カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 お堀端の桜も散って、葉桜となっていた4月17日。開運堂の季節限定商品である桜餅に代わって、今度は草だんごが販売開始になりました。
ちょうど18日に、定例のお参りを兼ねたウォーキングで市街地に下ったことから、早速帰りに開運堂の松風庵に寄って、草だんごを買って来ました。
開運堂では、草餅ではなく草だんご。因みに、米粉を捏ねて丸めるのが団子で、もち米をつぶしてついたのが餅ですので、開運堂ではうるち米ともち米の粉を捏ね、ヨモギの若草を混ぜて団子にしているということになります。

 不思議に感じたのは、草色の包装紙に印刷された和歌。

 『いわそそぐ たるみのうえ早蕨の もえいずる春になりにけるかな』

とあり、教科書で習った
 『石はしる 垂水の上の早蕨の 萌え出づる春に なりにけるかも』
とは少し違っています。
 学校で習ったのは「万葉集」に収められた有名な和歌なのですが、この包装紙にあるのは万葉集ではなく新古今和歌集に収められた和歌で、しかも「石はしる」ではなく「岩そそぐ」、更に「なりにけるかも」は「なりにけるかな」と読み方が変えられて収録されているのだそうです。
包装紙の筆字は藤原行成の書とありますが、『藤原行成(972~1027)は平安時代中期の貴族で、能書(のうしょ)として知られ、小野道風、藤原佐理とともに「三跡」と称されています』とのこと。
従って、包装紙の藤原行成の書になる和歌は、万葉集の元歌ではなく藤原定家等に寄って纏められた「新古今和歌集」に掲載された和歌ということになります。
何だか“石はしる”と詠った万葉集の勢い良く流れる雪解け水が、平安の世らしく優雅ではありますが、チョロチョロと優しく流れるせせらぎに代わってしまった様な気がします。尚、包装紙にはもう一首、行成の筆で書かれていました。
 さて、季節限定の開運堂の草だんご。縦横20㎝×10㎝位の箱に8個入っていて、税込み897円とのこと。生モノですので、3日間しか日持ちがしません。ふたを開けると、びっしりと北海道産の小豆のつぶ餡が敷き詰められていて、団子の姿は全く見えません。そのため、8つの円が書かれた透明なフィルムが張ってあり団子の在り処を示していて、団子をすくうためにプラスチックのヘラが箱に入っています。
一本100円ちょっとの普通の串団子に比べれば、一粒100円以上の値段からして当然かもしれませんが、ヨモギの量も多いのでしょう。春らしい若草の香りがします。また団子としては良く捏ねられたモチモチとした食感で、一般の草団子よりむしろ草餅に近い感じがします。ただ、昔祖母の作ってくれた草団子の方が遥かにヨモギの香りは強かった記憶がありますが、市販されている他の草団子や草餅よりは多分良心的だろうと思います。
いずれにしても、開運堂の草団子、“若草萌ゆる”春の息吹が感じられる、この時期お薦めの逸品であることは間違いありません。因みに、販売期間は6月中旬までとのこと。何回楽しめるでしょうか・・・?
 余談ですが、開運堂では柏餅は5月の4日・5日二日間限定の由。柏餅は旧暦では無いのですね。ただ信州らしく(?)、一般的なこし餡と昔から松本では定番だった味噌餡の二種類です。

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