カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
“春の使者”-何となく心浮き立つ言葉ですが、桜前線とか、場合によっては黄砂とか、或いは花粉も?・・・人によってこの言葉から連想するモノは色々違うのかもしれません。
個人的には、サクラの様に「そこに在る木に花が咲く」というような「変化」ではなく、春になって「出現するモノ」がやはり「使者」という言葉には相応しいと思います。
前置きが長くなりましたが、別にバードウォッチングなどの野鳥観察が趣味でなくても、春になって遠く南の島(台湾やフィリピン?)から何千キロも海を越えて、遥々生まれ故郷の日本列島にやって来るツバメ(燕)。
日本人にとって、昔からツバメは益鳥ととして大事にされてきただけではなく、その飛ぶ姿から速さやスマートさの象徴でもあるようで、零式に比べスマートな三式戦闘機「飛燕」や旧国鉄の特急「つばめ」(現在でもJRバスのマークとして引き継がれていますし、元は国鉄だったヤクルト球団はスワローズの愛称をそのまま継承しています)、更に佐々木小次郎の秘剣「燕返し」もその一例なのでしょうか。
さて、その“春の使者”ツバメですが、いつもなら信州にも4月に入れば戻って来ます。早い時は、諏訪(松本よりも位置は南)で4月1日の入社式の日(そのため余計印象深かった)に見掛けた記憶があります。
ところが、今年の我が家周辺では4月になってもツバメの姿を見掛けることがありませんでした。
4月9日に発生し余震が続く熊本地震で、九州は彼らの中継地であるだろうことが、北上に何か影響でもしているのだろうかと心配していました。
週末に食料品の買い出し等で街中に下って行くと、途中松本の市街地でも4月中旬にはツバメを何羽か見掛けることがありましたので、もしかすると松本でも我が家周辺だけが飛来が遅れていたのかもしれません(それはそれで、何故なのか気になりましたが)。
そして、5月1日の早朝。
ナナの散歩前の5時頃でしょうか。いつもの様に、朝起きてベランダでコーヒーを飲みながら一服していると、軒下の1.5m四方に囲まれた空間から望む空に、ツバメが7~8羽空高く舞っていました。今年初めて見る優美なツバメの舞でした。
「ちゃんと戻って来れたんだ。良かったなぁ・・・。」
ただ、時々通るナナの散歩コースにある、近くの小さな貸家(今は空家ですが)の軒先のツバメの巣。これまでは毎年ヒナが孵化していましたが、今のところまだ親鳥たちは戻って来ていません。何千キロという過酷な飛行の中で、全部が無事ということは有り得ないのかもしれませんが・・・。もしかしたら世代交代で、子供たちは他の場所に巣作りをしているのかもしれません・・・。そう云えば、嵐を避けて、遠洋航路の貨物船で羽を休めるツバメの群れの話を子供の頃読んだ記憶があります。子供心に「ガンバレ、頑張れ!」と感じた、半世紀以上も前の遠い記憶です。
自然災害で、何となく日本列島が元気を失っている中で、我が家周辺ではいつもより遅かったとはいえ、今年も長旅を終えて変わりなくツバメが元気に滑空している姿を見て、ホッと一安心。ホンの小さな出来事ですが、今年も変わらぬ光景に、何となく災害列島に平穏がチョッピリ戻りつつあるような気さえしました。
熊本にも、ツバメは生まれ故郷を忘れずに戻って来ているのでしょうか・・・。
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