カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
米国西海岸で働く長女が、出張で東京と京都へ来るかもしれないが、松本には(時間距離が遠いので)行かないとのこと。
「だったら、こちらから会いに行きませう!」
と、せっかくなのでこの時期の紅葉の京都に行くことにしました。もし娘の予定が変わったらしょうがない、その時は自分たちで楽しめば良いと、早めに安いビジネスホテルを予約してありました。今回は、年金生活者(しかもまだフル支給されていない)故のケチケチ旅行、節約旅行であります。
京都で、出張中の娘と会えるのは前日の夕刻から翌日昼までと週末の正味一日だけだったのですが、せっかくなので我々は、その前後の3泊4日で紅葉の京都を楽しむ予定。京都は、3年前に会社の定年準備のセミナーで嵐山に11月上旬に来て以来。その時、30年振りくらいに、二日間だけ京都観光(嵐山から嵯峨野と伏見稲荷から東福寺へ)を楽しむことが出来ましたが、今回は4日間もベストシーズンでもあろう秋の京都散策ともう一つ、京都国立博物館で開催中の、何しろ期間中の展示作品全てが国宝という“あり得ない”「国宝展」を閲覧するのが目的です。
二ヶ月間の期間中4期に分けての展示であり、関西在住であれば全て見ることも出来ますが、たまたま我々の行く時期がⅢ期とⅣ期と節目だったため、奥さまが是非見たかったと云うⅢ期の最終日に見に行くことにしたもの。このⅢ期の目玉は先述の等伯親子、志賀島の金印、そして源氏物語絵巻、信貴山縁起絵巻、源頼朝像(伝)でしょうか。他にも、Ⅰ期Ⅱ期では吉祥天像や風神雷神図屏風や3週間限定展示で雪舟の国宝絵画全てが、また4期では燕子花図屏風が百年振りに京都に里帰り展示されるなど、どれもこれもが歴史や美術の教科書で見た国宝中の国宝であります。
Ⅲ期での一番人気は志賀島の「漢委奴國王」金印で、目の前(前列)で見るためには40分待ちの行列とか。我々は、後列からで構わないからと並ばずにエレベーターで先ず最上階の3階に上がって順次見て行くことにしました。
チケットは先にネット購入してあり、大混雑と聞いていたものの東京の国立博物館の様に入場制限も無く、スンナリと館の中へ。ところが館内が大混雑。どの展示も二重三重の人垣です。各フロア、各展示室で、係員の方が
「最前列の方は止まらずに、少しずつでも左へお進みください!ご協力をお願い致します!!」
と何度も呼び掛けるのですが、せっかく順番を待って最前列に並んでも、特に目玉の展示品の前ではどこ吹く風か全く動く気配も無し。結局諦めて後列に外れ、前列の頭越しに眺めるしかありませんでした。特にⅢ期の目玉とも云える金印は前列で見る人を分けており、40分待ちとのことから、気持ちが分からないではありませんが、余りに目に余ったのか、その近くで係員に個別に注意されているお爺さんが・・・。でも、そこはさすがの関西人、全く悪びれる様子も無く逆にモッケの幸い?と展示品について係員の方に質問をしていました。イヤハヤ、恐るべし・・・。ここは、やはり東博のように入場を制限して館内の流れを良くした方が良いのではないか?いくら関西での40年振りの特別展とはいえ、せっかく入場しても見られないのであれば本末転倒です。じっくりは無理でもホンの数秒でも間近で見られるように運営すべきではないか・・・そんな風に感じ、ある意味ガッカリしながら見学を続けました。その目玉の金印は“最小の国宝”と云う通りで実物は一辺僅か2.3cm。これでは、例え最前列で見ても結局は良く分かりませんでしたので、並ばずに正解でした。
そんな中で個人的に一番感動したのは、肖像画コーナーに展示されていた伝源頼朝蔵を始めとした京都神護寺三像。三つが揃うのは23年振りとのことでしたが、思っていたより大幅で何とも言えぬ凛とした空気を鎮めるような品格を漂わせていました。また初めて実物を見た信貴山縁起絵巻も実に良かった。そしてⅡ期のみの展示だった曜変天目は見られませんでしたが、替って油滴天目が展示されていました。
思ったより長く3時間を超えて立ちっぱなしで見学したので、歩いた距離は大したことはなくても結構疲れたので、夕刻にはまだ時間もあったのですが、ホテルに戻って夕飯まで休むことにしました。
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