カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
娘たちが帰省して来た、年末の28日。
長女が、「奈良井宿のアクセサリー屋さんに行きたい」とのご希望。そこで、木曽路ドライブのついでに、開田高原へ行く途中にある「時香忘」まで足を延ばすことにしました。
幸い、心配した雪(南信にある木曽谷は、関ヶ原同様に風の通り道で吹き溜まるのか、同じ南部の伊那谷と比べても意外と雪が積もります)も道路には無く、11時少し前に到着すると、駐車場には僅か数台。年末とは言え、行列が無くすぐに座れたのは初めて。ここにも御嶽噴火の影響が出ているのかもしれません。
三人はいつものオヤマボクチをつなぎに使うもり蕎麦を大盛りで。二人が冬らしく汁そばの鴨南ばん(1800円)を注文。但し、鴨南ばんは30分位掛かるとのこと(用意出来たところで、全部一緒に出してもらいました)。
供されて分ったのは、驚く程の柔らかさだというネギ。最初に少し焼いてから、弱火でコトコト、とろける程になるまで30分煮込むのだとか。味見をさせていただくと、松本一本ネギのような甘みもあり絶品でした。ただ、掛けつゆは少し薄目で、粗挽き故にせよ、温蕎麦がボツボツと全て短く切れていたのには些かガッカリ。奥さま的には、義弟の「そば丸周」の鴨南ばんの方が、もっと鴨(拘りの仏産だとか)の出汁が効いていて、こちらよりも値段も安く(1300円)お薦めだそうです。一方、飯山の富倉そば同様にオヤマボクチをつなぎに使う粗挽き蕎麦は、相変わらずのモッチリした食感。最後にドロドロに溶いたそば湯もいただいて、彼らも久し振りの「時香忘」に満足したようです。
帰路に立ち寄った奈良井宿。お目当てのアクセサリーの店「ギャラリー パウザ・ディ・クローマ」(イタリア語?で8分休符)は残念ながらお休み(元々不定休のお店です)。また他も、年末のためか、或いはここも御嶽の影響なのか、閉めている店舗が多かったのは些か心配です。木曽路で一番風情ある(と個人的に思っている)奈良井宿も、観光客が少なく閑散としていました。
明けて正月4日。お参りに行った上田塩田平の生島足島神社からの帰路。昼時間をとうに過ぎていたのですが、神社周辺にはあまりお薦めの店がないので、鹿教湯手前にある「十割そば 奈賀井」へ寄ってみることにしました。
今まで気にはなっていたものの入ったことは無かったのですが(昼前後に外出の折は、一人だとどうしても「ラーメン!」で、すぐ近くの「あすか」へ)、毎日通勤で通る松本と上田を結ぶ国道254号線沿いにポツンとある、古民家風のお蕎麦屋さんです。道沿いの一枚板(?)の大きな看板が目印。
旧北国街道の古い町並みが残る、上田市柳町に本店を構える有名店で店主が修業されたのか、昔はその「おお西流」と表示されていましたが、独り立ちした結果か、いつしか看板からその名は消えています。
着いたのが2時近くだったためか、長い一枚板のテーブルの椅子席と畳の席もある割と広い民芸風の店内には家族連れが一組だけ。昼時間も過ぎていたので、掛けつゆが終わってしまい汁蕎麦は出来ないとのこと。
メニューの盛り蕎麦には、「おお西」同様の発芽玄蕎麦もあり、また更科に炭を練りこんだ蕎麦などの変わり蕎麦もある中で、家内は田舎と挽きぐるみ、更科の三色そば(1365円)、私は田舎の大盛り(840円+420円:税込価格でしたので、どうやら消費税アップ分は転嫁されていないようで、アッパレです)。こちらは全て石臼挽きでの信州産の十割蕎麦とのことですが、他店と比べて驚く程の安さです(知る限りでは、長野市善光寺の「大善」に次ぐ安さで、これまたアッパレ!)。
ソバツユも江戸前風に辛くもなく、信州風にじゃぶじゃぶと浸ける程甘くもなく、程良い塩梅。蕎麦は十分な腰と香りもあり、コスパも含め満足。唯一惜しむらくは、量たっぷりのそば湯は、最初からではなく食べ終わる頃を見計らって出していただきたかったことでしょうか。
家内が一口試させてくれた挽きぐるみが、蕎麦の甘味が感じられて一番の好みでしたので、次に来た時は挽きぐるみそばを大盛りで食してみたいと思いました。
【追記】
手洗いを拝借した際、途中の作業小屋のような所に、古い脱穀機などの農機具や、整備された十数台もの古い発動機が置かれていました。どうやら、「信州手打蕎道」(きょうどう)と看板に掲げる蕎麦同様に、かなり拘りのご主人とお見受けしました。