カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 仙石原に在る「箱根湿生花園」。
箱根町の町立で、日本で初めての湿生植物園だそうです。前回も仙石原に滞在し何度か近くを通ったのですが、これまでは入園したことがありませんでした。場所は仙石原の平地に在り、3万㎡の広さの園内の湿原や草原に、約1700種種の植物が四季折々に花を咲かせているのだそうです。広い園内には木道などがあって、抱っこするかカートに入れればワンコも入園OKとのこと。前回の「強羅公園」の様な急坂の傾斜地を活かした公園ではないので、ここならナナとコユキもカートに入って散策することも出来ます。この日は曇っていて暑く無かったこともあり、ワンコも一緒に行くことにしました。

 植物園なので、当然と言えば当然なのかもしれませんが、登山道やトレッキングなどとは違い興味を持った草木に全て名前と解説版が取り付けられているのが有難い。子供が小学生とかで、夏休みとかの理科の宿題で観察とかで来るには最適かもしれません。ナナとコユキもカートに入ってのんびりと、順路に沿って園内を散策・
園内は、広葉樹林、ススキ草原、低層湿原、ヌマガヤ草原と順路に沿って植生が分けられていて、それに相応しい植物が植えられています。中にはコマクサなどの高山植物など、この場所と標高とは無関係なものもありますが、例えば“高山植物の女王”コマクサは、唐松岳で見たコマクサとは生育が異なっていて(何となく茎がだらしなく伸び過ぎていて)その植物はその植物の生育すべき環境で咲かせるのが一番美しいのだろうと素人ながら感じました。そういう意味で、仙石原湿原の植生復元エリアなどはいずれ本来の仙石原の自然の姿がここで見られるようになるかもしれません。
 湿原の向こうには(秋の)観光スポットのススキ草原や白い噴気を上げる大涌谷も望めます。こうして見ると、大涌谷は仙石原からすぐ近く。仙石原は大涌谷から引き湯をしているというのもナルホドと頷けます。
 “やはり野におけ”と云っても、例えばヒマラヤの青いケシは、普通の人がそこに行くのは無理なので、ここで見られたのは有難い限り。本当に空色に近い神秘的な青色でした。この世に存在しない青いバラもそうですが、これからの季節ですと空色を映したような青いアジサイなど、自然界の花の色として少ないからなのか、人は何となく青い色に殊更惹かれるような気がします。他にも、珍しい植物が色々あって広い園内も見ていて飽きません。
 そして同様に、今回訪れた時にちょうど園内で開催されていた「箱根のちいさなあじさい展~ヤマアジサイの魅力~」。
ガクアジサイ(山アジサイ)の鉢がたくさん展示されていて、愛好家でも初めて見るような品種含め200種が展示されていました。
個人的には、華やかなハイドランジアよりも、原種である日本原産の清楚なガクアジサイ(山アジサイ)の方に“ワビサビ”の様な不思議な魅力を感じます。
また同じ青系でも鉢によって様々な色があり、梅雨入りを前にして、見ていて飽きることが無い程にとても魅力的でした。
 箱根湿生花園。それなりに来園者がいても、園内は広いので殆ど会うことも無く、また順路も一方通行なので人とすれ違うこともありません。見終わって出ると駐車場には結構な車があって、想像以上にお客さんが来ているのが分かりました。皆さん、密を避けるべく同じ考えで来られたのかもしれません。
同じ箱根でも、例えば色とりどりのバラの咲き、中央に噴水がある西洋式のシンメトリーに設計された強羅公園の様な華やかさは無く、湿生花園はむしろ渋い感じではありますが、箱根の自然の中にひっそりと身を置く様な、結構魅力的な植物園でした。