カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
美ヶ原登山での三城からの帰り道。
この日の天気予報で、場合によっては雨に降られてズブ濡れになるかも・・・ということもあり、帰路、途中にある扉温泉の日帰りの公共温泉「桧の湯」に立ち寄るべくお風呂道具も車に積んで朝出発していました。
下山して、三城の駐車場に到着したのが2時半過ぎ。多少雨に濡れたのと、それ以上に汗をかいたので、さっぱりすべく朝の予定通りに途中温泉に寄って行くことにしました。
三城いこいの森から少し下ると、「扉温泉、桧の湯」との看板があり、近道らしい林道桧沢線を行くことにしました。
一台がやっとという感じの狭く曲がりくねった細い道です。三城からは峠の様な暫く上り道が続き、上り終わるとずっとカーブの連続する下り坂が続きます。細いこと以上に、むしろ時折拳大よりも大きな落石が道の所々に転がっているのが些か不気味です(しょっちゅう落石があるというよりも、あっても誰も片付ける人が居ない・・・ということだとは思いますが)。
三城経由での美ヶ原高原へのビーナスラインと扉温泉への分岐点から入るよりも、三城からですと桧沢線を通る方が遥かに近道だとはナビの地図からは察しられても、カーブの連続する細い道は結構な距離に感じられます。しかし、全線舗装されていて途中一台もすれ違わないのに、県道なのでしょうが、走りながら「何だかなぁ・・・?」。
地元の方々の生活道路や、林道なので、林業のための産業道路であれば納得ではありますが、税金を使って舗装する必要があるのでしょうか・・・。
今や高級料理温泉旅館としても知られる「明神館」の代表される、松本の奥座敷というには(多分松本の奥座敷たる温泉は、歴代城主に愛された浅間か、或いは大和朝廷にも聞こえ時の天武天皇が行宮を置こうとした「束間之湯」の美ヶ原、はたまた「大菩薩峠」の白骨でしょうか)些か山奥過ぎるこの扉温泉。温泉旅館が2軒とこの公共温泉しかない、まさに山の中の秘湯と呼べる様な扉温泉の一番奥に位置するこの「桧の湯」は、山辺地区の森林組合が運営する天然温泉で、毎分300リトル自噴というアルカリ性単純泉。因みに、泉質の良さは“西の白骨、東の扉”とか。
一度は来てみたかったのですが市内からは些か遠く、この日帰り公共温泉「桧の湯」は地元の方々だけでなく、夏場に三城でキャンプする人たちの立ち寄り湯でもあるそうなので、美ヶ原登山で三城まで来た今回が絶好の機会でした。
この「桧の湯」は地元森林組合運営ということもあってか、入湯料が300円という破格の安さ。そのため、シャンプーや石鹸などの常備はありません。タオルなども含め、一回分の石鹸やシャンプーなども窓口の自販機等から購入することも出来る様ですが、知っていれば事前に準備して行った方が良いでしょう。設備が揃った他の日帰り温泉は通常600円くらいしますが、地元の方は勿論風呂道具持参で来られ、休憩も不要で入浴後はすぐ帰られるので、設備が無くてもこれで十分なのでしょう。しかも夕方で営業時間終了の様ですが、街灯も無い山道故、崖下への転落事故防止のために夜間は営業しない方がむしろ良いかもしれません。
掛け流しの温泉は40℃くらいか少し温めのお湯で、神経痛やリウマチイなどの他、コップが置いてある通り胃腸病にも効くのだとか。アルカリ性単純泉で、試しに飲んでみましたが苦み等は無く、心持ち硫黄臭がする程度でした。
内湯と露天の外湯があり、露天の方がノンビリと長く入れ様にするためか、更に温め。露天風呂には、我が家の雑木林ガーデンのリフォームの際に縁石にも使われていますが、今では採掘が禁じられているという地元産の山辺石(松本城の石垣にも使われています)がふんだんに使われています。露天風呂は渓谷沿いで谷底を望むような緑に囲まれていて、如何にも秘湯感が漂っていて気持ちがイイ。地元の皆さんが温めのお湯にゆったりと浸かっておられました。
この日は10名ほどのお客さんで、殆ど地元の方々とお見受けしました。洗い場はL字型で8ヶ所(蛇口とシャワーから出るお湯も全て温泉とのこと)。湯舟を含め、我が家から一番近い豊科の公共日帰り温泉「湯多里山の神」よりも広めです。個人的には「湯多里山の神」の方が温度も高めでスベスベする泉質も好みなのですが、山に囲まれた様な秘湯感はこの「桧の湯」の方が遥かに上。緑が実に清々しくて、何とも癒される様で、この温泉の人気の程が分かる気がしました。
少し温めのお湯ではありますが、入っているとジンワリと体も温まりポカポカとして、お風呂から上がっても汗が出てきます。
先に上がって入り口の椅子で涼みながら家内を待っていると(休憩室もありますが、別料金の300円。外に別の建物で蕎麦などが食べられる「かけす食堂」もあります)、キャンプか我々の様な美ヶ原登山からの帰りか、男女の若い方々も10人くらい来られました。家内も上がって来て、この温泉には満足した様子でした。
入り口にサイン色紙と写真が飾ってあり、見ると「グレートトラバース3」と「田中陽希」のサイン。日付は僅か一ヶ月前の2019年5月20日。
因みに帰宅後調べてみると、百名山の「1」、二百名山の「2」を踏破し、現在陽希さんは「グレートトラバース3」として三百名山を踏破中。その「グレートトラバース3日記」に依れば、5月16日に159座目となる群馬・長野県境の荒船山から佐久を経て、18日に松本からは反対側の旧武石村からの焼山沢ルートから160座目の美ヶ原で山荘に一泊し、翌19日に美ヶ原から鉢伏山を経て20日に下山途中の朝一番でこの「桧の湯」に立ち寄ってから松本城にも登城し、たまたま市中で開催されていたクラフトフェアも覗いた由。
その後24日には162座目となる鉢盛山に登り、ナントその後で「ノースフェイス松本店」主催と言いますから本町の「信毎メディアガーデン」だと思いますが、5月26日には「交流会」が開かれ、多くの山好きが押し掛けたのだとか。それで松本滞在が長かったのですね。全く知りませんでした。
最近は有名になり過ぎて、陽希さんの先回りして待ち構えるファンも多くなったため、登山道の整備された百名山ならいざ知らず三百名山ともなると中には未踏のルートもあろうことから、事故防止のために陽希さんの予定ルートや現在地を公開していないのだそうですが、
「あぁ、すぐ近くにいたんだなぁ・・・。そうか、百を含めた三百なのだから美ヶ原に寄っても当然なんだ・・・」
と、一ヶ月前のサインを見ながら暫し感慨に囚われていました。
因みに、陽希さんは5月末から八ヶ岳を縦走した後、6月上旬からは南アルプスに向かわれた由。
トラバースとは直接関係の無い松本城やこの「桧の湯」までBSで放映されるか分かりませんが、少なくとも美ヶ原の様子が放送される日を楽しみにしたいと思います。それにしても、「桧の湯」に立ち寄ったおかげで、登山に関わる田中陽希さんの「グレートトラバース3」までもが身近に感じられて、事前に納得した悪天候の中での山行ではありましたが、最後もちょっぴり得した気分の今回の美ヶ原登山でした。
「イェイ、ラッキー!♪」