カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
2016リオデジャネイロ・オリンピック。
日本チームは過去最多という41個のメダルを獲得して、4年に一度の熱きスポーツの祭典が終わりました。
今回も、戦前の“メダル確実”報道から、取れなかった時に、それまで誰が煽ったのかも関係なしの“掌返し”が嫌で、あまり生中継は見ませんでしたが、結果を知ってからの録画放送や新聞報道から知った、リオ五輪の個人的雑感の幾つか。
個人的に感動したのは、先ず三宅選手の重量挙げの銅メダル。
期待された北京でメダルに届かず、選手村の金網越しに無言で手を握る三宅母娘の姿が忘れられず、ロンドンでの銀メダルに本当に良かったと思いましたが、今回は腰痛で出場すら危ぶまれたという中で、最後に掴んだ逆転の銅メダルでした。試技に成功した後、万感の思いを込めバーベルに感謝の頬擦りをした彼女に感動しました。幼い頃からコーチとして二人三脚で歩んで来た父親の「彼女は誰よりも一番練習してきた」。世界一の練習がもたらした土壇場の逆転劇だったのでしょうか。
続いて、カヌーの羽根田選手の銅メダル。
高校卒業後、強くなる為にカヌー強国スロバキアに渡って練習を重ねてきたと言います。スポーツ医学やトレセン設立など、国を挙げての強化策が実を結びつつある中、マイナー競技はスポンサーも無く、親からの支援で独り海外で頑張ってきた努力が史上初のメダルとなり、感激のあまり号泣する彼を優しく労う欧州のライバルたちの姿にスポーツマンシップを見て胸が熱くなりました。
そして、当初期待された金メダルが取れず敗者復活からの銅メダルが続いた柔道。
反省や謝罪コメントが続いた中、一部での「真面目過ぎ?殊勲の銅メダルで何故謝るのか?」という報道を見て、“掌返し”だったマスコミの風潮が今回は少し変わったように感じました。
今回の新聞報道で一番良かったのは、競泳の金藤選手が2011年から所属するフットマークという会社の記事。スクール水着がメインの、下町両国にある僅か61名の中小企業とか。金藤選手がロンドンの切符が取れなかった時も支え続け、昨年の世界選手権で消極的なレースで惨敗した時は「チャレンジしているレースでは無かった。私達が本来応援したい姿ではない」と敢えて苦言を呈し、彼女も泣いて謝罪し、その後更に厳しい練習に打ち込んだと言います。
「本当に、本当に苦しいオリンピックでした」という“泣き虫愛ちゃん”のコメントに代表される、代表として国を背負い、ライバルの思いも胸に重圧の中で戦う選手たち。確かに日本人は真面目過ぎる、優し過ぎるかもしれませんが、応援するしかない側は“お疲れさま”そして“ありがとう”で良いのでは・・・。だからこそ、吉田選手も堂々と胸を張って帰って来て欲しいと思います。
嬉し涙あり、悔し涙あり。でも、どれも純粋で美しい涙でした。選手のみならず、心を鬼にして鍛えたからこそであろう、柔道井上監督やシンクロ井村HC、そして競泳加藤コーチなどのスタッフ陣、そして陰で支え続けた家族の皆さんの涙も美しかった。一瞬の栄光のために、途方も無く長く、そして辛く苦しかったであろう歳月を想います。そして、また続くのであろう更に厳しいこれからの4年間を・・・。
片や、恵まれ過ぎているのが男子サッカーや女子バレー。そして、110数年振りで復活したというゴルフ。特に男子ゴルフは、終わった後「(見て)感動したので、東京を目指したい」という代表辞退した選手のコメントを見て、大いに白けたのは私だけでしょうか?
大会前に新聞のコラムで、スポーツジャーナリストの方が「(男子ゴルフで)世界ランキング上位選手の辞退が(世界各国で)相次いでいるのが、賞金やポイントが付かぬことが理由なら、ジカ熱や治安のせいなどにせず、そうストレートに言われた方が余程スッキリする」。全く同感でした。だったら、少なくとも男子ゴルフはオリンピック種目から外せばイイ。全く対照的に、賞金もポイントも無い同様の状況下で必死に戦うテニスの世界トップランキングの選手たち。余計その違いが目立ちました。
また、組織的連携で予選を勝ち抜いて来た筈が、OA枠にこだわった結果、連携が甘くなり簡単に裏を取られ失点を重ねたた男子サッカー。またTV局のスポンサーのお陰で、日本で毎年国際大会が開催される女子バレー。今回の惨敗は、その常にホームゲームという“ぬるま湯”が招いた結果だと思います。いずれにせよ、スポーツ界で他よりも待遇面で、また注目度でも恵まれているであろう男子サッカーや、女子バレー、男子ゴルフが「世界」で結果を残せなかったのは必然でありましょう。
こういう競技こそ、恥ずかしくて帰国できない程に、煽ったマスコミによる敗因分析やバッシングがもっとあれば良いし、もしそれを否定するなら、また悔しければ、ちゃんと結果を出せばイイ。その意味で、予選で敗退し出場できなかった男子バレーの石川選手が「世界で戦うために」と、いち早く伊リーグへの単身参加を決めたのは、一筋の光明を見た気がしました。
最後に余談ながら、リオ五輪までに、過去オリンピックでメダル獲得者が居ない都道府県は僅か3県という報道がありました。長野県もその内の1県とか(既にメダリストを輩出している冬季は除かれています)。
このリオ五輪で、一挙に銅メダル3個!(バド奥原、競歩荒井、シンクロ箱山の各選手)。お疲れさまでした。良かった、良かった。でも、大会期間中公務を休んで、現地に一週間応援に行っていたという某選手出身地の市長さん(当初は予定していた公務としての出張を断念し、結局私費で行ったとか。当然でしょう)。「イイのかなぁ?」と感じたのは私だけ?地元市民の皆さんは大らかなんですね・・・。
最後に、100mバタフライでフェルプスの4連覇を阻止したのが“小国”シンガポールの選手。卓球の様な帰化選手ではない、生粋のSingaporean。そして、まさかの五輪表彰式で流れた、20年振りに聴く国歌“Majulah Singapura”(シンガポールの国語はマレー語です)。思わず居住まいを正し、一緒に“♪マジュラー・シンガプーラ”と口ずさんでしました(シンガポールでは、空港の入国審査時に、長蛇の列の出張者や観光客を尻目に、赴任者も空いているSingapore Citizenの窓口から入国出来ます。いわばその間はSingaporeanとして扱ってくれましたから)。
さて、この感動を“おもてなし”(最近あまり耳にしなくなりましたが)のTOKYO2020へ。
(ロンドン五輪開会式での007とエリザベス女王を連想させなくもありませんでしたが、マリオに扮した安倍首相も良かったし、小池都知事は、雨のために上げていた訪問着の袖を五輪旗を受け取る正式セレモニーでは降ろせたら尚良かったですね。でも女性知事ならではの着物姿はとても素敵でした。男性で無くて良かった)