カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
母が自室で転んで腰を打ったらしく、その日は自分で歩いてトイレにも行ったのですが、翌日は痛くて動けないとのこと。
その日のデイサービスもお休みにして様子を見たのですが、変色や腫れも無いのでまさか圧迫骨折ということはなく、単なる打撲だとは思ったのですが、翌日も改善する風も無いので、止む無く病院へ連れて行くことにしました。
ところが生憎の日曜日。しかし月曜日まで待っているよりも早い方が良かろうとなりましたが、休日のため救急外来しか開いていません。松本では、信州大学の附属病院と相澤病院に救急外来がありますが、以前家内の骨折の際は最初家から近い信大に行ったのですが、年末年始だったこともあるかもしれませんが、難しいケースはともかく(例えば、山岳遭難者の搬送や、ドクターヘリは中南信地域では信大付属病院が拠点になっています))、簡単なケースは相澤の方が処置が早いと紹介を受けて転院したこともあり、今回は相澤病院の救命救急センターへ行きました。しかし、「痛い、痛い!」と“オンジョ”(松本地方特有の信州弁で泣き言の事)ばかりで立つことも出来ず、結局おぶって(背負って)やっとのこと車に乗せて家内も一緒に向かいました(こんなことでタクシー代わりに救急車は呼んではいけないと思い・・・)。
救急外来で車椅子を借り、スタッフの方にも手伝って頂きながら何とか待合室へ。
受付と手続きを済ませ、レントゲンも二回撮ってもらったのですが、腰の股関節も背骨も、やはり骨には全く異常は見られないとのこと。
医師の診察を終えた後、痛み止めの投薬と共に、看護師の方から家で動けないと困るだろうからとリハビリ指導を受けて下さいとのアドバイス。
お願いしてベッドで寝たまま待っていると、療法士の方が来られ、痛いから起きられないと“オンジョ”(泣き言)を繰り返す母に、先ず体をあおむけではなく横にすること。次に足をベッドサイドに投げ出すこと。続いて、手を横に置いて、少しずつ体を持ち上げて行くこと。最後両手を置いて体を起こすこと。そして、何とか上半身を起こした後は、今度は歩行器を使い歩く訓練です。
腰が痛くて立てないという母に、腰ではなくお腹に力を入れる様に促します(腹筋が大事とのこと)。
「そしたら、少し“このがって”下さい!」
信州弁で、少し前かがみになることを「このがる」と言います。その上で、歩行器を使って立ち上がり、一歩ずつゆっくりと歩かせます。
「ちゃんと歩けたね!」
すると、今度はUターンして歩行器を外し、自分の足で歩かせます。
「お腹に力を入れて!ゆっくりでイイからね!」
すると、一歩ずつゆっくりとですが、自分の足で歩いてベッドまで辿り着いたのです。
「筋肉が衰えるのは年を取ると止むを得ないのですが、お年寄りが痛がって歩かないと、その内本当に歩けなくなってしまいます。暫くは筋肉痛で腰が痛いでしょうから、痛み止めを出してもらいますので、傷みが出たら痛み止めを飲ませて痛みを和らげた上で、自分の足で歩かせてください。」
ナルホドと目からウロコ。療法士の方は、体のどこをどう動かせば「立つ」、「歩く」という動作が出来るのか分かっているので、その動きを分解し、年寄りにも分かり易く指示することで、手で支えて動きを助ける様な手出しや手助けは一切せずに、全て患者自身の動作で最終的にはちゃんと自分の足で立って歩かせたのです。
「イヤぁ、凄いなぁ!」
感心しました。そして、何だか医師よりも余程お年寄りの事を分かっている様にも感じられました。
帰りに病院内で痛み止めの薬も頂いて(相澤病院も一般外来では処方箋の発行だけで市中の薬局で薬を出してもらうのですが、救急外来では薬も処方していただけます)、帰宅後はゆっくりとですが、教えられた通り母に指示することで、ゆっくりとではありますが、ちゃんと自分で車から降りて自分の足で歩いて自室まで戻ることが出来ました。
数時間前にはおぶって(背負って)家を出たことを思うと、更には診察を待っている間も、「もしかしたら、このまま寝たきりになるのかも・・・?」と家内と按じていただけに、本当に信じられない気持でした。
イヤぁ凄い、さすがはプロ!・・・でした。