カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 ここ数年、母屋の中庭に偶然生えてきたタラノキ。
ウコギ科の低木落葉樹ですが、新芽が「タラの芽」として珍重されます。最近は、ハウス物で栽培されたものがスーパーに出回りますが、フキノトウ同様、山に生えるモノと里に生える(ましてや栽培モノ)とでは、野趣溢れる独特の苦みが無く、味も薄くて美味しくありません。
昔、リンゴ園の脇に父が植えたタラノキも、結局山のモノに比べて美味しくないと、父が全て切って(抜いて)しまいましたが、何らかの理由で(50m以上離れている)母屋の裏の庭に生えてきたようです。

 ほったらかしにしておいたら、大きなモノは高さ3m程にまで成長していて、このままではお隣の邪魔になりかねないことから、週末の農作業の傍ら、4月末に隣接する何本かを幹の棘に注意しながら伐採しました。
その際、たまたま(ちょうど時期的に)新芽(タラの芽)が伸びていて、切り倒すことから全部採取して、その夜、定番の天麩羅になりました。

 タラノキは、日本全国で見られるそうですが、“山菜の王様”として珍重するのは、やはり信州や東北などの山間地中心でしょうか。
最近でこそ、ハウス栽培されたタラの芽がスーパーにも出回るようになりましたが、昔東京の大学に進学した友人が、高尾山に登ったら登山道の至る所にタラの芽があっても、都会の人は見向きもしなかったと聞きました。
新芽を全部採ってしまうと木が枯れてしまうため、必ず幾つか芽を残しておくのが(自分の所有地で無い限り)山菜採りでのルール/マナーです。

 その夜、天麩羅になったタラの芽。
少し葉を広げたモノも思いの外柔らかく、新芽はホクホクと独特の食感です。但し、やはり苦みといった野趣はありません。天麩羅はそれ程(信州のお年寄り程)好きではありませんが、天麩羅が最適なタラの芽は別でしょうか。思いがけず、この時期だけしか食べられない“春の恵み”を頂きました。
(因みに、写真のタラの芽は、中庭の内側に生えている木。こちらはまだ木が小さいので、採らずに成長させます)