カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
この時期、朝4時過ぎの東の空はまだ真っ暗です。
5時を過ぎて漸く少しずつ白んでいきます。出勤の関係で、5時半にはナナの散歩に出ますが、まだ薄暗い感じです。
4時過ぎに起きて、ベランダから東の空を見ると、東山から昇った金星が“明けの明星”で輝いています。10月上旬には、中秋の名月から欠けていった三日月が、下弦の月となって、ちょうど月星マークの様に金星の真下にありました。
そして、その一番明るい(マイナス4等)金星の近くに見える星は火星と木星なのだとか。木星の方が明るく(マイナス2等)、火星は文字通り赤い色をした少し暗めの星(2等星)です。
同じ太陽系の惑星ですので、地球同様に太陽の周りを公転しており、他の恒星とは違った動きをします。天文関係の情報によると、10月26日に金星と木星が大接近し、11月3日に今度は金星と火星が接近するのだとか。また地球との距離により、地球から見えるその明るさも季節によって変化しています。
少し(かなり?)早起きをして星を見るのも、たまには良いかもしれません。20分も見ていると、東の限られた視界の中でも、時々流れ星が見えたりすることもあり、ちょっぴり“得”(何文の得かは分りませんが)した気分になります。
【追記】
10月8日月星マーク(三日月と金星)から、26日の金星と木星の大接近、そして28日の三惑星(かろうじて、真ん中の金星の左斜め下に火星が小さく写っています)と撮影してみましたが、スマホでもQX-10(最後の写真。22日) でも夜空の撮影は難しい・・・。どちらも手振れ防止機能は付いているのですが、やはり三脚とか使わないとダメの様です。ピンボケ写真ばかりですが、多少でも雰囲気を分って頂ければ・・・。
信州には、有名な紅葉スポットがたくさんありますが、個人的には毎日の通勤路の三才山峠も“隠れた?”紅葉の名所だと思っています。
そこで、勝手に名付けた“三才山紅葉街道”。
この三才山峠は、特に松本側に広葉樹が多く、その山肌を縫うように間近に見て走るので、赤や黄に紅葉した木々が目に迫って来て息を飲むようです。
また、峠前後の、特に上田側の鹿教湯から平井寺トンネルまでのエリアも、のどかな里山の紅葉が目を楽しませてくれます。
一番の見どころは、松本側から上った、帯所橋から本沢橋までの三才山トンネル手前の右側と、上田側から上って料金所を過ぎて短い孫六トンネルを越えてから、三才山トンネル直前の鹿教湯大橋を渡る目の前の山肌。正に錦秋と呼べる程に見事な紅葉が眼前一杯に広がります(松本側からだとトンネルを抜けた背後で見えませんし、停車する場所がありません)。
料金所から上田側に下る鹿教湯までの道筋は、広葉樹よりも落葉松が多いので、景色が異なりますし、黄金色に染まるという落葉松の黄葉の見頃は、ホンの一瞬の様な気がします。
秋の行楽シーズン。松本から“信州の鎌倉”上田塩田平まで(或いはその逆ルートで)。三才山峠の紅葉を愛でながらのルートも、ガイドブックには載っていませんが、信州の紅葉観光の穴場ルートとしてお薦めします。
【注記】
ここに掲載したのは、先週(21日)の昼頃、直行した外出先から上田へ出勤する際に撮影した写真です。峠道には、眺めるのに良いスポット(停車帯)がなく残念ですが、少しは“紅葉街道”としての雰囲気を感じていただければ幸いです。掲載した順番に、松本側の小日向地区、本沢橋周辺、三才山トンネルを抜けて上田側の内村ダム湖を望む辺りから(絶景の鹿教湯大橋周辺には停車可能な場所はありません)。
ここ数日は寒い日もあったことから、早紅葉終盤となっている場所もあります。
東京美術学校創設に尽力した橋本雅邦と、その門下で“四天王”と称された西郷孤月、横山大観、下村寒山、菱田春草の作品を集めた美術展が、今月下旬(31日)から一ヶ月間、松本市美術館で開催されます。
西郷孤月は地元松本出身、菱田春草は飯田出身。その将来を嘱望されて、橋本雅邦の娘婿となりながら、僅か一年で離縁して中央画壇を離れて“放浪の画家”となった孤月を、同じ信州出身である春草は、盟友として気に掛け励ましていたと云います。
昨年3月に東京都美術館で開催された「日本美術院再興100年特別展」(第834話参照)でも、橋本雅邦の一番弟子として、その創設の中心メンバーでありながら、身から出た錆とは云え、その後の経緯により、勿論展示作品の中にも、また美術院の年譜の中にさえも「西郷孤月」の名前はありませんでした。
今回は、それぞれの作品が展示される中で、何と言っても目玉は“良くぞ故郷信州へ”と感謝すべき春草の二作品。いずれも細川家縁(ゆかり)の永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)の「黒き猫」と「落葉」(いずれも重要文化財指定)が、揃って“里帰り”(飯田ではなく松本ですが)することではないでしょうか。春草の作品120点が集まった、2011年の県信濃美術館での没後100年の特別展(第538話)にも貸し出されることはありませんでしたから。
それともう一つ。個人的な関心は、松本市美術館蔵「台湾風景」という西郷孤月の最晩年の作品。春草36歳で夭逝の翌年、孤月が38歳で亡くなる前に、描写旅行に出掛けた台湾で描かれた作品なのですが、これと同じ絵が4年前に見た山種美術館(第571話参照。掲載の写真は山種蔵)にもありました。「2枚あるのか?」と気になっています(他にも、橋本雅邦の、以前美術展で見た静嘉堂文庫蔵の重文ではなく、宮内庁所蔵という「龍虎図」や孤月の藝大美術館蔵「春暖」も展示されます)。
「これは凄い!絶対に見に行かねば!」
但し、この二作品は前期、後期に分けての展示とか・・・。従って2回見に行くつもりです(熊本は勿論、東京での美術展へ見に行くことを思えば、遥かに楽ですから)。
・・・と断言出来るくらい、有難いことに、いくら彼が信州出身とは言え、こんな地方の美術館で開催されるのが不思議な程、凄い美術展だと思います(展示数は分りませんが)。開催に向けて尽力された方々に感謝です。
ただ、そんな凄い美術展なのに、これまで何のPRもTVや新聞で目にすることもなく、たまたま返却に行った中央図書館でチラシを発見!
「何と勿体無い、もっと宣伝すれば良いのに・・・」
もしこのブログを見て、一人でも多くの市民、県民の方が見に行っていただければ幸いと思い、微力ながらのPR・・・と思った次第です(しかし、ホント凄い!)。
【ご参考:お得情報!】
先週末、早速2回分の前売り券を購入しに、買い物に出たついでに市美術館へ行って来ました。すると、受付で勧めていただいたのには、リピーター割引というのがあって、もし同一展を複数回見学する場合は、前回に行った時の半券を次回も忘れずに持って行くと、前売り券(800円)よりも安く(600円)入場出来るのだそうです(・・・ということで、前売り券を一回分だけ購入して来ました)。
先週の日曜日は、早朝の“出払い”(町会毎の市内一斉清掃)があったので、終わってからのウォーキングです。そのため、出掛けるのが7時半くらいになったので、この日は趣向を変えて、いつものアルプス公園方面ではなく、街中へ行ってみることにしました。
我が家は高台にあるため、市中への行きは下りで帰りはずっと坂を上る、いつもとは逆のパターンになります。せっかくですので、お城の公園を通って、喫茶店「珈琲まるも」でモーニングセットを楽しむことにしました。「まるも」(第777話他参照)は朝8時から営業していて、モーニングセットは地元の常連客だけではなく観光客にも人気とか。我が家からは、大体片道2.5㎞のコースでしょうか。
深志の正門から、車の往来の少ない住宅街を下るコースで、中央図書館の裏から旧開智学校横を通って松本城へ。この間には、深志高校が国の登録有形文化財(観光客は来ませんが)、県宝の旧司祭館と併せ、開智学校が重文、お城が国宝と、ちょっとした観光コースです。 市民の憩いの場(或いは通勤・通学路?)でもある、お城を囲む二の丸跡の公園(昔は「中央公園」でしたが、現在の名称は「松本城公園」の由)には、朝早くから、三脚を携えてお城を撮影しているアマチュアカメラマンや犬の散歩をされている方々がいらっしゃいます。
ちょうど「お城祭り」の期間中(この日は、午後本丸庭園が無料開放されて「古式砲術演武」とか)の様で、本丸庭園からは、練習中なのでしょう、和太鼓の連打する音が聞こえて来ました。8時前ですが、正面の黒門付近にはもう観光客の方々もチラホラと(お城の開門は8時半)。残念ながら、北アルプスは雲の中でしたが、「いつ見ても、イイお城だなぁ・・・」。
「祝松江城国宝指定」(国宝のお城が5つになりました)の縦看もありましたが、松平直政公が松本藩から移封されたと、松本と松江の縁も記載されていました(その時に、松本から蕎麦職人を連れて行ったのが出雲蕎麦の起源です)。
街路樹のシナノキが色付き始めた大名町から、四柱神社の境内を通って(ちゃんと参拝して)縄手通りを抜け、女鳥羽川の一ツ橋を渡って喫茶「まるも」へ。概ね予定通りに、開店時間を回った8時10分の到着。久し振りです。
少し暗めで落ち着いた板張りの店内には、松本民芸家具の席に既に3組程お客様がおられ、我々もモーニングセットを注文。店内には、ちょうど「水の戯れ」がBGMで流れていました。
まるものモーニングは、コーヒー(紅茶も選択可)と厚切りのバタートーストにミニサラダのセットで500円也。リーズナブルです。
珈琲(とここでは書きたくなります)は、昔から変わらない濃い目で酸味が効いた私好みの味。ただ苦いだけの(としか私には思えぬ)シアトル系とは一線を画します。山型のイギリスパンのトーストは、厚切りで外はカリッとしていますが中はフンワリ。もしかしたら、まるものモーニングを食べるのは何十年振りかも知れませんが、これも今は亡き先代のマスター新田さんのおられた頃から変わりません(・・・と思います)。
新田さんが戦地から戻られ、「気兼ね無く、大好きなクラシック音楽を聴いていたい」と昭和31年に始められたのが、明治初期から続く旅館「まるも」の喫茶部ともいえる「珈琲まるも」とか。私メと同い年というのも親近感があります。学生時代の帰省中やUターン後の独身時代。鶴林堂で買った本を読みながら、名曲喫茶の様に好きなレコードをリクエストさせてもらって、珈琲1杯で長居をしても文句の一つも言われませんでした。
学生時代からずっと変わらぬ味と雰囲気に、店内に静かに流れる時間の進みが少しゆっくりとした様で、味よりも懐かしさに浸ります。
「街歩きのウォーキングも、なかなかイイわね・・・」
「じゃあ、今度は花月のモーニングを食べてみますかぁ!?」
ということで、帰りは、辰巳の御庭(小公園)から緑町を抜けて、ホテル「花月」の喫茶室を確認(7時開店でした)してから同じルートで帰りました。
勤務先の事業所は、IT系、研究施設や大学などが点在する、上田市下之郷の森林公園の様な中にあります。
事業所の周辺には、塩田平らしく、溜池やクヌギやナラなどの林が残され、遊歩道の様になっている場所もあります。
すると、歩き辛いくらいに、遊歩道にドングリが一杯落ちています。見ているだけで、何となく嬉しくなって(子供の頃を思い出して?)、幾つか拾ってみました。昔だったら、きっとヤジロベエやコマ(独楽)などを作っていたのでしょうね。
歩いて10分くらいの所に女子短大の付属幼稚園がありますが、今の子供たちも嬉々としてドングリ拾いなんてするのでしょうか?
誰が集めたのか、ベンチにドングリが並べてありました。
今年は、山のドングリが豊富なのだとか。
そのため、冬眠準備に向けて、秋の里山に下りて来るクマは例年よりも少ないだろうとの予測がされているようですが、北アルプス山麓では場所によって不作のエリアもあるのだとか。出来れば、山に持って行ってあげたい程の、たくさんのドングリでした。
久々に胸が熱くなるような感動でした。世界に十分な驚きと感動を与えたW杯ラグビー日本代表。惜しくも目標の準決勝には進めませんでしたが、現地からの日本チームを賞賛する報道で知ったのは、日本代表の海外での愛称。例えばNZの“オールブラックス”は有名ですが、ラグビー界での日本は“Brave Blossoms”「勇敢な桜」と呼ばれているのだとか。正しく、それを見事に証明した大会として記憶に残ることでしょう。
(以下、大会前に書いていた文章です)
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スポーツの世界ほど、結果(だけ)で評価される世界はありません。
ラグビーW杯に出場するエディ・ジャパン。大会を前にして、2012年にHC就任後日本を過去最高の世界ランク9位まで導いてきたエディ・ジョーンズHCの大会後の退任が報じられました。2019年の日本大会まで指揮を執ることを確約されていた中での突然の(今回大会終了を以って)辞任発表でした。
先日、日経のスポーツ欄に、ジョーンズコーチを評して、日本ラグビー界にとって「良薬であり、劇薬である」と評する記事を見て、些か考えさせられました。同時に思い浮かんだのは、シンクロの日本代表コーチ(HC)に復帰した井村雅代さんでした。
実績を残し、日本を世界のトップクラスに押し上げながら、その強引さで連盟(日本水連)と反目し、中国チームに三顧の礼で迎えられ、今度は中国を世界トップチームに育て上げます。
その間、日本チームはジリ貧で成績を挙げられず、遂に水連は井村さんをHCに復帰させ、今年の世界水泳で見事銅メダルという復活の道筋を作って見せた井村さん。鍛え上げる過程では、ついていけないと脱落(代表辞退)する選手も出て、本番では補欠要員も欠いての戦いでした。
彼女の叱咤激励と選手を鍛え上げて行く様は、まさに軍隊式のスパルタであり、これが世間一般であれば、すぐ“ブラック”やら“パワハラ”と批判されるようにすら見えます。曰く、
「親が死んだ時以外は涙を見せるな」(練習での涙無し)
「チームで誰か失敗したら怒れ。怒ることで、自分も失敗出来ないから自分にも責任が生まれる」(馴れ合い禁止)
「あなたたちはメダル無しに慣れているかもしれないが、私はプライドに懸けて許せない」
しかし、そうならなかったのは、単に結果評価だから・・・なのでしょうか。
その一番の理由は、子供に対する母親のような、チームを強くしたいという信念と選手への愛情がそこにあるからだと思います。
見事銅メダルを取って、抱き合いながら選手から首に掛けてもらった井村さん。「親の死んだ時以外は涙禁止」と言っていたのに、“鬼の目にも涙”だったそうです。
一方、母の祖国である日本でコーチ人生(東海大ラグビー部コーチ)をスタートさせたジョーンズさんも、選手以上に激務をこなし、その結果自身の肉体を追い込んで、2年前に脳梗塞で倒れたのは周知の事実。
これまでのW杯で僅か1勝しかしていない日本チーム。このW杯の結果がどう出るかは、これからです。ジョーンズHCの“JAPAN WAY”が世界を驚かすかどうか?大いに楽しみです。
【大会後の追記】
十二分に世界を驚かせて、日本チームの戦いは終わりました。
既に80分を超えていた南ア戦の終了間際、確実に引き分けられるPGではなくスクラムを選択したリーチ主将の決断に、身震いするほど興奮しました。試合後のインタビューで、五郎丸選手が「ラグビーには奇跡なんてないです。必然です」と、淡々と且つ冷静に話す言葉に、戦前の下馬評はともかく、世界の強豪と渡り合えるまでの実力と自信を日本代表が蓄えていたことを知りました(サモア戦だったか、ゴールライン間近で、今度は確実なPGを選択した時のスタンドからのブーイング。実力が認知された証しでしょう)。
そして、これまでの報道の中で知ったのは、HCだけではなく、彼の組織したコーチ陣の力。その厳しい指導による葛藤の中で、リーチ主将以下が意見を出し合い変えていったという選手たちの自主性。HC一人の指導力というより、全体としての組織の力だったのでしょう。そしてそのマネジメントこそが、HCとしての卓越した手腕だったのでもありましょう。
いずれせよ、日本の誇りを背負って戦った勇敢なる桜の戦士たちに、感謝です。「お疲れさまでした、感動と勇気をありがとう!」
(日本開催となる4年後のW杯に向けて、「ブームで終わらせてはいけない」という、終わった後での選手たちの危機感と責任感がなでしこジャパンと全く同じで印象的でした。比較できないほどに、待遇や環境に恵まれた男子サッカー代表にも、もしこの危機感があれば・・・と思ったのは私だけでしょうか?)
【追記その2】
外国籍選手が多いことに違和感を感じたり、賛否の声もあるようですが、紛れも無く彼等も桜を胸に日本の誇りを背負った戦士たちでした。
4年前の3.11。大震災で瓦礫の山と化した岩手県釜石市。釜石シーウェイブスの外国籍選手たちは、母国にいる家族や大使館からの帰国を促す説得にも耳を貸さずに釜石に留まり、ラグビーが出来ない中で、毎日ボランティア活動に取り組んだのです。その“ラグビーの街”釜石でも、4年後のW杯が開催されます。
栂池自然園への初トレッキングに味を占め、今度は富士見町の“花の百名山”入笠山へ行ってみることにしました。
前日家事を済ませての日曜日。天気も良さそうだったので、ナナを月例のトリミングに預け、9時半に松本を出発。些か遅い出発ですが、現地で3時間もあれば十分でしょう。今回もゆっくりとハスラーで。
諏訪南ICから国道20号を越え、10分程で富士見パノラマリゾートのゴンドラリフト横の駐車場(無料)へ。ICから至近ということもあり、松本からは1時間で10時半の到着。以前富士見の事業所に2年弱電車通勤していた頃は、毎日「すずらんの里」駅から入笠山を眺めていました。
ゴンドラリフトで上昇するにつれて、背後に八ヶ岳が次第に大きくその姿を現して来ます。この日は少し霞が掛かっていましたが、どうやら八ヶ岳を始め、山は良く見えそうです。但し、松本から見た北アルプスは、白馬方面に雲が掛かっていたので全部は無理そうですが、八ヶ岳は勿論、松本からは見えない南アルプスや富士山を是非見てみたいと思います。
山頂駅横の入口から、カラマツ林の林道を(途中“恋人の聖地”八ヶ岳展望台へは行かずに)15分程歩いて入笠湿原へ。ここはスズランの群生で有名ですが、この時期花は殆ど無く、枯草の湿原。御所平お花畑を横に見て、マナスル山荘からは、お花畑の中のジグザグコースではなく、早く着いた方が良いと直線的に登る登山道を選択。山荘から山頂へは、40分から50分とのこと(距離と時間、行先が表示されていた栂池自然園に比べ、入笠の案内板は不親切でかなり分り辛い)。
結構な急登が続く登山道で、最後山頂への岩場コースと迂回路の分岐でも(ここも時間節約で)岩場コースを選択。しかし、途中にはガレ場っぽい道や短い鎖場もあって、短時間とは言え、初心者の我々にとっては、これはトレッキングではなく殆ど登山の様相。栂池自然園のトレッキングの比ではありません。湿原も、栂池はほぼ平坦でしたが、入笠は結構な斜面です。そう言えばスカート姿の女性が、先にゴンドラで上がって行きましたが、ここは湿原歩きであってもスカートでは無理そうです(展望台だけなら大丈夫かも)。
栂池がトレッキングなら(実際はハイキング程度でしょう)、入笠山(山頂へ)は登山です。山荘から40分程度(健脚な人なら30分とか)、「これって登山ジャン!」と独りブツブツ言いながら(後ろからも「どこが栂池より楽なのヨ?大体、いつも情報がイイ加減ナンだから!」との声を無視して)登り続け、登山道の周囲の木々(考えてみれば、2000mでは森林限界以下)が無くなって急に視界が開けたかと思ったら、そこが入笠山1955mの山頂。
「着いたぁ~」とガックリ、拍子抜け。「あぁ、シンド・・・」と溜息。
息を整えて、周りに目を転じてみると、木々の無い山頂部からは、正に360°の絶景が拡がっていました。
「おぉ~、凄い・・・」と、後は言葉になりません。
東には、目の前一杯に広がるように、雄大な八ヶ岳。南には、山越しに甲斐駒や仙丈ヶ岳など、南アルプスの名峰。そして、その左肩越しに、青い墨絵のように富士山も見えています。「おぉ~、凄い!」
そして西方面には、中央アルプスの木曽駒や遠くには薄らと御嶽の姿も。更に北に目をやると、北アルプスは穂高連峰から常念までは確認出来ましたが、その先は雲の中。その手前前方には、諏訪湖を足元に置いて霧ケ峰から美ヶ原が広がっています。この入笠山の山頂からは、天候が良く空気が澄んでいれば、日本百名山の22座が見えるのだとか。
「いや、本当に360°なんだ・・・。」
「こうやって近くで見ると、八ヶ岳はやっぱり凄いなぁ・・・」
太古、この地に住む縄文の人々にとっては、正に神の山だったのでしょう。大きく裾野を広げて連なる峰々は神々しく、特に主峰赤岳(2899m)から阿弥陀岳を経て横岳に至るギザギザした稜線の荒ぶる様な雄々しさと、少し離れた蓼科山の対照的に柔らかな山容も印象的です。
山頂では、子供連れのご家族や、我々も含めたシニア、若いカップルなど、老若男女の皆さんが、それぞれ思い思いの感嘆符を付けて目の前に拡がるパノラマに見入っています。我々も山頂で、オニギリのお弁当(今回はお手製の燻製の鶏ハムや卵焼きのオカズ付き)で昼食。山頂で食べるオニギリは最高です。やっぱり、景色が最高のオカズ(調味料?)でしょうか。
帰路は、往路の表登山道の急坂や岩場を避けて、首切清水方面への裏登山道を下りました。自動車道路に合流する手前の法華道佛平峠(何とも云われのありそうな名称で、伊那谷方面へ抜ける道のような痕跡が認められますが、残念ながら由緒書きなどの説明は無し)という案内板の表示が、山頂からは100m低い1850m(マナスル山荘から山頂までの表登山道は約200mの標高差)でしたので、随分なだらかな気がしました(山頂へは、裏登山道の方が初心者には楽でお薦め)。
舗装された自動車路に出て、大阿原湿原へ向かってすぐの“首切清水”まで。その昔高遠藩の金奉行が、ここで喉を潤そうとして賊に襲われたという言い伝えとか。但し、現在は飲めないとの表示で諦めて戻ります(大阿原湿原へ行かなければ、わざわざ見学は不要)。登山道に比べ風情はあまりありませんが(途中、八ヶ岳ビューポイントという場所あり)、歩き易い舗装路を下って御所平まで。そこからまた入笠湿原に入って、今度は往路の林間コースではなく、結構長い階段状の木道を昇って山頂駅に至るコースへ。残念ながら、こちらも殆ど花の時期は終わって、枯草の中。昇り切って、電波塔の横を通って山頂駅へ戻りました。
皆さん、リフト利用時の割引券(50円引き)でソフトクリームを食べておられたので、我々も名物というルバーブとのミックスを購入し、暫し休憩。
そう言えば、今回は熊除けの鈴はリュックに入れっぱなしで使いませんでしたし、付けている人も殆ど見掛けませんでしたが、家内曰く、「こっちの方が、よっぽど熊が出そうだけど・・・」(因みに、湿原を抜けた山彦荘の売店には、お土産用を含めて鈴が売られていました)。
登頂時に先に行かせてもらって、帰路も途中で追いついた、我々よりも少し年配の群馬から来られたというご夫婦。地元の尾瀬は勿論ですが、入笠にも毎年一回は来られている由。入笠のお薦めをお聞きすると、ご夫婦曰く、スズランよりもリンドウ(エゾリンドウ)が一斉に咲く時期(8月下旬から9月上旬)が見事なのだそうです。
先週の栂池に比べると、湿原の草紅葉も無く茶色一色で、山にも広葉樹が少なくカラマツの多い入笠の紅葉は今一つ。紅葉が目的なら、他へ行った方が良いでしょう。やはり、ここは花を愛で、そして何と言っても山頂からの360°の展望を楽しむ山なのでしょう。
山頂への登坂は思いの外きつかったのですが、我々の様な初心者は、本格的な登山は無理でも、こうしたプチ登山を楽しめるのも入笠の魅力かもしれません。山頂から山が(せめて八ヶ岳だけでも)見えないと、入笠山の魅力は半減の様な気がします。次回は、天気が良い花の季節に再訪したいと思います。
蛇足ながら、帰りのゴンドラリフトに乗る時に、何とホットタオルのサービスが。汗と埃にまみれたので、嬉しい心配りに感激しました(奥さまは「あら、そう?」とそれ程でもありませんでしたが、男性の方が単純なのでしょうか・・・?)。
ハスラー納車から、今日でちょうど4ヶ月が過ぎました。
この間、奥さまが実家へ行くのにも使うので、ほぼ月1000㎞ペースで走行しています。我が家の“ゲタ替わり”のセカンドカーとして、この4ヶ月間の印象は、まさに“使える軽!”。CMでのキャッチフレーズは“遊べる軽!”ですが、それよりも(子供が巣立って、遊びに行かぬシニア世代にとっては)本当に実用性に優れた車だと感じました。
ハスラーに乗ってみての、先ず内外装の印象から。
これまで高さだけが規制(上限2.0m未満)だった軽自動車も、今や車高170㎝オーバーというトールワゴンが主流(ダイハツのウェイクは1835mm)ですが、軽唯一のクロスオーバーSUVタイプとして登場したハスラーは、SUV故の地上高(車高1665mm)も手伝って「頭上が狭い」という声もあると聞きましたが、座高の人一倍高い私でも頭の上に拳一つは優に余りますので、圧迫感も無く全く問題ありません。
逆に、ハスラーは個性的なボクシースタイルでAピラーが立っているため(その分、フロントガラスの面積が狭くなるのでワイパーも短く、雨天で作動した時に一瞬オモチャかと思いました)、むしろ室内に座った印象は全体(特に前方)に解放感(余裕すら)を感じます(ここではSUVとしての地上高=ドライビングポジションの高さが、プラスに影響しているかもしれません)。
インテリアでは、小物入れなどの収納スペースは結構数は豊富にあるのですが、ダッシュボックス含めWDHとも狭目。ちょっと嵩張るような物は収まりません。但し、これは軽自動車故に仕方ありません。助手席シート内にシューズボックスがあり、こちらは靴も収容可能とのことで、大きな物も入ります。ただ、二人乗車時だと(助手席に座ると)使えません。
ピンクやオレンジ、ブルーといった若者や女性向けのポップな色も用意された外観とは対照的に、シートは黒一色に統一されて意外とシック。意外とシートのホールドも良いと思います。長距離走行(と言っても、今のところ2時間程度)でも苦になりません。また後部シートも(左右分割で)16㎝スライドするので、目一杯下げると、大人の男性が座っても十分な広さで足も組めるほど。但しその際は、当然ラゲッジスペースが犠牲になるので、食料品のレジ袋がやっと収まる程度の縦幅しか取れません。従って、大人4人が乗車してのロングドライブは、走行性能よりも、搭載荷物で苦労するかもしれませんね(座席をスライドさせずに、人間が多少我慢してトランク用スペースを確保するか)。でもそこは軽ですから・・・。
ターボではなく、NA(自然吸気)DOHCエンジンのCVT車ですが、街乗りでは余裕の走り。我が家は松本駅周辺から距離で3㎞、標高で40m程上った高台にあり、駅からは、ほぼずっと上り坂(駅へ行く時は逆にずっと下り坂)。アルプス公園へは我が家周辺から更に150m程度上っています。
母を高台にあるデイサービスに送迎する時など、ムーブでは踏み込んでも30㎞しか出ず、家内は後ろに車が付くからと嫌がっていましたが、ハスラーは余裕の登坂力(まだ踏み代に余裕を残して、50㎞/hでも上って行けるレベル)。しかも、更にSモードもセレクト出来ます(シフトダウンしなくても、Sモードだけで結構エンジンブレーキが効きます)ので、坂道も高速も、それ程苦になりません。ただ、登坂時にアクセルを踏み込むと、応答性は良いのですが、エンジンノイズがかなり高目になり、軽であることを認識させられます。それ以外は、平地や街乗りなどでは意外と静粛性も高く、普通の運転であればDOHCエンジンの反応も悪く無いので(但し、坂道の信号などで停車し発進してアクセルを踏み込んだ時に、空吹かし状態風に少しタイムラグを感じるのが個人的にはかなり気になります)、軽自動車に乗っていることをあまり意識させません。また、ウィンカー音が意外と(10年前のムーブに比べ)高級感があり感心しています(今の軽は皆こうなのでしょうか?)。
なお、この間の燃費は(自宅が高台にあるため?)街乗りで18.5㎞、実家往復で高速を使う場合で給油時に19㎞超とのこと(長距離だと20㎞を超えることも)。因みに、15年落ちだった我が家のムーブの燃費のほぼ倍。マイルドハイブリッドとも呼ばれる、S‐エネチャージとアイドリングストップも効いているようですが、街乗り中心だと20.0㎞には届かず(因みに、JC08モードのカタログ値はS‐エネチャージ搭載のNAの4WD で30.4kmですので、18.5㎞の場合だと実質燃費は61%。一般的にカタログ値の60~70%と言いますので、こんなものでしょう)。なお、給油タンクは容量27Lと昔の軽に比べてやや小さ目ですが、18.5㎞でも500㎞は走れる計算。いや、大したモノ(残り5.0Lで給油の警告ランプが点灯するまでは、平均燃費での走行可能距離が表示されます。点灯後は過信しないように、敢えて走行可能距離は表示しない仕組みとのこと)。
ハスラーは、運転中にエコモードでの運転状態になると、速度計上部のライトニングが、発進時や加速時のブルーからグリーンへと変わりますので、否が応でもエコ運転を意識させられます(最後のエンジン停止時に、それまでの運転中のエコ運転の評価点が表示されます)。また、エアコン使用時ではアイドリングストップを効かせない場合もあります(作動しない場合は、ディスプレイにその理由が表示されます)。
ディーラーの担当者の方曰く、燃費を良くする(=20㎞/L以上)コツは、発進時に踏み込まぬこと(=ブルーの表示を出来るだけ少なくすること)だそうです。
ユーザー対象は(ボディーカラーは別として、メーカーの想定以上に)老若男女を問わず、また誰が乗っても、多分総合的満足度はかなり高い軽だと思います。特にセカンドカーが必須となる信州では、皆さん冬の雪道を考えてか、最近街中でちょくちょく見掛けるようになりました。やはり、値の張る本格オフローダーではなく、手軽な(地上高に余裕のある)SUVタイプの四駆の軽のニーズは、雪国では高かろうと思います。スズキ(会長)の先見の明でしょう。
発売以来ハスラーの一人勝ちだった、軽のクロスオーバーSUVというジャンル。ここで(9月9日)、ダイハツが満を持して?「キャスト」という新型(ベースはムーブ)を投入して来ました。ムーブの前ユーザーである我が家にも、ダイハツから案内が送付されてきました。勿論実車を見た訳ではありませんが、タイプの違う3種類を揃え、それぞれ、ハスラー、N‐ONE、アルトターボ対抗という雰囲気。スタイルも、以前のミラジーノとも、ハスラーやN‐ONEとも似ている様な気もしますが・・・。
ただ、SUVとしては、3車種に共通性を持たさざるを得ないキャスト・アクティバよりも、ハスラーの方がデザイン含めて割り切りがあって個性が立っているように感じますので、後続としてはもっと尖らせても良かったのではないでしょうか?(実際の走行性能は分りませんが、カタログスペックで見る限りは、燃費やエコ性能でも負けている感じ)。
新ジャンルの車が売れれば、その対抗をぶつけるのは当たり前。これまで、軽自動車でも、ワゴンRにはムーブが、逆にタントにはスペーシアが対抗として登場し、そのジャンルをお互い競い合って、両社で共に日本独特の軽自動車市場を拡大してきたのですから。
朝晩の気温が10度近くまで下がり、山に囲まれた盆地で川の多い松本も、これから晩秋に掛けて霧の発生する季節になりました。
ウォーキングの練習を兼ねて、この日はナナも一緒に我が家から下岡田(神沢から塩倉)方面へ坂を上り、アルプス公園の東入口駐車場から公園に入って、南入口駐車場から蟻ヶ崎台を通って我が家の裏山を下るコース。凡そ3㎞程でしょうか。
ナナがいると練習にならないとのことですが、たまには一緒に連れて行ってあげようということになりましたが、リードは私メが持つことに。
平日は1.5㎞、週末は2.5㎞がナナの散歩コースなので、3㎞で結構アップダウンのあるこのコース(アルプス公園の途中まではずっと上り坂で、そこからずっと下り坂)は、ちょっとナナにはキツイかもしれません。因みに、我が家の前を通過しての塩倉池往復が、高校時代の運動部の定番ランニングコース(長距離が苦手故、大嫌いなコースでした)。
先週の週末は「りんご音楽祭」で満杯だった東入口駐車場(466台)も屋台も出て賑わっていた園内も、殆ど人がおらずひっそりとしています。
「森の架け橋」から園内に入り、森の入口休憩所横の「ふれあいの水辺」を抜け、「桜の森」から博物館横を通って南入口駐車場(181台)へ。
これで、H19年に倍以上の71hに拡張されたというアルプス公園の半分程度でしょうか(北側には、自然観察の森などがまだある筈です)。
途中、急坂などは、ナナを抱いてウォーキング練習の奥さまに遅れぬように歩きます。
ケヤキや桜も少し色付き始めた桜の森から、家族広場の原っぱは、この日、霧に霞んで何とも幻想的な雰囲気でした。
遠くまで行かずとも、我が家からすぐの所にも素敵な場所が拡がっていました。
せっかくの“山ガール”デビュー準備と、毎朝の裏山への登坂訓練の甲斐も無く、9月の台風接近で中止になった「上高地レディーストレッキングツアー」(第1012話)。随分楽しみにしていたので、代わりにシルバーウィークに初心者向けのコースへ行ってみることにしました。
“海無し県”の信州ですが、トレッキングとなれば県内至る所にコースがあるのは有難い限り。初秋で、山の上から紅葉が始まっていますが、初心者向けの歩き易い(アップダウンのあまり無い)コースを前提に、松本からのアクセスもふまえて候補に挙げたのは、雄大な白馬連峰を望む栂池自然園、白樺林の八千穂高原と紅葉の名所白駒池、そして山頂からの360度の展望と“花の百名山”で知られる富士見町の入笠山。勿論、上高地を始め乗鞍高原や美ヶ原など、松本周辺(今や全部市内です)にも幾つもコースはありますが、今回は初めての場所を前提に選んでみました。
ネットで調べた結果(ライブカメラもあって今は便利です)、今回は栂池自然園に決定。入笠山は花の時期を過ぎ、カラマツが中心という黄葉には少し早そうですし、白駒池の見頃も10月上旬とか。一方、白馬山麓の2000m近い高原では既に紅葉も始まっていて、トレッキング気分が味わえるのではと考えた次第。初心者向けとしては、入笠同様、栂池もゴンドラリフトで上がることが出来るので、湿原の中を歩くコースが中心となります。
朝8時前に、通勤用のSUVではなくハスラーで出発。奥さまは、栂池への急坂を登れるか心配の様ですが、軽とは言えSUVのハスラーなら大丈夫でしょう(多分)。松本からは、途中の市街地の渋滞を避けて、平瀬橋を渡り国道147号高家バイパス経由でこども病院横を通って、安曇野ICから県道306号高瀬川沿いのバイパスで木崎湖まで抜けるコース。到着まで2時間を見ましたが、ゆっくりと走っても信号が殆ど無いので順調に走行し、1時間半で小谷村栂池高原スキー場に到着。
広大なゲレンデは、戦後一世を風靡したという「鐘の鳴る丘」のロケ地としても有名(モデルとなった高原寮は穂高の有明に実在)で、今でもゲレンデ内にモニュメントがあり、その名も「鐘の鳴る丘ゲレンデ」。栂池には会社の先輩たちとスキーで来て以来ですので、少なくとも35年振り。
国道148号を信濃森上付近から姫川沿いに一旦下って、白馬大池からスキー場までのつづら折りの急登。当時、先行車が立ち往生すると後続も雪でスリップして登れず、良くチェーンを巻いた記憶があります。ヘアピンカーブなど多少拡張されたようですが、道路状態は当時と然程変わっていません。奥さまにご心配いただいたハスラーですが、Sモードにするまでも無く(むしろ下り坂でのエンジンブレーキで使用)、アクセルの踏み代にまだ十分に余裕を残して、難なくつづら折りを登り切りました。悪路ではありませんが、軽のSUVとしてハスラーの実力はなかなかのモノ。(帰路は、ナビ画面で、栂池高原から岩岳を経由する県道433号があるのが分ったのでそちらへ。国道148号を走り、白馬大池からのつづら折りを登るより、急坂も無く走り易く拡張整備されているので、栂池へは県道の方が遥かにお薦め。信濃森上付近で国道に合流)
栂池自然園は中部山岳国立公園の標高約1900mに拡がる高層湿原で、広さ100hという広大な湿原の中に一周5.5㎞の遊歩道が設けられています。ミズバショウ湿原が標高1860mで、コース途中の展望台が2020mとか。80%は木道が敷かれていて大変歩き易いのですが、200m近い高低差があるので、途中登坂路のアップダウンもあり、雄大な白馬連峰を望みながらトレッキング気分が味わえます。この日は雨の心配は無さそうですが、生憎のガス模様。手前の白馬乗鞍を始め、白馬連峰(後立山連峰の主峰、2932mの白馬岳を中心とする山群の俗称)の山容を拝むのは難しそうです。
自然園を一周する5.5㎞のコースは、所用時間3時間半。10時頃から歩き始め、二人共初めてなのでゆっくりと焦らずに4時間を予想。公式ホームページに注意があり、事前に購入した熊除けの鈴もリュックに付けて歩きます。ビジターセンターには、熊の剥製の横に、園内での目撃情報も記載されていました(園内では、5人に一人くらい鈴を装着されていたように思います。注意書きは、特に単独行での装着を勧めていました。現地でも購入可能)。
最初のミズバショウ湿原からワタスゲ湿原へと、整備された木道を進みます。山容は望めませんが、草紅葉を含め、ナナカマドやダケカンバなどの紅葉が見頃を迎えつつあり、赤と黄の対比が色鮮やかです。これに空の青が加われば尚一層・・・と、少々残念。途中、ハナウドの白い花や、オヤマリンドウの青紫の花が夏の名残に咲いていました。
楠川を超えるとアップダウンが始まり、浮島湿原から銀名水を通って展望湿原へ。こちらでは、ベランダの様な木の広場で皆さん休憩中。晴れていれば、目の前に白馬大雪渓を正面に白馬三山が雄大に聳えているのが望める絶好のビューポイントとか。残念ながら、この日は終始ガスの中。
その後、結構急なアップダウンがあり、園内最高地点の展望台へ。ここで、朝家内が作ったおにぎりで昼食。山で食べるオニギリは最高です。日本人で良かったなぁ・・・。
「あれっ、オカズは・・・?」
「重くなると悪いと思って、何も持ってこなかった。オニギリだけー!」
・・・素晴らしい景色がオカズです。
展望台からは、ヤセ尾根の急な坂を足元に気を付けて一歩一歩下ります。登山道脇の真っ赤な紅葉はサラサドウダン。途中、さっとガスが晴れて少し遠くまでの視界が開け、見事に広がった錦の絨毯に慌てて写真撮影。坂を下り、モウセン池を過ぎて浮島湿原へ戻ります。一時ガスが晴れて、後ろの白馬連峰は見えませんでしたが、手前の天狗原(2200m)と白馬乗鞍岳(2437m)から小蓮華山(2766m。新潟県境に位置し、新潟県の最高峰)への山肌が少し姿を現してくれました(高山らしい山容に感激!)。
途中、写真を撮り、紅葉を愛で、展望湿原で一休みして、展望台で昼食。まだ結構な人出で、途中狭い場所ではお互い待機して譲り合ったりと、随分ゆっくりと歩いたつもりでしたが、一周終わってみると3時間でした。山が見えなかったせいかもしれませんが、標準3時間半のコース設定ですので、景色を楽しみ高山植物を愛でながら、もっとゆっくり歩いても良いのかもしれません。また、ビジターセンター内には、山や植物の説明資料が展示されていますので、事前に見学してから出発した方がより興味深いかもしれません。
今回に備え、奥さまはちゃんとトレッキングシューズを購入(本格的な登山ではないので、柔らか目を勧められた由)。私メは、結構古いReebokのウォーキングシューズがあるので、あまり使っていなかったこともあり、お互い毎朝ウォーキングの練習で足慣らしもしての本番。
週末前に雨模様だったこともあって、園内は結構ぬかるんでいて、木道の無い所、特に下り坂で木の根が剥き出しになっている登山道では、何度も濡れた木の根に靴が滑りました。家内は全く滑らなかったので、やはりここはちゃんとトレッキングシューズを買った方が良いと反省。
また、掲載した写真(スマホ内には圧縮保存)を含め、今回のトレッキングには首から提げると歩行の(特に坂道では)邪魔なので、一眼レフではなく“レンズカメラ”QX-10を使用。スマホに装着したままジャンバーのポケットにすっぽり入るので、携行には便利です。山の中でのWi-Fi接続に不安もあったので、途中から常時接続し、ビジターセンターへ戻った所で、ちょうど充電切れ。フル充電での連続使用3時間弱でしょうか(往路はガスの中で撮れなかったので、冒頭のゴンドラリフトは帰路にスマホでの撮影です)。
今回は、残念ながら白馬連峰を望むことは出来ませんでしたが、真っ赤なナナカマドや黄色いダケカンバなどの見事な紅葉を楽しむことが出来ました。山は逃げないので(特にリタイアしたら、いつでも天気の良い日を選べるので)、また紅葉を愛でに来ようと誓い合って、栂池を後にしました。
「あぁ、疲れた。じゃ、松本まで寝て行くからネー!」
「へーい、こっちはしっかり安全運転して行きます故・・・」
もっと朝早く出発して、帰路日帰り温泉で疲れを取ってから帰るのも一興だと、温泉の横を走りながら反省した次第・・・(ゴンドラリフト横の「栂の湯」始め、木崎湖までの国道148号線沿いに幾つも温泉施設がありました)。
それに、信州なら、他にもたくさん良いコースがありますし・・・。
これまで県外のお客様を観光がてら案内したりして、何度か訪れた木曽路の名店「時香忘」(今回掲載の写真は、以前訪問時のモノを流用)。
これまで、オヤマボクチ(注)の蕎麦ばかりだったのですが、こちらには“夜明けそば”と名付けられた、一日10食限定という“変わり蕎麦”があります。
中京方面を中心に、県外からのお客さんが常に順番待ちをしている行列店ですし、その限定数故今まで一度も食べたことはありませんでした。しかも、連休などの繁忙期は提供無しだそうですので、謂わば本当の“幻の蕎麦”でしょうか(因みに、入口の看板にも「幻の蕎麦」とありますが、これは、県内では飯山の富倉地区に伝わる、オヤマボクチの葉脈をツナギに使う珍しいオヤマボクチ蕎麦を称して)。
「ん?これなら、もしかすると10食以内に入るかも・・・」
と、話のタネに雨の中を木曽福島まで行ってみることにしました。
松本からは車でほぼ1時間半。開店の10分前に到着すると、20台位停められそうな広い駐車場に車は一台も無く、「えっ、定休日!?」
入口の案内板にはそうした掲示が無かったので、暫し車の中で待っていると時間通りに開店し、「ヤレヤレ」。
いつもの順番待ちがウソの様に、お客さんは我々のみ。何度も来ていますが、初めての経験です。誰も居ない静かな店内は、余計フレンチの様な佇まいに感じます。木曽川に注ぐ、清流黒川沿いの木立を望むベランダ側の席へ。里山の紅葉にはまだ早いのですが、しっとりと濡れたホウノキが目に鮮やかで、雨の木曽路も風情があります。
ところが、この日は“夜明けそば”の提供は無しとのことで、ガッカリ・・・。
結局、いつものオヤマボクチの粗挽き(当然大盛り)にしました(季節的に、新蕎麦は未だですので、寒晒しです)。
最後に供される特製のドロドロのそば湯(これだけで十分に一品になります)も含めて、今回も美味しくいただきました。
この日はお客さんが少ないので(途中、県外のお客さんが一組来店)、会計の時に珍しくご主人も挨拶に出て来られ、暫し歓談。
何でも、双方十割の黒い田舎と白い更科を二枚重ねて薄く伸ばす“夜明けそば”は、作るのがとても大変で、3回に一度位しか満足いく蕎麦が打てず、その時は店には出さずに捨ててしまうのだそうです。
二つの性質の違う蕎麦を合せるのは、温度や湿度などその日の気候によっても異なり、どちらかに合せると、延ばした時に一方が破れてしまうのだとか。
「本当に大変なんです」と仰る言葉に実感がこもってらっしゃいました。
夏からシルバーウィークまではお客さまで大変だったので、「体力と気力が戻ったらまた打ちますが・・・」とのこと。
元々、「繁忙期には提供出来ません」とメニューにも記載されています。考えてみれば、平日とは言え、未だ繁忙期だったか・・・。
これから新蕎麦の季節を迎えれば、また混雑していつもの行列店に戻ることでしょう。
いつ頃とも仰らなかったので、ここは気長に、そして運良く食べられる日が来ることを楽しみに待つしかなさそうです。
【注記】
オヤマボクチ(雄山火口) はキク科のヤマボクチ属の多年草。アザミ類であるが、山菜として根が“ヤマゴボウ”と称される。
語源は、茸毛(葉の裏に生える繊維)が火起こし時の火口(ほくち)として用いられたことから(以上Wikipediaより抜粋)