カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
羽田空港勤務の次女が住まいを引っ越すことになり、5年間お世話になった糀谷のワンルームマンションを引き払うため、引っ越し作業の手伝いに上京しました。しかも契約の関係で、引っ越し日が大混雑が予想された平成から令和への10日連休中の二日目。奥様は洗濯や梱包などの準備作業で早めに連休前から上京したのですが、私メの役割は力仕事のため、連休の混雑を避けるべく早朝5時の高速バスで新宿へ向かいました。
ワンルームとはいえ、そこは独身女性の住まい故の化粧道具や衣類など、嘗ての自分の学生時代の“むつけき”(現代の若者は違うのかもしれませんが、当時の)男の下宿とは全く異なり、かなりの荷物量です。
今年“引っ越し難民”とも揶揄された年度末の3月からの引っ越しシーズンピークも既に過ぎたので、業者からの事前準備や手配も滞り無く実施されたようで、私が到着した時にはかなりの数の段ボール箱に既に詰め込まれていました。それでもやるべき作業はまだまだあり、昼食もそこそこに作業を進め、翌日の搬出への目途が立った夕刻。娘が依頼した不要物や廃棄物の引き取り業者が来訪。
松本であれば、軽トラでリサイクルセンターや焼却場に自分で運ぶのですが、見知らぬ都会ではそうもいかず、すべて業者に料金を払って引き取ってもらうとのこと。事前に数社から見積を取るなど確認はしてあったようですが、容積で料金が決まるとのこと。業者はレザーポインターの様な器具で縦横高さを計測して容積を自動計算していきます。4㎥毎に4万円というのが基本料金の様で、生ゴミや液体以外であればゴミも引き取ってくれるのだとか。
結果は8㎥。トータルでは結構な金額になりましたが、自分で運転して軽トラで運び、更にリサイクルセンターで係員の指示を受けて自分で仕分けすることを思うと、コストを考えなければ楽なことこの上もありません。廃棄料など業者側の実際の収支は分かりませんが、それだけの需要(件数)のある都会であればこそ、成り立つビジネスなのでしょう。
いつもは二台で回るらしいのですが、件数が重なってしまい、この日の担当者は一人だけで作業が大変そうだったので、見るに見かねて私も運搬を手伝ってあげました(特に値引きはありませんでしたが・・・)。
しかし単純な肉体労働でも、それなりに効率化も図られています。傍らで作業を見守りながら、凄いなぁと感心しました。
翌日、朝8時に引っ越し荷物を搬出。業者さんはアート引越センター。うら若き女性がリーダーで、若い男の子がアシスタントの二人組。均等法の世の中とはいえ、重い段ボール箱も女性自身で運び、家具や電化製品もアシスタントと二人で難なく運搬。当方も玄関先まで運ぶのを手伝いましたが、テキパキと手際良く作業終了。しかも、如何にも女性らしい細やかな気配りに大いに感心しました。
引っ越し先での受け取りに先発する次女を送り出した後、我々は何も無くなったワンルームの掃除とゴミ出し。大家さんへの引き渡しが午後一だったため2時間半ほど時間が空いたので、先にホテルへ戻りチェックアウトの後、スーツケースなどの荷物を持って新宿へ向かいます。ナナを預かってもらった妹の所と、いつも野菜を頂く家内の友人のお宅へのお土産を、時間節約で新宿へ行ってデパ地下で購入し、スーツケースとお土産と一緒にコインロッカーに預けて、身軽になって再び糀谷へ戻る予定です。
新宿のデパートで無事お土産の買い物も終了。次にスーツケースと一緒に入れるコインロッカーを探します。
帰りは高速バスですので、バスタ新宿や南口が近くて便利なのですが、生憎大型連休二日目故どこのロッカーも全て使用中。あちこち探しましたが、空いているロッカーはなかなか見当たりません。更に西口まであちこち探したのですが、結局一つも見つかりませんでした。
「えーっ、どうしよう!?」
途方に暮れつつ、買い物をしたデパートのコンシェルジュで荷物を預かってくれる所が無いか、念のために聞いてみました。
すると、その日の買い物をしたレシートがあればデパートのクロークで荷物を預かって貰えるとのこと。しかも、もしデパート会員(年会費が掛かります)であれば、買い物をしなくてもデパートのカードを見せるだけで預かって貰えるのだとか。
そこでクロークに行ってお願いすると、買った商品だけではなく持っていたスーツケースも(我々は会員ではなく、当日そのデパートで買い物をしただけなのですが)預かってくれるとのこと。実際、会員かどうかは分かりませんが、我々よりも大きなスーツケースを預ける人など、次々に荷物を預けるお客さんがクロークに訪れて来ていました。こうしたサービスを知っていると知っていないのでは大違いです。
新宿だけで小田急、京王、伊勢丹、高島屋と、大型のデパートだけでも4店がひしめき合っているので、いくら競争の激しい都会とはいえ、田舎では考えられぬ程便利だと感心しました。翻ってみれば、そこまでして顧客サービスで会員を確保しないといけないのでしょう。大変だなぁと同情しつつ、顧客の立場に立てば、コインロッカーを探さずとも確実に荷物を預かってくれるのですから、安心安全、便利この上もありません。凄いなぁ!と感心することしきり・・・で溜息が出ます。
デジタルサービスにおいては(“デジタルデバイド”という別の格差も指摘されてはいるものの)、どこにいてもネットワーク環境さえあれば田舎であれ同等のサービスが受けられますが、いくら需要と競争の原理とはいえ、こうした物理的なサービスに関しては、都会はどんどん便利になり田舎は不便になるとは言いませんが、そうした物理的なサービスは受けられないという意味で、都会と田舎の“暮らし易さ”面での格差がますます拡がっていくのでしょうか。残念ながら、音楽や美術といった芸術面の文化密度だけでなく、生活面においても、今回は都会と田舎の差をつくづく認識させられた次第です。