カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 妹から薦められたからと、週末に「八ヶ岳倶楽部」へ行きたいとの仰せ。ついでに、「八ヶ岳リゾートアウトレット」にも寄って来たいとのこと。
ならば私メは、スーパーへの買い出しや図書館に行く時くらいしか乗っていないので、ハスラーで行っても良ければという条件で交渉成立。久し振りにナナも連れて、ロング(ミドル?)ドライブです。
 

 「八ヶ岳倶楽部」は、俳優の柳生博さん一家が大泉(山梨県北杜市)の八ヶ岳山麓に移住されて営まれているレストラン&ギャラリーとか。ケーキとフルーツティーが美味しいと、妹から薦められたようです。確かE‐テレだったか、園芸番組にも講師役で出演されていた、ご長男の慎吾さんが今年急逝された筈。
また、「八ヶ岳リゾートアウトレット」は小淵沢(同北杜市)に在り、15年近く前に行ったことがありますが、当時余りに貧弱(曖昧な記憶ですが、建物2棟とお蕎麦屋さんがあった程度)でガッカリして、以来一度も行ったことはありません(遠くても専ら軽井沢)でした。

 ハスラーではエコ運転を厳命され(奥さまが茅野の実家に行く時は、ずっとグリーンのエコモードで運転とか)、松本ICからの本線合流時にスピードを上げようとした(ブルーモード)だけで、お叱りの声!
塩尻峠などでの頻繁な青いランプの表示に、「おかしいなぁ・・・。私の時はずっとグリーンなのに」と助手席でブツブツと・・・。
 「イヤ、だって今日は二人と一匹乗車だし・・・」
 「そっかー。そりゃ、いつもより随分重いワ・・・」
(ナナが最近また太り気味で・・・?)
長野道は安曇野~塩尻間は100㎞制限、それ以外は中央道も全線80㎞です。叱られぬように、常に80~90㎞で走行。抜かれることはあっても、抜くことなど皆無の安全(エコ?)運転。(睨まれる故)高速道では一切Sモードも使わず(エンジンブレーキを効かせた山道の下り坂のみ使用)とも、走行性能に(軽としては)特段不満は感じませんでした(100㎞走行も十分に可能)が、ボクシースタイルでピラーが立っているためか、エンジン音よりもむしろ風切音の大きさに最初些か驚きました。
 長坂ICで降りて、大泉にある八ヶ岳倶楽部へは10分程度。到着まで結構な登り坂(そのまま行くと清里高原へ至る)でしたが、松本からは1時間ちょっとで到着。広い駐車場は首都圏ナンバーの車でほぼ満車。イヤハヤ、大したものです。
パンフレットに拠れば、こちらに移住されてきた柳生博さん一家が、赤松林だった荒れた土地を、84年から自分たちの手でコツコツと赤松を伐採して広葉樹(その数1万本!)を植えて育てた、謂わば手作りの雑木林なのだとか。その丹精込めて手入れをした林を皆さんにも見てもらいたいと、89年に店をオープンされたのだそうです。既に30年経った雑木林は自然の雰囲気で、林の中には枕木を敷いた散策路が設けられていて、木漏れ日の中に山野草が咲いていました。都会から来ると癒されるでしょうね。
レストランは、玄関側のテラス席はワンコ同伴可能。ナナもオヤツをもらってご休憩。ランチに、奥さまはホットサンド、別腹用のパウンドケーキとハーブティーをご注文。私は二種類の「本日のパスタ」(もう一種はアラビアータ)からボロネーゼ(+ノンアルコールビール!)を選択。食事は、量も少なめで味も普通です(このパスタなら、もっと美味しいイタリアンが松本にもあります)。全体にメニューの選択肢は少な目(他にはカレーとハヤシライス)。奥さまは、パウンドケーキに添えられた自家製のルバーブジャムがとても美味しかったとか。
こちらは、味よりも(都会の喧騒を離れて)雰囲気を楽しむ場所なのでしょうね。スタッフの方のお話では、林を見ながらのテラス席での朝食がお薦めとか(そちらのテラスも、朝食時はワンコOKだそうです)。
食後、奥さまがショップを見るというので、こちらはナナと林の中を散歩してみました。中庭のギャラリーでは地元の陶芸家が作品を展示中。木漏れ日の中を縫う様に敷き詰められた枕木の散策路で、(小型犬の)ナナは(所々枕木の間に隙間が空いていたりして)足を取られて歩きにくそうだったので、途中で切り上げ。夏の緑も涼しげですが、秋の紅葉もきっと素敵でしょうね。
戻ると、気に入ったというルバーブのジャム(そんなに気に入ったなら、リタイア後にルバーブも育ててみようかな。確かシベリア原産のハーブなので、寒冷地向きの筈)をショップで購入された奥さまが、店内にオーナーの柳生博さんが接客しておられて、ジャムのことをお聞きして、ご本人とお話が出来たと感激されていました(そりゃ、何より)。ご長男が急逝され、店には出られなくなったと聞いていましたが、少しずつ気力を取り戻されつつあるのでしょうか。
カモミール主体のハーブティーも美味しかったので、こちらの「八ヶ岳倶楽部」は食事よりも、ティータイムの方がお薦めのような気が(個人的には)します。スタッフの方々も礼儀正しく、皆さん感じが良くて好印象でした。
 旧大泉村の八ヶ岳倶楽部から旧小淵沢町にあるアウトレットまでは、木々に囲まれた八ヶ岳高原ラインを走り、20分程度で到着。都会から来ると清々しい高原のドライブですが、峠越え通勤の私メは、毎日走る峠道(新和田峠に雰囲気が似ていました)の様で、特に感慨は無し。

 アウトレットは、十数年前に比べて駐車場も建物も増えて随分広くなった気がします。案内に拠れば70店舗とか。軽井沢とは比べるべくもありませんが、以前に比べれば雲泥の差。団体客(大型バス)含めお客さんで混んでいました。
こちらは山麓に建てられているので、アップダウンが多く。車椅子やベビーカーでは大変そうです。無料のドッグランもあるせいか、密度的には軽井沢よりも犬連れ客が多いように感じられました。軽井沢同様に、こちらも犬を抱けば入店できるショップが多いのですが、あまり興味が無いので、木陰のある芝生や通路の椅子で、ナナと一緒に待機です。時折、(買い物に飽きた?)小さな子がナナと遊んでくれました。
ショップは、若い人向けの有名ブランドは少ないようですが、八ヶ岳に近いせいか、アウトドア(ColumbiaやAIGLEなど)用品の店も多く、また食事スペースも(蕎麦や山梨名物のほうとう、ラーメン、八ヶ岳産ビーフのハンバーガーショップ、同じく高原野菜のイタリアンなど)以前に比べ格段に増えていました。こちらの方が、庶民的で選択肢は多いように思います(個人的には、ハンバーガーかほうとうで十分満足です)。

 新宿駅高速バスターミナルに近い回転寿司「沼津港」(現在、9月頃まで改装のため閉店中:注記)同様に、上京した折に時々立ち寄るのが、こちらも新宿駅地下街にある「バンコク屋台カオサン」というタイ料理店。
南口にあるルミネの地下2階にあり、割と短時間で食べられるので、時間が余り無い時など何かと便利です。何年か前に、娘たちが連れて行ってくれました。
彼女たちは、3歳と0歳でシンガポールに帯同して6年間暮らしたので、東南アジアが皮膚感覚で残っているようです。長女が、以前シンガポールに長期出張した時に、10数年振りの長期滞在だったのですが、チャンギに付いた途端空気が何故か懐かしく感じたのだとか。彼女たちにとっては、生まれ故郷みたいなものなのでしょう。
そのため、先述の“シンガポール料理”は勿論、タイやベトナム料理など、東南アジアフードは皆大好き。高級店から庶民風まで、今では日本のあちこちに(松本にも5軒ほど)あるタイ料理は、とりわけ馴染みが深いようです。
シンガポールで良く行ったのは「コカ・レストラン」という、タイスキ(タイ式しゃぶしゃぶ)の店。それと、ベトナム料理の「サイゴン」。野菜豊富でヘルシーで中華の様に脂っこくなく、どちらも日本人向きで、またインド料理の様に辛くも無かったので、子供たちも大好きでしたが、今でもあるのでしょうか。
 さて、この「カオサン」は「ティーヌン」というタイ料理チェーンの系列店とかで、店の作りも現地の屋台風でリーズナブルに食べられる店なのだとか。常に行列待ちなので、5~6人掛けの丸テーブルに相席が当たり前。そのため女性一人でも気楽に食べられるのでしょう、殆どが女性客です。
こちらでは、好きな麺類と生春巻きにデザートも付くセットメニューがお得。以前トムヤムヌードルを頼んだら、娘から「カオサンヌードル」の方が、現地のトムヤムクンに近いからお薦めとのこと。実際両方食べましたが、確かにトムヤムヌードルは透き通ったスープで、レモングラスの効いた味はともかく、あの赤いトムヤムクンのスープのような辛さが無く、カオサンヌードルの方が赤いスープで、酸味も含め、むしろ現地のトムヤムクンに近い味でした。以来、カオサンヌードルで決まり。麺も中華麺と現地風の太さの異なる3種類のビーフンが選べます。奥さまは、今回パッタイ(甘辛いタイ風焼きそば)をご注文。
他にも、ガパオライスや、カオ・マン・ガイ(タイ風チキンライス)、また懐かしい東南アジア風のぶっかけ飯(品名不明)もあるようなので、次回は麺類以外も試してみようと思います。
果たして現地にもトムヤムクンベースの麺類があったかどうか定かではありませんが、仮に創作にせよ、気軽に“タイ風”の味が楽しめるのは有難い。
調理も含め、タイ人のスタッフで切り盛りされているので、“バンコク屋台”という名前の通り、高級感はありませんが、気楽に現地のフードコートで食べているような感じで気に入っています。
【注記】
先日、娘の所から戻った奥さまからの最新情報に拠れば、西口店は改装ではなく、店舗老朽化に伴う閉店だったそうで、新店舗は新宿南口方面へ移転し、9月末に開店とのこと。
旧店舗は高速バスターミナルに近く、バス利用者には凄く便利だったのですが、残念ながら今度はちょっと遠くなりますね(バスに乗り遅れないようにしないと・・・)。

 娘たちに会いに行った東京からの帰り。下の娘が羽田空港へ出勤した後、上の娘から急に一緒に帰るとのメール(が奥さまへ)。忙しくて、その日も出勤していて、仕事が終わってから帰るとのこと。元々今回は(仕事が忙しくて)帰省出来ないとのことだったので、婿殿は既にお友達との約束があり、娘だけが帰るとのこと。何でも、「リフレッシュしなきゃ、やってられねぇ・・・」(彼女の気持ちを代弁すれば、きっとこんな感じでしょうか・・・?)

 結局、夜の9時半過ぎ(それまで、我々はすることもなく、久し振りに夫婦二人で新宿の映画館へ。「ジュラシック・ワールド」はお互い見る気はなく、「日本の一番長い日」は奥さまの賛同が得られず、「ミッション・インポッシブル5/ローグ・ネイション」へ。ほぼ満席。予告編にも使われた冒頭の飛行機シーンもスタント無しとか・・・凄い!個人的には、「トゥーランドット」上演中のウィーンの歌劇場の舞台裏が見られて嬉しかったナ)に合流し、下の娘の住む糀谷から車で松本へ。中央環状線が開通し、羽田~新宿間は確かに便利になりましたが、途中2か所で休憩し、松本へは日付が変わった12時半の到着となりました。

 翌日、娘からの(出来れば・・・という前提付きで)「諏訪湖の花火が見たい!」との急な(≒無謀な)リクエストに、(彼女の)「ストレス発散になるなら・・・」と、久し振り(7年振り?)に見に行くことにしました。
前回は事前に見る場所もしっかりと予約しての花火見物でしたが、前回上から見下ろす湖畔端の道路が意外と混んでいなかった記憶もあり、当日になってから席が取れる訳も無いので、今回は歩きながら見れば良い(疲れたら、途中で帰って来ればイイ)という前提で出掛けました。

 正確には、「諏訪湖祭湖上花火大会」。
当日は、松本方面からも何本も臨時列車が運行されますが、特に帰りは東京並みのラッシュになるので、事前に座席予約して往復特急利用。且つ、松本駅で事前に往復分を発券してから向かいました。
上諏訪には6時頃の到着。デパートビルも取り壊され、今や閑古鳥が鳴く駅前も、この日ばかりは駅前から湖畔端まで人の波が続きます。主催者側の発表で、人口5万の街に50万人という人出とか。
 両側に露店がズラリと軒を連ねる湖畔端の道路は、地元の警察や消防など係員の誘導に従って、立ち止まらぬ様に皆歩いています。事前抽選となる湖岸の観覧席はその内側。一昨年はゲリラ豪雨で中止になりましたが、今年は雨は大丈夫そうです。暫く三人で歩いていると、湖畔端のホテルの玄関前の駐車場に椅子席が設けられていて、「4千円」の張り紙が・・・。念のため聞いてみると、端で良ければまだ当日券があるとのことで、早速購入。メインは、団体ツアー(お馴染みのクラブツーリズムや、京王観光の張り紙がされていました)や眺めの悪い湖畔の旅館客用にまとめて確保された席のようですが、末席とは言え、椅子席に座って見られることになりました(因みに、同ホテルの宿泊客は、この日の特別料金で部屋からの“高見の”見物。椅子席客はホテルの建物内には入れず、例えばトイレは駐車場の隅に仮設トイレが用意)。でも当日、しかも直前でしたので、思いがけずでラッキーの一言。
(トイレ休憩中、近くにおられた休憩中のホテルスタッフの方にお聞きしたところ、平然と仰るには・・・5~10名ほど入る和室=最大10畳とかで、この8月15日だけは、二食付きで一泊35万~45万円とのこと。いつもは閑古鳥が鳴く上諏訪温泉ですが、この日ばかりは予約で満杯の搔き入れ時故、どうぞ大目に見てくださいますよう。しかも、皆さんこぞって来年の予約をしていかれるという・・・確かに一見の価値あり・・・かも)
 7時に市長のカウントダウンにより打ち上げ開始。今年は4万発という、二時間に亘る“光と音の饗宴”です。例年TVでも生中継がありますが、どんな大画面でも、音だけは“生音”には適いません。
この日の上空は、湖上から湖畔方面への風もあり、煙も上手く流れて行きます(途中、風向きにより、花火の燃えカスや煙が舞って来る時もありましたが)。
中でも圧巻は、前回(と言っても7年程前)は無かった“宇宙戦艦ヤマト”。確かに“波動砲”張りの音と爆風の物凄さ。空気が震える程の、この音の迫力は凄い!驚いたことに、まるでクラクションで囃し立てるかの様に、駐車場奥に停車していた車の盗難防止用のイモビライザーが一斉に鳴り出した程です。これは諏訪の花火のもう一つの目玉になり得ます。
その後、諏訪湖上花火大会の一番の目玉である、水上スターマインの“キスオブファイアー” (両側から、湖面上でスターマインを点火させて、半球状の花火を咲かせながら近付き、やがて一つに重なり合って中心で炸裂)の時も地響きのような音に空気も震え、一斉に鳴り始めたクラクションの喝采も全く同様でした。国内最大規模の光と音のショーに酔いしれた二時間でした。
 前回同様、大会フィナーレの2㎞に及ぶというナイアガラは見るのを諦めて早めに駅へ向かいましたが、駅到着前から既に入場制限でストップ。この日だけは、仮設の西口改札が設けられ(上下線の改札を分けて)、10分間隔で臨時列車を走らせます。
上諏訪駅前は、メインだったデパートもショッピングビルも閉鎖された今、多少商店街の抵抗はあっても、観光客向けには東口には何も無くなった(酒蔵くらい)現在、西口を整備して、上諏訪駅の正面玄関にした方が良いように思います。諏訪の街は、諏訪湖と共に生きるしかないでしょうから。仮設の西口で、ホームへの入場を待ちながらそんなことを考えざるを得ませんでした(娘から、仮設の西口から入った線路から見る風景は、普通はあり得ないアングルと指摘され、ナルホドと撮影してみました)。
先に鮨詰め状態(但し、首都圏のラッシュよりマシに見えます)の普通列車を3本見送り、予定通り新宿からのあずさに乗って松本へ無事到着。
家に戻り、髪の毛や服も含め、花火の火薬の匂い・・・。凄いなぁ、早速シャワーを浴びましたが、妙な所に感心した次第。しかも、チケットは娘が「今年は忙しくて何も出来なかったから、二人の誕生日のお祝いに」と払ってくれました。恐縮ながら、オカタジケ・・・。

 急に思い立ったとはいえ、久し振りの諏訪湖の花火はヤッパリ凄い!幸運も手伝い、お陰で大いに満喫することが出来ました。
「今度は事前にちゃんと準備して、皆でまた見に行こうネ!」
【追記】
松本駅には、既に新聞で報道された新型スーパーあずさの試験車両「E353系」(在来線特急車両としては初めて空気バネ式を採用とか)が停車していました。デザイン的にはNEX(E259系)に似た車体で、ブルーのラインが鮮やかでした。今からデビューが楽しみです(速度は変わらず、快適性向上)。
また、往路の臨時特急は、往年の旧国鉄時代からの特急電車(多分189系)車両が使われ(今でも篠ノ井線の通勤快速として使われている筈)、松本駅のホームから始まり、見通しの良い沿線等で、たくさんの“鉄オタ”の人たちが撮影していました。

 最近では、日本でも“シンガポール料理”の定番として知られてきたチキンライス。元々は中国海南島からの移民者が広めたと云われる、東南アジアのローカルフードで、私たちが駐在していた時は、現地では英語で“Hainanese Chicken Rice ”と呼ばれていたように思います(中国語だと、ハイナン・チーファン)。
今では、東京でもシンガポール・チキンライスとして、食べられる“シンガポール料理”店が結構増えましたので、ローカルフードが無性に食べたくなった駐在経験者や家族にとっては有難いことです(似たような料理は家庭でも作れますので、実際懐かしくて作ってみましたが、特殊なブラックソースだけは信州では調達出来ませんでした)。

 昨年は“新盆”の法要もあって、無理して休んで帰省してもらいましたが、今年は(本来は)仕事の都合でお盆に帰って来られない娘たちの所へ、信州の食材(スイカ、メロン、ハーブと、いただいた茶豆)をお届けに、泊り掛けで(故郷への帰省客と逆コース故)車で上京。
その際、久し振りに懐かしいシンガポールのローカルフードを食べることにしました。

 これまでに行った“シンガポール料理”店は、初めてチキンライスを“発見”した、その名も「海南鶏飯食堂」(水道橋本店、汐留、恵比須店)と、娘が連れて行ってくれた品川の高級店「シンガポール・リパブリック」。ここでは、現地から生きたまま空輸され、本場のチリ・クラブやブラックペッパー・クラブが食べられます。ただ、少し物足りないのは、どの“シンガポール料理”店で食べても、グリーンチリ(輪切りにした青唐の酢漬け)が出て来ないこと・・・です(注1)。
さて今回は、ランチならチキンライスだけで良いのですが、ディナータイムだったので、奥さまが事前に色々調べた結果、幾つかは既に予約が一杯で、結局恵比須の「新東記」(シントンキー)という初めてのレストランになりました。本当は、田町に新しくオープンしたという「威南記」(ウィーナムキー)という店が、今シンガポールでチキンライスでは一番人気店だというので、そちらに行こうと思ったのですが、予約一杯で取れませんでした(注2)。娘もそちらを楽しみにしていたようですが、次回の楽しみにとっておきます。
但し、「新東記」も、ネットで見る限りシンガポーリアン女性の方が経営する店のようですし、メニューもチキンライスだけではなく、ホッケンミー(福建麺。福建風焼きそば)やチリカンコン(空芯菜のチリソース炒め)、チャークイティアオ(炒粿條。きしめんの様な米粉麺を甘辛く炒めたもの。クイティアオ粿條と呼ぶのは元々潮州とのこと)。また、個人的には余り好みでは無い、バクテー(肉骨茶。福建が元の骨付き肉の薬膳スープ)やラクサ(ニョニャ料理。ココナツミルクを効かせた、謂わば“マレー風カレーうどん”。但し麺は米粉)など、所謂懐かしいシンガポールのB級グルメ的ローカルフードが結構メニューに豊富に載っていて、期待が持てそうです。

 夕刻、恵比寿駅西口から線路沿いに坂を上った、小さなビルの2階にその店はありました。カウンター席も含め20人以上は座れそうな店内で、結構混んでいました。“シンガポール料理”も、東京で市民権を得ているようです。
先ず、パクチーサラダ、大根餅、揚げ春巻き、ホッケンミーを注文。そして〆にチキンライス。私は、懐かしいタイガービール(瓶)。こちらは、昔からのオールモルトビールです。因みに、メニューにあるマーライオンビールは、マグカップがマーライオンのマーク入りのピューターを使っているだけで、中身はサッポロの由。各テーブルには、懐かしの海老煎が置かれています。
プリプリの海老が入った揚げ春巻き。甘めのチリソースを付けてシンガポール風に・・・美味。飲茶でお馴染みの大根餅(ラディッシュ・ケーキ)も現地の味(オキアミか干しエビが入った味噌状のペーストが添えられています)で、これまた懐かしい・・・。但し、ホッケンミーの味付けは薄味で美味しかったのですが、現地で良く食べたホッケンミーとはちょっと違いました。多少炒めた汁が残りましたが、現地ではもっとドライ(焼きそば風)だったように思います。
仕上げのチキンライス。しっかりと、ブラックソイソース、チリソース、ジンジャーソースと3種類。タイ米も美味しいし、刻んだシャンツァイが浮かんだスープも、薄味でしたが美味。でも、器を含めて日本人向けにアレンジされているのか、ちょっとオシャレ過ぎ・・・。家内と娘はこちらの方が好みだそうですが、私メは水道橋の「海南鶏飯食堂」の方が(器もチャターボックスの払い下げと言われていましたし)現地に近いように感じました。
(食べ掛け途中の写真で恐縮です)

 帰りに、奥さまは(信州では買えない)チキンライス用の瓶入りブラックソイソースが売っていたからと、レジで買って来られたとか。
これで、家でも、より現地に近いチキンライスが楽しめるかも・・・。
【注記1】
但し、シンガポールで食べて気に入った出張者が、瓶詰のグリーンチリを良く買って持ち帰りましたが、日本で食べても、現地で食べた時の様な感激が無かった(美味しく感じなかった)とのこと。同様に、シンガポールで気に入って持ち帰った香港駐在のメンバーも同じことを言っていましたので、味の違いではなく、多分気候的に合わないのかもしれません。
【注記2】
例えば、S&Bが提携し、日本のスーパーでもオイスターソースやチリソースが買える、「李錦記」という中華調味料の香港の老舗ブランド。
「記」というのは、中国語では記号のことだそうですが、「○○記」と使われる場合は、商標やブランドを表しています。謂わば、日本で云う「○○屋」と一緒です。

 上田方面からだと、鹿教湯温泉と三才山峠への分岐点(信号)に行く手前にある食堂「あすか」(松本方面からは、鹿教湯トンネルを抜け、信号を過ぎた右手)。駐車場も広く、国道254号線を走る大型トラックのドライバーの皆さん御用達の食事処です(第832話参照)。
以前は、夜も営業されていたのですが、ここ一年程は帰りに横を通っても明かりが消えていて夜の営業をされていないようで、切り盛りされていたご夫婦も結構お年でしたので心配していました。因みに、朝の出勤時は開店前ですが、日によって「準備中」とか「定休日」と札が変わっていたので、昼は営業しているらしいことは推測できました。

 先日昼頃からの外出だったので、もし営業されていたら、久し振りに「あすか」でランチを食べて行くことにしました。
出るのが遅れ、午後2時を過ぎていましたが、幸い営業中の看板。大型トラックが食事を終えられてか、2台駐車場から出て行くところでした。店内に入ると、時間が時間だけにお客さんは私だけ。厨房のオジサンだけではなく、オバサンも店におられて一安心。
早速(残暑に負けずに)ラーメン(600円)を注文。いつものように、ランチタイムには、ご飯(小ライス)と小鉢(この日はピーマンの炒め煮)、自家製の漬物(キュウリの浅漬け)が一緒にお盆に載って。これで600円は本当に安くて良心的だと思います。ご飯だって、メニューには「小」とありますが、普通盛りですし、手作りの小鉢や漬物は日替わりのようです。カウンターには、ちゃんとGABANのブラックペッパーが置かれているのも、(飽くまで)個人的には好印象。
この日のラーメン。鶏ガラと煮干しに野菜を煮込んだ(であろう)甘目のスープ。麺は中太麺(やや平打ち)。トッピングは、厚めに切られたバラチャーシューが2枚、シナチク、茹でモヤシ、ナルトに刻みネギ。
こちらで食べるのが多分4回目。しかもほぼ一年振りくらいなので、舌の記憶が曖昧ですが、いつものラーメンではなく、一度食べた「幻の手打ち中華そば」に近いスープのような気がしました。というのも、甘目のスープの隠し味にショウガを感じましたので(第901話参照)。
麺はもっと固茹でが好み。でないと、最後は麺が伸びてしまいます。スープも(真夏でも)もっと熱くてイイ。作り置きの茹でモヤシが冷めているので、やはり最後はスープが冷めてしまいます。そして、この日の煮豚のチャーシューは以前と比べて少々塩気が“キツ過ぎ”でしたが(汗をかく夏は、塩分補給も重要ですし、ご飯には合いそうです)、厚くてとても柔らか。
・・・と、幾つか文句も並べましたが、全体にはコスパも良くて、昔ながらの“昭和の食堂のラーメン定食”に満足の一杯。
因みに、こちらは丼物や定食類も殆ど800円前後と、非常にリーズナブルです(なお、麺類には全て小ライスが付くそうです)。

 食べ終わって、吹き出る汗を拭きながら、お客さんが他に誰も居なかったのでお聞きすると、もう夜の営業はやっていないとのこと。
理由は尋ねませんでしたが、70歳を優に超えられたご夫婦ですので、お昼の営業だけで精一杯なのでしょう。上田方面と松本方面を結ぶ物流の大動脈として、大型トラックの行き交う国道254号線で、ここで食べるのを楽しみにしている常連さんも多いでしょう(プロのドライバーの皆さんが贔屓にする店は、“盛り良し、味良し、値段良し”で、着飾らずに普段着の良さで、雰囲気の良い店・・・でしょうか)から、「是非無理をせず、一日でも長く頑張ってください」と念じずにはいられませんでした。
「ご馳走さまでした!また、来まーす。」

 奥さまのお誕生日(何歳になられたかは、武士の情け・・・?)。
前回(?それとも結婚記念日だったか・・・?)は、プリザーブドフラワーのブルーローズ。今回は、簡単に切バラの花束にでもすれば、ドライフラワーにでも自分でするだろう(以前もそうされましたが、その後触ったりして花が折れ。数も減ったので)と想い、週末にいつもの園芸店へ。

 すると、鉢植えの花や観葉植物の鉢も並べられていて、花束をオーダーする前に、代わりに何か良いモノがあるかと眺めてみました。
色々あります。涼しげなアジアンタム。昔買って枯らしてしまいました。お馴染みのシュロ(竹)やユッカ、ドラセナなどなど・・・。
コーヒーもありました。花が咲くかお聞きすると、「焙煎が出来る程の収穫は無理です」とのこと(ま、そうでしょうけど、花も白くてキレイな筈です)。
結局、名前に惹かれて、これまたお馴染みの「幸福の木」にしました。
正確には「ドラセナ・マッサンゲアナ」。
ハワイでは、“幸福を呼ぶ木”として玄関に置いておく習慣があり、そのため日本でも「幸福の木」という名前で売られて人気が出たのだとか。
直射日光に当てぬように室内の明るい日陰に置き、冬の寒さ対策をすれば、かなり育てやすい観葉植物のようです(シンガポールでも買ったことがあったような・・・?)。

 「ま、幸せになろうよ、お互いに・・・」と願いを込めてプレゼント。

 “♪ あなとなら 生きてゆける 幸せになろうよ”・・・。

 暦の上では、今年は8月8日が立秋とか。
連日の猛暑の中では、ピンと来ないという気もしないではありませんが、暑さの中でも、季節は少しずつ且つ着実に動いているようです。

 正に立秋の8日。朝4時過ぎに起きてベランダに出てみると、まだ外は真っ暗。すると、今年初めて虫の鳴き声が聞こえて来ました。まさか二十四節気を察知したからではなく朝晩涼しくなってきたからでしょうが、その偶然に驚きつつも、何となく“秋の気配”が身近に感じられました。
(写真は、ナナとの散歩中、ご近所に咲いていた萩の花です)

 週末には、秋のコンサートのハーモニーメイト向けの先行発売があり、音文(ザ・ハーモニーホール)へ。10数番目の順番待ちだったので、ロビーを出て中庭で時間潰しです。すると、音文で良くお見掛けする初老のご婦人がおられて音楽談義。曰く、
「今年は、聴きたいコンサートがたくさんあって困ってしまいますね」とのこと。
「でも、このオールシベリウスが松本で聴けるなんて凄いですから、聞き逃す手はありません。」
「そうですね、今年の秋はコンサートが目白押しですね。」

 まだ外はうだる様な暑さですが、同じ数字でも表現は「暑中」から「残暑」に変わり、秋のシベリウスを想うと、何となく気分だけでも涼しくなったような気がしました。
ご婦人は、発売開始時刻前に来られたのでしょう。もうチケットを購入されたとかで、音文での他のコンサートについても暫し音楽談義の後、「お邪魔しましたね。では、ごきげんよう・・・」と、秋風の様に爽やかに去って行かれました。
【追記】
ブログ掲載が、今日でちょうど1000回となりました。後で検索や整理がし易いように、2008年の秋に始めた第1話からナンバリングをしてきましたが、
平均で毎日400くらいのアクセスをいただいており、今年だと(1年間しか統計が見れません)月12000から多い月は17000件ものアクセスをいただいた月もありました。
皆さまのご愛読に謹んで御礼申し上げます。ネタ探しに困る(疲れる)こともないではありませんが、これを励みに、またあまり気張らずに、出来るだけ続けて行こうと思います。
立秋を過ぎ、ふとした所に秋の気配が感じられるようになったとはいえ、まだまだお彼岸過ぎまでは暑い日が続くと思われます。
どうぞ皆さまご自愛くださいますよう、残暑お見舞い申し上げます。

 先日の日経新聞に載っていた通販広告(日経社通販歳時記)を見て驚きました。
それは、“ずっと使える自分好みのサインを手に入れる”と題して「Myサイン作成キット」なるものの広告でした。値段は19,440円(税抜18000円)とのこと。例示として、「木村太郎」という名前のサインが6種類掲載されていました。専門の(サイン)デザイナーが作成した、英字、漢字の2種類で、それぞれ実用・速写・個性型の3種類(計6種類)をベースに、その中から更に購入者の希望を反映しながら校正・修正を加え完成させていくのだとか。完成後は、「サイン練習キット」が送られて来て、練習して自分のモノにしていく由。ナルホド・・・。

 販売元は、Jaluxという会社。元は日航商事として発足し、日航グループへの航空事業(航空機部品調達など)がメインの会社で、それ以外にも“BLUE SKY”という空港売店でもお馴染みの会社らしく、所謂“空弁”ブームの火付け役(羽田空港の「若狭の焼き鯖寿司」が元祖とか)でもあるのだそうです。現在は商社の双日が筆頭株主(30%。JALが21%)の由。
「こんなモノがあるんだ!。しかも通販で・・・。」と、暫し絶句。
でも、30年近く前なら自分も購入していたかもしれません。
 シンガポールの販売子会社にアドミ担当で赴任して、前任者との引継ぎが終わったその日からのサイン業務。域内のディストリビューターや島内のディーラーへのインボイスの山・・・。その前に、銀行取引等でサインを各取引銀行などに会社のサイン権者として登録。
今では、日本でもカード類は自署のサインを求められますが、30年前の当時は、赴任するまでサインなどしたこともありませんでしたので、欧米系ならともかく、印鑑文化で育った我々日本人はサインが苦手。
現地でサインが必要なことは、赴任前研修等で聞いてはいたので、一応アルファベットでのサインを自分なりに工夫して考えてはありました。
以降、毎日数百枚というインボイスや、社内外への文書、銀行小切手(支払いだけではなく、会社入金時の裏書も)など、それこそ毎日千回以上のサインが必要となりました。
秘書や部下のスタッフは、「自署は大変なので、自署が不要の書類用にサインを彫ったスタンプを作った方が良い」と薦めてくれましたが、自分で書いた方が早く慣れるので、最初は自署でサインをしていました(結局6年間の赴任中、全て自署で通しました)。

 そんなある日、秘書から「このサインでは落とせないので、銀行窓口まで出頭するように銀行から連絡があった」とのこと。
訝しく思いながら、銀行に行ってその旨を担当者に伝えると、
「この(小切手の裏書の)サインがあなたの自署かどうか疑わしい・・・」
「イヤ、そんな筈は無い。ちゃんと自分が書いたものだ」
と文句を言うと、担当者はニヤッと笑って、「では、ここにサインをしてください」とのこと。指示通りにサインすると、やおら登録してあるサインの記録を出して、
「これ、同じサインに見えますか?」との仰せに、見てみると・・・、
「ありっ!?・・・」
そこには、全く(と思える程に)違うサインがありました。
当初、慣れていない内に登録したサインと、その後毎日千回を自署した結果、こなれて流暢に書かれたサインとは全く違ったモノになっていたのです。
担当者曰く(サイン慣れしていない日本人赴任者には)良くあることだと、慰めて(?)くれましたが、「トホホ・・・」でありました。

 ということで、このサインキットなるもの。初めて海外へ赴任する人にとってはイイかも・・・と思えました。
「ちゃんと個人が識別(区別)され、他人からは真似されにくく、海外でも通用し、しかも見栄えがして(カッコイイ)、そして何よりスピーディーに書き易い(例え何百枚の書類へのサインでも)」のであれば。
そうしたサインを作ってもらえるなら、自分のサイン(の“完成”まで)に苦労した経験からすると、大いに助かると思います。但し、果して価格がリーズナブルか、またどれ程のニーズがあるか(商売/商品として成り立つのか)は分りませんが。
 【追記】
日常業務でのサインで重宝したのは、太字のクロス(CROSS)のボールペンでした。太字の方がサインは見栄えが良く(上手く)見えます(手紙などの日本語は、むしろ細字の方がキレイに見えますが)。
「そうか、そのために太字のボールペンて必要なんだ!」と納得した次第。帰任時に、替え芯を含め、何本も業務用にCROSSのボールペン(グレーより黒のボディーの方が好み)を買って持って来ましたが、日本では全く使われず・・・。
苦労の結果、個人的には結構“カッコイイ”サインが出来上がったと自負しています。
最近では、暗証番号入力の店舗も増えましたが、店によっては、カード支払いでサインしても、下手をするとカードの裏面のサインと照合すらしない店もありますから、「オイオイ、大丈夫かよ」と不安を覚えます(当時、海外ではどんな店でも必ず照合をしていましたから)。

 梅雨明け後、松本でも連日30℃超えの暑さが続いています。時には、猛暑日となることも。皆さま、暑中お見舞い申しあげます・・・(蝉時雨ではなく、本物の夕立が欲しいですね)。
家に帰ってから寝るまでの間、「暑い、暑い!」としか言わない私メに、「他に言うこと無いの?」と奥さま。どうやら、吾輩の“夏の辞書”には「暑い」という単語以外は見当たらないようです(一応、「暑い!」、「あっちぃ!」、「暑っ!」という語尾変化はありますが・・・)。

 松本へ来られた観光客の方が、
「信州は涼しいかと思ったのに、こんなに暑いなんて・・・」
そのお気持ち、良~く分ります。でも、気温は高くても、内陸で湿度が低い分、木陰や日陰に入ると、コンクリートジャングルの都会よりはマシかも・・・と思えるのではないでしょうか。とは言うものの、35℃を超えると、さすがに暑い・・・。

 そんな時は、是非早朝の散歩をお薦めします。
松本は(信州は)標高も高く(市役所が592mなので、隣接する松本城も同じ。これは高尾山の山頂とほぼ同じ高さです)、内陸部で日較差が大きい(これが、果物の糖度を増す要因です)ので、日中30℃を超える日も朝晩は20度ちょっと(このところの最低気温は22℃)と、かなり涼しくなります。この時期、5時半頃には太陽が顔を出しますので、直射日光を浴びると気温以上に暑く感じますが、それまでは大変涼しく、過ごし易いと思います。
今は5時前にはもう明るくなっていますので、街中でも、また郊外の里山でも、ゆっくりと歩くと(街中だと湧水の井戸もあります)、夏の松本(信州)の良さが感じられるのではないかと思います。
そして、もし運良くモルゲンロートに染まる北アルプスの峰々が望めたら、雲の掛かり易いこの夏の時期としては、“三文以上の得”になること間違いありません・・・(多分)。

 この時期、松本に泊まられたら、涼しい早朝の散歩がお薦めです。
さて、「ナナ、涼しい内に散歩行くヨー!」
では、皆さまもくれぐれもご自愛ください・・・。

 まだ「ハルピン(哈爾濱)ラーメン」が諏訪の並木通りにあった頃(30年近く前ですが)は、飲んだ後の〆は決まってここでした。
その後(戦後屋台から始めたというご夫婦がリタイアして経営を譲り)中州に移転したために行けなくなりましたが(次の〆は、笠森小路にあった頃の旧「さくら亭」の屋台ラーメンへ)、今では諏訪地区だけでなく、松本の並柳や塩尻の広丘にも出店し、松本エリアでもハルピンラーメンが食べられるようになりました(30年以上前の一時期、松本駅のすぐ横にカウンター席だけの小さな店がありましたので、松本平には再出店)。

 先日、午後からの塩尻での会議で外出した折、「国堺」では先日食べましたので(第980話)、今回は久し振り(下諏訪店で食べてから1年振り?)に昼食を「ハルピンラーメン塩尻店」で食べることにしました。
こちらは、テーブル席が中心の家族連れがメインなのか、カウンター席は8席程度しかありませんでした。
ちょうど昼時でしたが、それ程混んではいません。色々新メニュー(塩尻店の季節限定の酢哈爾濱ラーメンとか。意外と酢はハルピンのスープと合うかも・・・)もありましたが、ここは昔から定番のハルピンラーメン(670円)です。大盛りにしようか悩みましたが、ランチには小ライス(半ライスの更に半分程度)がサービスされます。

 昔懐かしのハルピンラーメン。ニンニクをベースに二年以上寝かせたという、他店にはない、醤油とも、味噌とも、醤油トンコツとも違う独特のタレ。基本は醤油がベースだとは思いますが、何年か熟成されて、一見すると味噌の様に濁っています。移転後、少し味が変わったという評価も諏訪では時々耳にしましたし、実際に下諏訪で食べた時も、昔とは確かに違うかな?(昔の方が美味しかった)と感じました。
しかし、この日のスープは殆ど昔の味!(だと思えました)。
その日の舌(体調?)や下拵えでも、微妙に味は変化するとは思いますが、舌に残った味わいは30年前の記憶を呼び覚ましてくれました。かなり甘味の残る一方で、唐辛子系の辛さも舌に残るハルピン独特のスープです。細い縮れ麺に良く絡みます。そう、この味です。
(舌に残るこの味は、ハルピン以外でも、昔どこかで食べたような微かな記憶が拭い切れず、その後「どこで食べたんだっけ?」とずっと考えていたのですが、シンガポール時代の中華でも屋台街のローカルフードでもなく、またタイやベトナム料理でもなく・・・。そして、唯一呼び覚まされた不確かなる記憶。極論すると、子供の頃に作って食べた、「サッポロ一番」味噌ラーメンに何故か角砂糖を一つ溶かして混ぜたスープ・・・に何となく近いかも?だからと言って、試してみようという気は毛頭ありません)
昔良く食べたハルピンラーメンに比べると、以前のチャーチューは、丼が隠れる程大きくて、煮豚的な味付けがされていて、しっとりとしたモモ肉のチャーシューだったように思いますので、全てが昔と同じではありませんが、ラーメンはスープが命。この味です。

 スープを最後まで全部飲み干して(やっぱり、大盛りにした方が良かったかも)、満足の一杯でした。ジャスミン茶で口を漱いで、「ごちそうさまでした!」。