カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
平成の名水百選に選ばれている「まつもと城下町湧水群」。
いつもは“当国第一の名水”「源智の井戸」の湧水を週末毎に汲みに行って、家でコーヒーをドリップして(もらって)います。
湧水群と云うだけあって、複合扇状地で伏流水が豊富な松本では、例えば清水や源地という地名が示す通り、市中に幾つもの湧水や井戸があり、源智の井戸の様に誰でも自由に汲める井戸も幾つかあります(町内の方々がボランティアで清掃活動などをされて、大切に守っておられます)。
以前、冊子かTVの旅番組か或いはネット記事か、記憶が定かではないのですが、案内役の市の水道課の方だったか、あくまで「個人的には・・・」と断られた上で、「一番美味しいと思うのは、西堀公園の井戸」と紹介されていたのを記憶しています。
西堀は、その名の通り元々松本城の西側の外堀があった場所ですが、明治以降堀が埋め立てられ、少なくとも私が子供の頃は地場のデパートやアーケード街の六九商店街などもあって結構賑わっていたのですが、デパートも駅周辺に移転し、その後アーケードも取り払われ、往時の賑やかさは無くなりました。
そんな一画(旧デパートビルの対面)に、市街地再開発事業での道路拡張に合わせて整備された小さな公園が西堀公園で、その中に井戸整備事業の一つとして平成20年に井戸が掘られています(また現在は、西側の外堀復元に向けて、該当エリアの立ち退き工事等が行われています)。
途中、順路上の西堀の井戸、中町蔵シック会館の“蔵の井戸”(昔懐かしい手押しポンプ式)、そして大名町の二つの井戸(大手門井戸と大名小路井戸)と試してみました(市内には幾つも湧水や井戸がありますが、もし飲料水に向かない場合はその旨記載されています)。結果、個人的には余り良く分りませんでしたが、奥さま曰く「西堀の井戸の水が一番美味しい!」とのこと。う~ん、確かに源智よりも柔らかい感じはしましたが・・・。何でも、女鳥羽川を境にして、単純に云えば北(大名町以北)と南(中町以南)では、地下の水脈が違うのか、水質が異なるそうです(西堀は北側、源智は南側に位置)。
そこで翌週、水を汲むボトル一つだけに西堀の井戸の水を汲んで(ドリップコーヒーで)試してみることにしました。因みに井戸の横に貼られている水質検査結果では、源智の井戸は硬度140の硬水ですが、西堀の井戸は硬度100ですので、西堀は一般的には(100以下で)軟水の部類に入ります(わが国では一般的に軟水が多く、石灰岩の地盤である欧州大陸は硬水と言われています)。
源智の井戸は、湧水量が毎分500ℓとも云われ、水の出る口が8つもありますが、西堀の井戸の流量は少なく口も一つだけ。汲む側からすれば、源智の井戸の方が遥かに汲み易く時間も掛かりませんが、先ず“モノは試し”です。
いつもと同じように、水だけを西堀に変えてドリップ。我が家の豆はモカ。
以前、奥さまの友人が「源智の井戸」で淹れたコーヒーを飲んで、
「豆、変えた?コーヒーが美味しくなったけど・・・」
とビックリされたとか。豆は専門店ではなく、スーパーで市販しているモカですが、水が変わっただけ。水道水(松本の水道水は美味しいと思いますが)から湧水になって、雑味が消えました。ですので、業務用にレストランや喫茶店の方々が汲みに来るのも分る気がしました。
さて、西堀の井戸の水。
ソムリエの様な敏感な味覚を持つ方がどう感じられるか分りませんが、「源智の井戸」と比べてみて、個人的には“何となく”まろやかでスッキリしている様な気はしたものの・・・、
「うーん、よう分らんなぁ・・・」。
恐らく、その日の体調や天候でも味覚は異なると思いますが、水道水から「源智の井戸」に変えた時ほどの劇的な変化や驚きは、私には正直感じられませんでした。いずれにしても、 “湧水の街”松本が誇るべき、どちらも美味しい“水”だと思います。松本市民の“小さな幸せ”・・・です。