カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
五感で知る季節の微妙な移ろい。
一番多いのはやはり目で見て知る視覚でしょうし、日差しの和らぎといった触感や、蛙の合唱やウグイスやカッコウの鳴き声などで知る聴覚もあります。味覚というと、初ガツオなどの“初物”なのでしょうか。ただ、これは受動的ではなく「食べる、飲む」という能動的な行動でしか知る由はありません。
そして残る嗅覚。“風薫る”と云いますが、出穂した時の稲穂の匂いや、春先の沈丁花、秋の金木犀などが、季節の移ろいを知る代表的な“匂い”です。
そしてこの時期ならではだと個人的に感じるのが、栗の花の匂い。花そのものは薄いクリーム色の様で目立つ花ではありませんが、むしろ匂いの方が栗の木の存在を知らしめている様な気がします。
以前、縄文時代の大遺跡である三内丸山で、大型建築の跡として、直径1メートルの大きな栗の木の柱(6本)が発見されて話題になりました。また、発掘された栗の実のDNA鑑定の結果、集落で栽培されていたことが判明するなど、今から5千年前の縄文の頃より栽培され木材としても用いられてきた、我が国では古来よりお馴染みの木でもあります。そしてクリの実は、丹波や小布施に代表される、秋の味覚の座を現代まで綿々と受け継いでいます。
その栗の花は、雌雄異花で虫媒花。
あの独特な強い香りは、虫に自身の存在を教えるためなのでしょうか。受粉を手伝ってはくれぬ人間がどう感じるかは、栗の木にとっては関係無くて、虫たちにとっての“芳香”でさえあればそれで十分なのでしょう。
早朝ナナの散歩に行って、“匂い”から栗の花の開花を知った次第。
コメント追加