カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
最近では、日本でも“シンガポール料理”の定番として知られてきたチキンライス。元々は中国海南島からの移民者が広めたと云われる、東南アジアのローカルフードで、私たちが駐在していた時は、現地では英語で“Hainanese Chicken Rice ”と呼ばれていたように思います(中国語だと、ハイナン・チーファン)。
今では、東京でもシンガポール・チキンライスとして、食べられる“シンガポール料理”店が結構増えましたので、ローカルフードが無性に食べたくなった駐在経験者や家族にとっては有難いことです(似たような料理は家庭でも作れますので、実際懐かしくて作ってみましたが、特殊なブラックソースだけは信州では調達出来ませんでした)。
昨年は“新盆”の法要もあって、無理して休んで帰省してもらいましたが、今年は(本来は)仕事の都合でお盆に帰って来られない娘たちの所へ、信州の食材(スイカ、メロン、ハーブと、いただいた茶豆)をお届けに、泊り掛けで(故郷への帰省客と逆コース故)車で上京。
その際、久し振りに懐かしいシンガポールのローカルフードを食べることにしました。
これまでに行った“シンガポール料理”店は、初めてチキンライスを“発見”した、その名も「海南鶏飯食堂」(水道橋本店、汐留、恵比須店)と、娘が連れて行ってくれた品川の高級店「シンガポール・リパブリック」。ここでは、現地から生きたまま空輸され、本場のチリ・クラブやブラックペッパー・クラブが食べられます。ただ、少し物足りないのは、どの“シンガポール料理”店で食べても、グリーンチリ(輪切りにした青唐の酢漬け)が出て来ないこと・・・です(注1)。
さて今回は、ランチならチキンライスだけで良いのですが、ディナータイムだったので、奥さまが事前に色々調べた結果、幾つかは既に予約が一杯で、結局恵比須の「新東記」(シントンキー)という初めてのレストランになりました。本当は、田町に新しくオープンしたという「威南記」(ウィーナムキー)という店が、今シンガポールでチキンライスでは一番人気店だというので、そちらに行こうと思ったのですが、予約一杯で取れませんでした(注2)。娘もそちらを楽しみにしていたようですが、次回の楽しみにとっておきます。
但し、「新東記」も、ネットで見る限りシンガポーリアン女性の方が経営する店のようですし、メニューもチキンライスだけではなく、ホッケンミー(福建麺。福建風焼きそば)やチリカンコン(空芯菜のチリソース炒め)、チャークイティアオ(炒粿條。きしめんの様な米粉麺を甘辛く炒めたもの。クイティアオ粿條と呼ぶのは元々潮州とのこと)。また、個人的には余り好みでは無い、バクテー(肉骨茶。福建が元の骨付き肉の薬膳スープ)やラクサ(ニョニャ料理。ココナツミルクを効かせた、謂わば“マレー風カレーうどん”。但し麺は米粉)など、所謂懐かしいシンガポールのB級グルメ的ローカルフードが結構メニューに豊富に載っていて、期待が持てそうです。
先ず、パクチーサラダ、大根餅、揚げ春巻き、ホッケンミーを注文。そして〆にチキンライス。私は、懐かしいタイガービール(瓶)。こちらは、昔からのオールモルトビールです。因みに、メニューにあるマーライオンビールは、マグカップがマーライオンのマーク入りのピューターを使っているだけで、中身はサッポロの由。各テーブルには、懐かしの海老煎が置かれています。
プリプリの海老が入った揚げ春巻き。甘めのチリソースを付けてシンガポール風に・・・美味。飲茶でお馴染みの大根餅(ラディッシュ・ケーキ)も現地の味(オキアミか干しエビが入った味噌状のペーストが添えられています)で、これまた懐かしい・・・。但し、ホッケンミーの味付けは薄味で美味しかったのですが、現地で良く食べたホッケンミーとはちょっと違いました。多少炒めた汁が残りましたが、現地ではもっとドライ(焼きそば風)だったように思います。
仕上げのチキンライス。しっかりと、ブラックソイソース、チリソース、ジンジャーソースと3種類。タイ米も美味しいし、刻んだシャンツァイが浮かんだスープも、薄味でしたが美味。でも、器を含めて日本人向けにアレンジされているのか、ちょっとオシャレ過ぎ・・・。家内と娘はこちらの方が好みだそうですが、私メは水道橋の「海南鶏飯食堂」の方が(器もチャターボックスの払い下げと言われていましたし)現地に近いように感じました。
(食べ掛け途中の写真で恐縮です)
帰りに、奥さまは(信州では買えない)チキンライス用の瓶入りブラックソイソースが売っていたからと、レジで買って来られたとか。
これで、家でも、より現地に近いチキンライスが楽しめるかも・・・。
【注記1】
但し、シンガポールで食べて気に入った出張者が、瓶詰のグリーンチリを良く買って持ち帰りましたが、日本で食べても、現地で食べた時の様な感激が無かった(美味しく感じなかった)とのこと。同様に、シンガポールで気に入って持ち帰った香港駐在のメンバーも同じことを言っていましたので、味の違いではなく、多分気候的に合わないのかもしれません。
【注記2】
例えば、S&Bが提携し、日本のスーパーでもオイスターソースやチリソースが買える、「李錦記」という中華調味料の香港の老舗ブランド。
「記」というのは、中国語では記号のことだそうですが、「○○記」と使われる場合は、商標やブランドを表しています。謂わば、日本で云う「○○屋」と一緒です。