りで行ける範囲で楽しむしかありません。
そんな代わり映えのしない普通の日常生活の中ですが、でも気を付けて見ていると、身近な街角にも季節の移り変わりを感じたり発見したりすることが出来ます。

 そこで、週末の“街角ウォーキング”の際に見つけた、そんな何気ない松本の“夏から秋への衣替え”の幾つかです(掲載の写真は、何れも9月19日に撮影しました)。

 最初は、蟻ヶ崎のコマクサ道路沿いに在る塩釜(鹽竈)神社の境内の隅で見つけた、古い道祖神とヒガンバナ。天候不順な年でも、その名の通り秋のお彼岸近辺になるとチャンと咲くから不思議です。別名曼珠沙華(マンジュシャゲ)。そのおどろおどろしい程の赤に、好き嫌いは分かれる様ですが、彼岸花の名前通りに秋の訪れを感じさせてくれる花です。
因みに、この塩釜さまは文字通り奥州一之宮の鹽竈神社の分社。鹽竈神社の祭神は塩作りを広めた神様だそうですが、全国に100社を超える分社が在るとはいえ、なぜ塩作りとは全く関係の無い信州に鎮座しているのかは不明。江戸初期に勧請したそうですが、地元ではむしろ安産の神様として慕われています。家内も戌の日に、母に連れられて塩釜さまに安産祈願にお参りしたとか。
 二枚目の写真は、松本中町の街中で見つけたガクアジサイです。本来アジサイは梅雨から夏の花。従って他の花は既に全部咲き終わっていますが、この花だけが咲き忘れていたのか、一輪だけ遅れて咲いていました。アイルランド民謡の“The last rose of summer”(日本名は「庭の千草」)ではありませんが、まさに“夏の名残の花一輪”、夏の終わり・・・です。
 最後は、秋晴れの松本城。澄んだ秋空と、その青に同化するように夏山の青い屏風の北アルプスが背後に聳えます。山では9月に入って、もう初氷も張ったとか。冬山もすぐそこです。そして、まだ夏の名残のそんな青を背景に、黒と白が映える松本城。漆喰の白が輝く“白鷺城”の姫路城とは対照的に、別名烏城と云われるのは白の漆喰と黒漆の下見板のコントラスト故ですが、岡山城や松江城などと同様に豊臣の城を代表するのがこの黒です。良く“漆黒の闇”と云われますが、それはこの黒漆の黒色を指します。個人的には雪の松本城の方が、よりモノトーンの城が映える気がして好きですが、お城には四季折々の顔があり、これからお城は欅と桜の紅葉に包まれます。
また、ちょうどこの時期は年に一度のその黒漆の塗り直し作業で、先ずは月見櫓が作業用シートで覆われていました。
松本城管理事務所のH/Pに依ると、今年は8月30日から10月22日まで行われる天守閣の漆の塗り替え工事で、そのうち9月4日から10月19日頃まで月見櫓にシートが掛けられるとのことです。
お城の黒漆の塗り替え工事、どうやらこちらも夏から秋への松本城の衣替えのための恒例行事です。