カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
王ヶ鼻から王ヶ頭へは、車も通れる広い道やハイキングコースもあるのですが、環境レンジャーの方のお薦めに従って往路と同じくアルプス展望コースを戻ります。教えられた王ヶ頭の真下から20m程の急坂を登ると、両側には鹿害から守る電気柵に囲まれたお花畑が拡がり、ちょうどマツムシソウが見頃を迎えていました。
天気が良ければ御嶽山が良く見えるので、江戸時代に盛んだったという御嶽教の山岳信仰の山として御嶽神社が祀られ、王ヶ頭の頂上碑と隣り合う様に幾つかの石塔や石仏が建てられていました。
ここには宇宙基地の様に幾つもの県内放送局のTV塔が建てられていて、横には標高2000mの“雲上のホテル“「王ヶ頭ホテル」が建っています。このホテルは、雪に覆われる冬期間も含め通年営業しており、松本駅からホテルの4WDのマイクロバスでの送迎があるため、雲海やご来光、星空観察だけではなく、冬のスノーシュー・ツアーも人気だとか。
また、ホテルの宿泊客以外も、麺類やカレーなどのランチを食べることが出来ますし、外には無料のベンチも幾つか設けられており、持参したお弁当を食べている小さなお子さんの家族連れや若いカップルのハイカーなど、たくさんの観光客の皆さんがおられました(但し、個人的には絶景の王ヶ鼻での昼食の方が断然お薦め!)。なお、ホテルのトイレは無料ではなく、日帰り客は環境協力金(寄付金)が必要です。
『 登りついて不意にひらけた眼前の風景に
しばらくは世界の天井が抜けたかと思う。
やがて一歩を踏みこんで岩にまたがりながら、
この高さにおけるこの広がりの把握になおもくるしむ。
無制限な、おおどかな、荒っぽくて、新鮮な、
この風景の情緒はただ身にしみるように本源的で、
尋常の尺度にはまるで桁が外れている。
秋の雲の砲煙がどんどん上げて、
空は青と白との眼もさめるだんだら。
物見石の準平原から和田峠の方へ
一羽の鷲が流れ矢のように落ちて行った。 』
遭難者の避難場所として建てられた「美しの塔」にも、たくさんの観光客やハイカーの方がおられ、皆さん記念写真を撮ったり記念に鐘をならしたりしていました。
360°見渡せる美ヶ原からは、日本百名山の実に1/3を望むことが出来るのだとか。お礼を言って、想像以上に美ヶ原登山が良かったことをお話しして、お薦めに従って百曲りを下山することを伝えると、
「気を付けて下山してください」
下りは45分足らずで広小場に到着。沢沿いに下り、オートキャンプ場を過ぎて駐車場へ3時前に無事到着。
北アルプスの本格的な登山とはまた異なりますが、自らの足で手軽に登山気分が楽しめる美ヶ原。予想外で、想像以上に楽しめた美ヶ原登山。ナルホド、さすがに深田久弥が百名山に選んだだけはあります。
一般的なドライブでのビーナスライン経由の観光ではなく、登山として往復自分の足で歩いてみて、その理由が分かった(地元に住む松本市民だからこそ手軽に楽しめた)身近な山旅でした。