カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 ビッグコミックオリジナル(小学館)に連載中の、噺家修行を描く尾瀬あきら作「どうらく息子」。
社会人になって以来の35年以上に亘る定期購読者ですが、ここで半年に一回創刊されるコミックスも生まれて初めて全巻購入中です。また「どうらく息子」のお陰で、落語の面白さを知り、古典落語のCDを図書館から借りて(クラシック音楽の代わりに)通勤の車内で聴いています(運転しながら笑っているのを、対向車の人が見たら、訝しがっているでしょうね、きっと・・・。因みに、朝はクラシック音楽のFM放送ですが、こちらを聞きながら、指揮さながらにハンドルを握る指先が動くのも、まぁ、どっちもどっち・・・)。

 惜春亭銅楽師匠に入門した5番弟子の惜春亭銅ら壱も、名人大悟家慎蔵師匠の計らいで二つ目に昇進することが出来て銅ら治と改め、昇進まで待ってくれていた井筒屋あや音との恋も成就し、また落語修行も順調で何より。

 素行が乱れ、嘗て銅楽から破門された元兄弟子の鉄楽の営む居酒屋を銅ら治を通じて知った夢六が、師匠の銅楽を連れて行ったのも良かったし、その居酒屋で兄弟子だった鉄楽の計らいで開かれた独り会で、銅ら治がリベンジで演じる「二階ぞめき」(注記:ぞめく=冷やかす)も良かった(後日、CDで談志師匠の噺を聴くことが出来ました)。
とりわけ、10年前に素行が乱れ芸も荒れた夢六を寄席に出入り禁止にした慎蔵が、銅楽の支援で復活した夢六を自身の代演に抜擢し、好きな酒も忘れる程に稽古に励んで見事に「天狗裁き」を演じた後の第120話。
彼の話芸を高く評価する慎蔵が、病室に報告に来た夢六に、逃げずにもっと芸に励むように諭す場面は実に良かった。
病院を出て、慎蔵師匠の病室方向に向かって深々と一礼する夢六の姿に、何だかジーンと胸が熱くなりました。
また、その結果、意を決し、これまで逃げていた生き方を改め、子供の様に照れながらも、「よし乃」の女将にプロポーズをする場面も何とも微笑ましい。毎号(隔週ですので明日!)発売が楽しみです。
 コミックスの後書きで初めて知りましたが、惜春亭銅楽というのは、作者が高校時代落研にいた時の芸名なのだとか。ナルホドでありました。
尾瀬さん自身が本当に描きたかったのは、「夏子の酒」」ではなく「どうらく息子」だったんでしょうね。
これからも恐らく順風満帆とはいかず、読者はハラハラドキドキさせられながらも、ほんわかほっこりと人情噺さながらにストーリーは展開していくのでしょうが、これからも(少なくとも銅ら治が晴れて真打になるまでは)ずっと続いて欲しい傑作だと思います。

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