カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
日本人なら誰もがきっと一度は世話になったであろう、永谷園のお茶漬け。特に、受験勉強のお夜食や飲んで遅く帰って来た時の〆など、小腹が空いた時などに、
「何か無い!?」
「お茶漬けならあるわよ!」
で、ササっと一杯。簡単ですが、最高の一杯でしょう。
インスタントとはいえ、ふりかけ同様に、改良改善、技術革新で食感や味付けも美味しくなって、今や鮭茶、海苔茶、梅茶などなど・・・居酒屋の〆の一杯に近付く程の進歩を見せていると言っても、決して過言では無いかもしれません。その意味では、簡単に食べられるインスタントのお茶漬けを初めて世に出した(私メが生まれる前の昭和27年とか)、永谷園の功績は大いに称賛されて然るべきだと思います。
余談ですが、永谷園ですぐ思い浮かぶのが、あの三色のパッケージ(大相撲の永谷園の懸賞幕にも使われています)。黒が海苔、柿色があられ、萌葱色がお茶を表しているのだそうですが、これは歌舞伎の「定式幕」を採用したモノ。定式幕というのは、主に歌舞伎の幕開きと終幕に使われる3色で構成される縦縞の幕。元は江戸の芝居小屋(江戸三座。江戸時代に唯一引幕の使用が江戸幕府より許可されていた芝居小屋)の幕に由来するのだそうです。その三色に代表させているのが「お茶漬け海苔」ですので、「お茶漬け」は永谷園の創業以来の看板商品なのでしょう。
いつでも簡単にお湯(勿論日本茶でも良いのですが)を注ぐだけで作れるインスタントのお茶漬けを、広く一般家庭に広めた永谷園の功績は大いに評価しますが、今TVCMで流している「目覚まし茶漬け」は果たして如何なモノか???永谷園に依れば、
『朝食にお茶づけを食べる「目覚まし茶づけ」を新習慣として提案いたします。朝食はエネルギー不足になりがちな朝の子どもの「あたま」「からだ」 「おなか」の3つのスイッチを入れることができます。
ご飯からブドウ糖を摂取することで、効率よく脳にエネルギーを補給できる「あたまのスイッチ」。
からだがポカポカし動きやすくなる「からだのスイッチ」。
胃腸を動かすことで、排便のリズムが整う「おなかのスイッチ」。
お茶づけはご飯を使った食事なので、この3つのスイッチを入れる朝食にぴったりです。
そして、お茶づけは子どもの91%が好きな食べ物と回答し、98%がサラサラと食べやすいと回答するなど、子どもに人気の食べ物となっております。
また、お茶碗一つで作ることができ、お碗にお米も張り付きにくいことから後片付けも簡単で、忙しい朝のお母さんにもゆとりを持っていただける朝食です。
忙しい朝でもササっとつくれ、お子さまのスイッチONをサポートする「目覚まし茶づけ」を是非お試しください。』
とのこと。分からないではないですが、如何なモノか???
確かに、忙しい共稼ぎの子育て家庭で、何も食べさせずに朝食抜きで学校に行かせるくらいなら、何でも食べさせた方が良いというのは分かります。そしてその時に、エネルギー源となるブドウ糖を摂取するためであれば、(炭水化物からなら)オニギリでもパンでも良いし、その名の通りブドウやバナナなどの果物からでも摂取出来ますので、何もお茶漬けでなくても良い筈です。どうしてもお茶漬けの消費拡大(のみ)が目的の“こじつけ”としか思えません。しかも、TVCMで子供たちが喜んで「目覚まし茶漬け」を食べて学校に出掛けたことに「ヨシッ!」と喜ぶお母さん役の女優さんの演技は、大袈裟過ぎて何だかヘドが出るのです。
そのお母さん役を演じられる方・・・。朝、肘をついて味噌汁椀を持つ子供を行儀が悪いと注意するのなら、インスタントの味噌汁だけでなく、朝からお茶漬けを子供に食べさせるお母さんてどうなんでしょうか?
自社製品である永谷園の創業家ではともかく、或る意味日本的家庭の代表格でもあろう梨園では朝からインスタントの味噌汁とお茶漬けを子供に食べさせておられたのでしょうか?
(そんなに子供のことを思うの)だったら、もう少し早く起きて、(子供が喜ぶ)甘い卵焼きと炊き立てのご飯と味噌汁で食べさせてあげればイイじゃん!
もし(共稼ぎ家庭やシングルマザーで)時間が無いのなら、昨日のご飯をレンジで“チン”して(それこそ、永谷園のふりかけを掛けてあげても良いから)、それと(体に良い発酵食品の)納豆と(インスタントではなく)昨日の余ったお味噌汁を温めるだけで良いから、食べさせてあげればイイじゃん!!
確かに朝も食べてもらえれば、新たな“お茶漬け需要”を生むことは間違いのでしょうが、果たして会社の思惑通り売り上げ拡大に繋がっているのでしょうか?個人的には、このCMシリーズって却ってイメージダウンになっているんじゃないか、と思えて仕方がないのですが・・・?
半世紀以上も前ですが、多分国語の教科書だったと思うのですが詩が載っていて、「朝、布団の中で目覚めると、トントントントンという音が台所から聞こえてくる。お母さんが包丁で刻むまな板の音。そして、何か良い匂いがしてくる。味噌汁の匂い・・・。」
という様な内容だったと記憶しています。
朝早く聞こえてくる包丁が叩くまな板の音、そして味噌汁の匂い・・。
古いと云われればそれまでですが、これこそが五感で感じるお母さんであり、母の味なのではないでしょうか?
文句を言っては何ですが、朝のお茶漬けはともかく、永谷園の「大人のふりかけ」は我が家の(私メ専用ですが)常備食です。ただ、「すき焼き」と言えば丸美屋なのですが、大人用で「すき焼き」が無いのは些か物足りないのですが・・・(もしかすると丸美屋の特許?)