カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 正月に帰省して来てくれた次女夫婦。
婿殿の勤務の関係で、正月3日に来て一泊し、翌4日には帰京するという慌ただしい帰省ではあったのですが、帰って来て元気な顔を見せてくれるだけで、親としては何よりの孝行です。

 そこで、親バカさながらに、一生懸命おもてなし料理を作ります。
昨年は、米国から来た長女たちのために、如何にも「日本らしく!」とかなり豪華なおせちを取り寄せたのですが、結局余ってしまい、残ったおせちを捨てる訳にもいかず(我々が)食べるのに結構苦労したので、今年はおせちは無し。
そこで、いつもの黒豆と、松本の年取り魚(注)である鰤(ブリ)を今年はちょっと奮発して大きめの切目を買って、煮付けて正月のお客様用にも。里芋はいつもの煮しめではなく、婿殿の好物の煮っころがしにして私メが調理。
そしてメイン料理は、和牛ブロックでのローストビーフと、信州らしく次女の好物でもある馬刺しも用意。
更に暖かい料理もと、評判の良い地元の富成五郎のお豆腐を湯豆腐にして、食卓に用意した鍋で煮ながら熱々で食べることにしました。

 家内が一生懸命準備した甲斐もあって、おせちではありませんが、今年の正月料理も好評で、殆ど完食。作った甲斐もあろうというくらいに、キレイに食べてくれました。イヤ、良かった、良かった!

 明けての4日。家に居ても(箱根駅伝も終わって)することも無いので、どこかドライブを兼ねて、午後の帰りの電車まで観光に行くことにしました。
しかし真冬の信州ですので、松本城は天守閣が(国宝故に)吹きっ晒しの板張りの床で、火の気の暖も全く無い(首里城の火災は他人ごとではありません)ことから(勿論スリッパもありません)、寒い冬ではなく、夏にでもまた行くことにして、
 「さて、どこに行こう?」
個人的には、昨年国宝指定となった旧開智学校よりも、「どくとるマンボウ青春記」の世界そのままの旧制松本高校校舎(重要文化財)の残る「あがたの森公園」がお薦めなのですが、皆さん全く興味無さ気・・・。
そこで、まだ彼等は初詣に行っていないとのことから、車で行けて、そのまま観光にも廻れそうな安曇野の穂高へ行ってみることになりました。
海人の安曇族の祖神とも云われる穂高神社(信濃国三之宮。因みに、信濃一之宮は諏訪大社、二之宮は小野神社)に参拝してから、近くの碌山館や大王ワサビ農場に観光で行くも良し・・・という前提です。
ところが、穂高神社は駐車場の大分手前から参拝客車両の渋滞で車が動かず。昔から、穂高神社は自動車に乗ったままでの交通安全のお祓いでも有名なのですが、こんなに混んでいた記憶は無く、そこで今回はお参りを諦め。穂高神社の近くには碌山館もあるのですが、皆さん興味無しとのこと。“日本のロダン”荻原碌山もカタナシです。大王のワサビ園も、
 「今行っても、寒いだけで花も咲いてないし・・・」
と却下。
 「じゃあ一体どうすんの!?」
と選ばれた先は、観光ではなく、お蕎麦を食べに行くこと・・・。
そこで、時間節約で穂高神社近くにある「手打ちそば 上條」へ行くことにしました。
安曇野の蕎麦屋さんは山麓線沿いの有明地区に多いのですが、こちらは穂高神社や碌山館に近い住宅街に在り、写真家でもあるご主人の作品などを展示するギャラリーを併設したお洒落なお蕎麦屋さんですが、娘によると、最近嵐のメンバーが出演した旅番組でも紹介されたのだとか。そのためか、行列こそありませんでしたが、観光客の皆さんか、ほぼ満席の混み様でした。

注文は、私メが二八のもりそばを大盛りで、娘ももりそばと季節メニューの牡蠣の天ぷら。家内と婿殿は、上條の独自メニューである鬼おろしそば(辛味大根使用。でも家内に拠ると余り辛くなかったとのこと)の牡蠣天ぷらとワカサギに似たチカ(北海道根室の汽水湖である風連湖で採れる小魚とのこと)の天ぷら添えをそれぞれ注文。
蕎麦は更科系で細切りの二八蕎麦。香りは余り無かったのですが、腰は強くてまずまずでした。また、家内からお裾分けでもらった牡蠣の天ぷらは美味しかったですし、家内は、
 「カキだって買えば高いのに、5個も載っていてコスパがイイ!」
と褒めていました。
こちらでは、どのメニューも、お店の方から、最初に湯飲みに入った安曇野の湧水に浸した蕎麦を先ず食べる様にとのインストラクションがあるのですが、その“拘り”の割に蕎麦の香りがしないのは却ってマイナス効果なのでは?・・・と皮肉屋の私メ的には思ってしまいます。他でも水蕎麦をウリにしている店も無いではありませんが、果たしてどうなのでしょうか。むしろ、蕎麦よりも安曇野の天然水の方が美味しい!(ポットに入っていて自由に飲むことが出来ます)。
お三方は、ここの別の名物でもあるというアップルパイを食後のデザートにご注文。ホールのパイにふじリンゴを丸毎1個使っていて、シナモンが良く効いていて美味しかったそうです。味見をしましたが、個人的にはもう少しリンゴに酸味を(レモン果汁を多目にして)効かせた方がより美味しく感じると思います。本来、酸味のある紅玉の方がアップルパイには向いているのですが、今では入手困難なので止むを得ないでしょうね。
 食後は、せっかく安曇野まで来たので(せめてどこか観光にと)、国内有数の飛来地という豊科に在る犀川ダム湖の“白鳥湖”に寄ってみることにしました。場所は豊科田沢地籍。安曇野インターから安曇野スイス村方面へ向かう道路の途中に案内板があり、犀川方面へ向かって1㎞足らず。
田んぼの中の狭い道を行きますが、最近では結構有名になり、観光バスの駐車場まで近くに用意されているとか。自家用車は犀川の土手横に広い駐車スペースが準備されていました。ただそこまではすれ違いもやっとの狭い道と舗装されていない砂利道を進みます。駐車場には正月最後の日曜日とはいえ結構な台数の車が停まっていて、観光客や野鳥愛好家、アマチュアカメラマンなどの皆さんが(遠方からも)来られているようです。
数年前の鳥インフル禍の時は立ち入りが禁止されていましたが、今では又自由に見ることが出来ます。但し、ワンコは入場禁止。
後でネットで調べると、“犀川白鳥湖”には1984年に初めて白鳥(コハクチョウ)の飛来が確認されて以来、34年目となる今シーズンは1月1日現在で198羽飛来との情報が掲載されていました。
H/Pに拠ると朝6:30と夕方4:00に地元有志の方々が見守りボランティアでエサをあげているようですが、着いた時間が1時過ぎでその中間だったためか、自分たちでエサでも探しに皆どこかに遠征中で飛んで行っているのか、ダム湖にはホンの数十羽しか残って居ませんでした。むしろ、近くの池におびただしい数のカモがいて、こちらの方が却って見応えがありました。
多い年は1000羽近い飛来があるそうですが、余りの白鳥の少なさに些か拍子抜けで、スゴスゴと、
 「じゃ、家に帰ろうか・・・」
この日は、常念を始め北アルプスの白き峰々も雲の中。雪雲に覆われていて、せっかくの雄姿も残念ながら拝むことは出来ませんでした。
 「ま、山は逃げないし、また来いってことだね、きっと!」
と、暗に娘たちの又の帰省を促して、電車の時間まで一旦自宅に戻ることにしました。
【注記】
富山の氷見湾の寒ブリが、飛騨高山から“鰤街道”とも呼ばれる野麦峠を越えて信州松本平に運ばれて来たことから、長野県の中部以南は年取りの魚はブリ。一方、長野県の北部は新潟の日本海から千曲川を鮭が遡って来たことから、長野や上田地方の年取り魚は鮭。姨捨から下った長野寄りの稲荷山付近がその境界と云われています。