カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
最近、居酒屋や酒場を紹介する番組が巷で増えているような気がします。
BSが中心ですが、バラエティ番組ばかりの地上波は視る気も起きず、勢いBS視聴が主となる中で、元祖はケーブルTVからか、松本出身の先輩太田和彦氏(現在はBS11の水曜夜10時「ふらりいい酒いい肴」)で、最近人気なのが、今や“オヤジの月ナイン”と云われているというBS-TBSの月曜夜9時の「吉田類の酒場放浪記」。そして、時々視ていたのが、火曜夜9時のBSジャパン(テレ東系)の「酒のつまみと男と女」。他にも、吉田類の女性版「おんな酒場放浪記」が深夜に放送されています。
エッセイでは、太田和彦さん(本業はグラフィックデザイナー)の「居酒屋放浪記」三部作は我がバイブル。TVだと、全国の有名居酒屋のいくら馴染みとはいえ、信州人の照れ隠しなのか、些かタメ口が鼻に付く。むしろ文章の方が味がある。太田さんの云う“いい酒、いい人、いい肴”的居酒屋での“独り酒”の楽しみ方が、漸く分って来たような気がします。時間が掛かったというよりも、むしろ“分る年になってきた”ということなのでしょう。
片や、吉田類さんは土佐っぽらしく、大らかであけっぴろげで、居合わせた常連さんの中に(お裾分けまで頂きながら)最終的に酔って交わるのが見ていて気持ちいい・・・そんな感じがします。そして、どちらもテーマ曲から、BGMに掛かる選曲が(中年男には)実にイイ!(地酒の銘柄の勉強にもなります)。
そして、もう一つの「酒のつまみと男と女」。残念ながら、この3月を以って終了しました。
毎回のゲストを交えて、飲兵衛三人が三軒ほどハシゴして、酒の席での世間話(人生論?)をしながらただひたすら飲むだけの番組でした。時には、ゲストを無視して先に酔い潰れて爆睡・・・。何じゃこりゃ!と、最初は唖然としました。
・・・が、これが実に面白かったし、出て来る酒のつまみもイイ。
一応、(酔っても)放送コードのTPOをわきまえつつも、演出無しで言いたい放題、飲み放題。そこがイイ。理屈っぽくなったり、怒りっぽくなったり、自説を曲げなかったり・・・。「飲兵衛なんて、みんなこうなんだ・・・」。
「人の振り見て、我が振り・・・」ではありませんが、でも“真面目に”トコトン飲めるのは、ホント幸せそうで、時々唖然としつつも、実に微笑ましく感じます。酔客の時に理屈っぽいのが、信州人には例えシラフでも合ったのかもしれませんが・・・。何とも不思議な番組でした。
常連さんが、落語家の春風亭一之輔師匠か俳優の山崎樹範さんで、聞き上手役(結構突っ込んでますが)。そして、エッセイストの坂崎重盛さんが不良隠居のご意見番(この方、何とジ・アルフィーの坂崎幸之助さんの叔父さまとか)や、あっけらかんと飲み過ぎて良く潰れる、酒場の本「古典酒場」の編集長という倉嶋紀和子女史が交替で相方を務められました。このコンビに毎回一家言ありそうな酒好きのゲストが絡む・・・という構成。
かくして、強制適用休肝日の月曜日と火曜日は、翌水曜日からのお酒を愛おしく想いながら(我慢、我慢)、お酒の番組を視ては涎を垂らしつつ?静かに?夜が更けていきます・・・と、残念ながら、ここで最後のゲストにお馴染みの吉田類さんを迎え(皆さん飲兵衛仲間らしく)、銀座の路地ではしご酒をしたところで、最終回となりました。休肝日の居酒屋番組が一つ減って、多少は心穏やかな夜を過ごしています(ヤレヤレ・・・)。