カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
石川啄木の『一握の砂』に収められている、
『 やわらかに 柳あをめる北上の 岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに 』
漸く春が訪れたであろう、故郷盛岡を流れる北上川を懐かしんで詠んだ句ですが、都会に出た啄木が帰れぬ故郷の岸辺を瞼に想い浮かべて涙したであろう哀歌も、個人的には何故か、その柔らかな柳の芽吹きにウキウキするような春の訪れを感じてしまうのです。
とりわけ、啄木の故郷である東北同様に、春の遅い信州では、3月に入ると日ごと柔らかな若緑色の濃さを少しずつ増していく柳が、早春に咲く梅やマンサクよりも、むしろ本当に春の使者の様に感じられるのです。
2月下旬から毎週末、先にワンコたちの散歩を済ませ、人間様のウォーキングで家内と松本城方面に行っているのですが、松本城公園で白い北アルプスをバックにした天守閣を見ると、お堀端の柳が日ごとではなく週ごとであるからこそ余計、一週間前との緑の濃さの対比で、その柔らかな緑の濃さを増しているのがハッキリと分かります。
(3月20日) (3月27日) (3月27日)
そんな松本も、26日に観測史上最速で松本城のお堀端の桜の開花が発表されました。春の主役は一気に桜・・・です。
桜のライトアップ“光の回廊”は29日から4月5日までですが、通常開花から三日後に始まる松本城本丸庭園夜桜会の無料開放は、コロナ禍というよりもオリンピックの聖火リレーが4月2日に松本で行われるため、それが終わってからということで、3日から10日まで開催(17:30~21:00)されるそうです。残念ながらコロナの影響は今年も続いていますが、今年は静かに桜を楽しみたいと思います。
蜜を避けつつも、春の桜だけはしょうがないのでしょうね。西行法師ではありませんが、桜のせいにしてしまいつつも・・・。
『花見にと 群れつつ人の 来るのみぞ あたら桜の とがにはありける』
(西行法師)
【注記】
松本城の柳の写真は、3月7日、14日、20日、27日とほぼ1週間毎です。
お堀端の桜は、開花宣言翌日の27日です。ただ29日、30日と松本は24℃と5月下旬並みの気温で桜が一気に咲き揃ったので、期間中の10日まで持つかどうか・・・?お堀の花筏も風情はありますが・・・。
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