カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 下呂そのものには有名な観光スポットは無さそうで、下呂から高山へは車で1時間、特急電車で45分とのことですので、下呂温泉に宿泊して高山や飛騨古川へという観光もありでしょうし、また足を延ばせば白川郷へも日帰り観光が可能です。我々の泊まっているホテルも昼間は車が殆ど駐車していないので、どうやら宿泊されている皆さんも車で遠出をされているようです。
今回我々はナナも一緒ですので、行き帰りに立ち寄った古川や帰りの途中で寄って行く予定の高山を除き、昼間は遠出をせずに下呂に滞在して温泉三昧。しかし、一日中入浴している訳でないので、昼間は下呂の温泉街をぶらぶらと散策。そんな下呂で唯一の(と思われる)観光スポットが下呂温泉合掌村です。宿泊先が下呂の高台にあり、合掌村へは歩いてすぐの場所。犬も入場可能とのことでしたので、散歩も兼ねてナナも一緒に行ってみました。

 「下呂温泉合掌村」。白川郷などから移築した大小10棟の茅葺きの切り妻合掌造りの民家で集落を再現していて、高山郊外の「飛騨民俗村」の小型版といったところ。園内は犬連れOKです。事前に調べると、ワンコ用に無料で貸してもらえるドッグバギーもあるとのことだったので、ホテルからは結構な急坂を上るため、車に積んで来た自前のドッグバギーは置いて、ナナも散歩がてら一緒に歩いて行くことにしました。ホテルからは10分も掛からずに到着。駐車場では「いでゆ朝市」が開かれていましたが、連休明けのためか野菜などは無く、観光客向けの土産物ばかりで些か残念でした。

合掌村の入場料は大人800円。中にある国指定の重要有形民俗文化財という「旧大戸屋住宅」では囲炉裏に火が入り、各部屋では人形や民芸道具などで往時の生活ぶりを再現していて内部の見学可能。ビックリしたのは、この白川郷の大戸屋は、あの(=東大の学生時代に現総理の家庭教師だった)平沢勝栄代議士のお母上の生家なのだそうです。合掌村には、その他資料館や茶店なども合掌造りの民家が使われていました。
また園内には「円空館」があり、円空の資料や円空仏が展示されています。
円空は岐阜県(現在の羽島市)出身で、出家後諸国を行脚して生涯で実に12万体もの神仏像を造ったことで知られますが、晩年下呂にも滞在して仏像を彫っており、下呂市内では180余の円空仏が確認されているそうです。
円空の彫った仏像は荒いノミの跡を残しながらも不思議な慈愛に満ちていて、拝んでいると心が次第に透き通って行く(≒子供心に戻る)様な感覚になります。また興味深かったのは、円空は1600首余りの和歌も残しているのだとか。
 合掌村は、やはりホンモノの“生きている”白川郷を見てしまうと、実際に人が住んでいない分、生活の匂いがしないのは致しかたの無いところ。
白川郷へは高山から高速道路が通じていますので、足を延ばして実際の合掌造りの里を訪ねるのも良いかもしれません。下呂からは高山経由の高速利用で1時間半程度だそうです。
 合掌村を出ると、ちょうどチワワ連れのご夫婦が来られたのでドッグバギーをそのまま交代。今度は歩いて10分ほどの所にある縄文公園に行ってみることにしました。こちらは「峰一合遺跡」という縄文前期と弥生後期の集落遺跡とのことで史跡公園として整備され、復元住居と発掘された住居跡が保存されていてガラス張りで見ることが出来ます。また「下呂ふるさと歴史館」に発掘品初め下呂にまつわる資料が展示されていて、こちらも無料で拝観出来ます(尖石や井戸尻などの“八ヶ岳縄文王国”程の規模ではありません)。
考古好きにとって興味深かったのは、「下呂石」。湯ヶ峰噴火に拠って生成された「湯ヶ峰流紋岩」が正式名称で、見た感じは安山岩で黒曜石ほど鋭利ではない様に思いますが、ガラス質のためにこの辺り一帯(岐阜県や愛知県など、支流の飛騨川から運ばれた木曽川流域)では黒曜石に代わって石器の材料として使われたのだとか。本州では信州の和田峠が黒曜石の一大産地ですが、下呂石というのは知りませんでした。
 下呂の温泉街から徒歩で行く観光スポットとしてはこんなところでしょうか。やはり下呂に泊まって温泉を楽しみながら、昼間は車で足を延ばした方が良いかもしれません。もし今度下呂に来たら、どちらも車で下呂から1時間半程度とのことなので、個人的には郡上八幡か白川郷へ行ってみたいと思います。