カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 7月21日、城北公民会主催の自然観察講座に夫婦二人で参加して来ました。
行先は白馬五竜高山植物園。参加費用は一人 3,000 円(ゴンドラリフト乗車料、昼食代)で、 20人(先着順)とのこと。
松本市の公民会主催のイベントには、市保有のマイクロバスが使われますが、今回はそれに加え、白馬五竜植物園のマイクロバスも来てくれて2台。コロナ対策で席と席の間隔を空け、一台に10名ずつの乗車。参加者は平日ということもあるかもしれませんが(以前の上高地ツアーの時は、週末だったせいか、小学生の家族連れも多かったのですが)、今回は我々が一番下くらいで70代以上の高齢者の皆さんが殆どでした。
 途中松川村の道の駅でトイレ休憩し、大町の仁科三湖を過ぎて佐野坂を下って白馬村に入ると、すぐに白馬五竜スキー場への入り口です。国道から分かれて少し坂を上り、ビジターセンターやレストランなどが入る総合施設「エスカルプラザ」で下車。そのすぐ近くの五竜テレキャビンの麓駅からゴンドラリフトで、一気に高低差700m、長さ2㎞を登って8分間で山頂駅に到着します(運が良ければ、テレキャビンからカモシカを見られることもあるそうです)。そこから高山植物園の周遊コースがスタートし、片道上り下り各30分とのこと。最初にスタッフの方から植物園についての説明を受け、昼食での集合時間を確認し、自由時間で思い思いに散策を開始です。

 白馬五竜高山植物園は、Hakuba47を構成する白馬五竜スキー場の標高1515mの斜面を利用して、300種200万株という高山植物に特化した植物園。
本来、標高2,500m以上の高山帯でしか見られない高山植物から亜高山帯の植物、山野草まで様々な植物を植栽していて、園内ではヒマラヤの青いケシが一番人気の様ですが、高山植物の女王とも呼ばれる「コマクサ」が園内に12万株も群生しているとのことで、本来2500m以上の高山帯へ本格的な登山をしないと見られない正に“高嶺の花”であるコマクサの群落を登山しなくても間近に見られるのが、個人的にはこの植物園の一番の見どころの様に思います。

この日は晴れ予報で途中爺ヶ岳位まではクッキリと姿を望めたのですが、残念ながら鹿島槍から北側の白馬方面は雲の中。
植物園と並行して植物園上部への展望リフトもあり(坂を上るのが苦手なお年寄りはリフトに乗って上から坂を下りて来ることも可能です)、そこから先には小遠見山まで続くトレッキングコースもあるのですが、今回は自由時間が少ないので、途中の標高1676mの地蔵の頭と呼ばれる遠見尾根の突端に建つ地蔵ケルンまで行ってみることにしました。
 3年前に登った唐松岳(2696m)は、ゴンドラリフトを使えば初心者でも八方尾根からの日帰り登山も可能でしたが、唐松岳から五竜岳(2814m)への縦走ルートには、唐松から白馬岳への不帰ノ嶮(不帰キレット)に負けず、途中牛首から大国岳などの岩場や鎖場などの難所が連続し、更に猫耳の様な双耳峰の鹿島槍へは同じく北アルプス三大キレットの一つ八峰キレットを超えて至るという縦走ルートで、後立山連峰を代表する稜線とも云われています。時々雲が切れると、唐松岳のすぐ左肩にチョコンと鍵先の様に飛び出している岩塊の牛首と、左側の谷合に三角形に突き出た大国岳が望め、その瞬間も誰かが挑んでいるだろう険しい稜線に思いを馳せて登山者の無事を祈ります。
 高山植物園は、木道や階段などの散策路が園内のエリア毎に植生が湧けられた群落を巡る様に歩き易く整備されています。人気のヒマラヤの青いケシの群落は、株分けをしたら今年の花付きが思いの外悪かったとのこと。それでも数株はあの印象的な青い花が咲いていました。残念ながらウルップソウは既に花の時季が終わっていましたが、コマクサは満開。唐松岳でも群落がありましたが、こちらの方が(野生ではないとしても)見事な大群落です(奥さまは、登山教室で登った白馬岳のコマクサの群落の方が良かったとの仰せでしたが・・・?)。しかも2500m超の高山帯の様なザレ場(砂礫地)が1500mの斜面にちゃんと再現されていて、そこにコマクサの株が植えられていて群落を形成しています。
また初めて見る、珍しい白いコマクサ(シロバナコマクサ)も咲いていました。五竜岳への登山ルートでもある植物園最上部から遠見尾根突端の地蔵ケルンまでのトレッキングコースでは登山道の脇に野生のニッコウキスゲなども咲いていて、中には縦走を終えられてか、下山して来るリュックを背負った登山者の方々と途中で何組もすれ違いました。
時刻を確認しながら、集合時間に遅れぬようにテレキャビン山頂駅まで下ります。途中、園内を流れる沢の雪解け水を溜めた沼の様な小さな池もあり、イワナの幼魚がたくさん泳いでいて、自由に(無料で)エサをあげられる様でした。
 植物園というとどうしても人工的な感じが拭えないのですが、この白馬五竜の高山植物園はスタート地点の1515mから高低差100m以上も上る斜面を利用して、北アルプスの自然に近い感じになるように手入れがされていて(その日も園内の雑草取りか、10数名のスタッフの方々が一生懸命作業をされていました)、コマクサなどの高山植物を楽しむことが出来ます。更に最後1676mの地蔵ケルンまで行けば(時間があれば、そこから登り2時間、下り1時間半で小遠見山までのトレッキング可能とのこと)プチ登山気分も味わえますので、小さなお子さんの夏休みに家族連れでの北アルプス散策にはお薦めかもしれません。一見の価値ありで、正直、予想以上に満足出来た、“北アルプスの天空の花園”「白馬五竜高山植物園」でした。