カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 3月末。大切なお客様の昼のおもてなしで、松本の東町にある「ヒカリヤヒガシ」へ家族で伺いました。
「ヒカリヤヒガシ」は、松本で料理旅館として評判の「明神館」が経営する、築120年という商家を使ったレストラン。東西二棟を、「ヒガシ」が“東洋”をイメージしての日本料理で、「ニシ」が“西洋”でフランス料理という二つのレストランで構成されています。
松本だと地元民である我々は別として、例えば(超一流店の揃う)都会から来られたお客様にフレンチや中華という訳にもいかず、また海の近くから来られた方にお魚料理ともいえず、結局「信州ならでは・・・」とお薦め出来るのは蕎麦くらいしかないのですが、蕎麦店では懐石やフレンチの様な正式なコース料理でおもてなしするのは難しく、県外のお客様を招いての会席は場所の設定では頭を悩めすことになります。
本来ですと、美ヶ原温泉にある料理旅館「金宇館」が我が家の定番。若き三代目?のご主人の料理も勿論、女将さんや若女将の品の良い気配りされた接客振りも素晴らしいので、これまでも亡き父の法事の会席や大切なお客様との宴席を安心してお願いしていたのですが、生憎現在休業しての改築中で、再開は一年後の由。他に市内で料理が評判の別の旅館に伺うと、宿泊客で込み合う週末での会食は不可とのこと。
松本市内では、一応「ヒカリヤ」はグルメツアーなどのコースに入る様な評判レストランですので、懐石料理の“評判”で選べるのは結局「ヒカリヤ」くらいしかありませんでした。
なぜこんなに、ある意味“偉そうに”勿体ぶっているかというと、7年前だったか、「ヒカリヤ」がオープンして間も無く、その評判を聞いて、会社の会食で伺ったことがあったのですが、一人一万円(半額は自己負担ですので念のため)のコースを選択したので使われている素材の良さは分かるのですが、本体の女将になるための修行中という女性がアテンドしてくれた接客も、味付けや調理、盛り付けといったコース料理の内容も、どれも今一つで満足出来ませんでした。
当時のボスと二人で、(個室が無いので会食接待に使うのは難しいのですが)「これなら、バサラの半額のコースの方が余程満足度が高い」と後でお互いの意見が一致したこともあり、以降、会社でも個人でも一度も使ったことはありませんでした。

 今回も悩んだものの他に選択肢が無く、些か心配しての当日。予約した時間に行くと、週末だったこともあり駐車場は一杯で、案内された少し離れた一般の駐車場に駐車しました。
伺ったのが3月末でしたので、土間を抜けた入り口には投げ入れの桜と一緒に旧暦に合わせて段飾りのお雛様が飾られていて、春先の信州らしい風情。案内された個室はテーブルと椅子席で、お願いしたコースは夜の会席コースと同内容で、先付けに始まる全9品とデザートで一人一万円。飯ものを信州らしく蕎麦に変更してもらってあります。乾杯用に梅酒か梅ジュースが付くのですが、何故か個人毎の指定が出来ず、全員同一で事前に選択とのことで、女性は飲めない(勿論運転手も)ので止む無く結局ジュースにしましたが、個人ごとに対応するのがそんなに難しいことなのでしょうか・・・?
       (酢の物:蛤、ホタル烏賊、春菜の酢味噌掛)
    
肝心のコース料理は、食材に山菜や、松本一本ネギ、信州サーモン、信州牛といった信州らしい素材も多く使われ、また調理も盛り付けも工夫されていて、以前の印象より遥かに改善されていました。「これなら!」と納得の内容でした。ただ十割という信州蕎麦は蕎麦の香りが無く、専門店ではないので止むを得ないにしても、県外のお客様をもてなすにはちょっと残念でした。
            (甘味:道明寺 桜仕立)
 ただ、満車だった駐車場が示す通り、ニシとヒガシでフレンチと和食の二つのレストランを持つ市内でも指折りの人気店ですので、客数も多くて止むを得ないのかもしれませんが、改善された料理に比べて、接客はある意味マニュアル通り。家族経営の「金宇館」の様な、臨機応変さやきめ細やかな気配りは欠けるような気がしましたが、松本で大事な会食に使う場所としては総じて合格点だったと思います。