カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
世間的にはNHK-FMの「古楽の楽しみ」の案内役でお馴染だったでしょうか。音楽学者で日本におけるバッハ研究の権威であり、日本音楽学会の会長も務めておられた礒山雅先生。定期的に愛読させていただいていた先生のブログ「I招聘教授の談話室」が1月末から何故か更新がされずにいたのですが、突然2月22日付けであろうことか、先生の訃報案内が掲載されたのです。何でも、1月27日に大雪で凍結した路面で転倒し、頭を打って入院し、意識不明のまま亡くなられたのだそうです。まだ71歳であり、信じられませんでした。
磯山雅先生は、地元松本出身(しかも高校音楽部の大先輩)で国立音大(定年で退官された後は)招聘教授として、多方面で活躍されていて、地元松本でもハーモニーホール(松本市音楽文化ホール。略称“音文”)で行われた、2007年に市制100周年を記念して結成された古楽器アンサンブル「松本バッハ祝祭アンサンブル」の演奏会で事前レクチャーなどを担当されることがあり、4年前でしたか“大バッハと過ごす至福の時”と銘打って、「バッハのロ短調ミサ曲~何を聴くか、どう聴くか」と題した磯山雅先生の講演会が開催され、私メも事前勉強のために聞きに行きました。
素人にも分かり易くお話し下さり、また演奏会当日はラテン語の典礼文の訳詞を先生ご自身で担当されました。当時の様子を、本ブログ(第826&827話)で以下の様に記していました。
『(前略)歌唱に沿って投影されたミサの訳詞。行きつ戻りつしながら何度も同じ歌詞が繰り返されますので、曲の進行(スコア)を知らないと大変ですが、都度しっかりと切り替えられていました(掲載した開演前のステージ写真の右の側壁に、縦書きで「バッハ ロ短調ミサ」と投影されているのが見えます)。
後で分ったこと。歌詞投影は急遽決まったたらしく、準備が間に合わずぶっつけ本番となったため、何と訳された磯山先生がホール後方の最上部の小部屋に周囲の反対を押し切って梯子を昇られて、ご自身でPC操作をされていたのだとか。そりゃあ、完璧の筈です。
レクチャーの時に、「私も、演奏会当日は聴きに参ります」とは仰っておられましたが、まさか裏方までされて天井部屋で聴かれていたとは。いやはや何ともご苦労さまでした。』
直接お話しをする機会はありませんでしたが、演奏についてブログを通じてご質問をお送りしたところ、すぐに丁寧にお答えくださいました。
また、毎年旅行社の企画で、先生がコーディネイトされて欧州で聖トーマス教会など古楽に関わる歴史的施設や演奏会などのツァーを引率されてもおられました。いつか一度は参加したいと思っていましたが、叶わぬ夢となってしまいました。
ブログではお元気そうでしたので、突然の訃報が俄かには信じられませんでした。ましてや松本のご出身で慣れておられた筈なのに、雪道で転ばれたのが原因だったなんて・・・。
昨日行われたご葬儀に松本からでは献花することも叶いませんでしたが、バッハのミサ曲でも演奏されたのでしょうか。謹んでお悔やみを申し上げます。どうぞ、安らかにお眠りください-合掌・・・。
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