カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 ここ数年、松本は“バーの街”と云われているそうな・・・。
国際バーテンダーのコンテストで優勝した方が故郷松本に戻り、ショットバーを開くなどする中で、仲間で切磋琢磨して松本らしいオリジナル・カクテルを共通して提供するなどして、松本の夜を盛り上げて来た結果だそうです。

 今では、ショットバーが市街に十数軒点在しており、この街の規模からすると、確かにそう呼ばれても良いのかもしれません。
個人的に昔一番好きだったショットバーは、既に閉店してしまいましたが、昔上諏訪にあって、上品な白髪のマスターが独り静かにやっておられた、カウンターだけのいぶし銀のようなバーでした(確か「モンブラン」という店名だったような・・・)。
偉そうに言わせていただけば、そうした雰囲気(ある種の、時間が自然に形成した格式)まで到達した店は、まだ松本には無く、歴史と時間がこれからそうした店の品格を創っていくのだろうと思います。

 そうした中で、一番のお気に入りは、やはり以前上諏訪にあって、松本に移転された店“オーセンティック・バー”「オールドパル」。
一枚板の重厚なカウンター席中心に、店からの押しつけがましさが一切なく、静かにグラスを傾けさせてくれる店です(もう一軒、静かな雰囲気の店があるのですが、そこは逆に少しでも友人との会話が声高になると、強面のマスターから「出て行け」とばかりに怒られるので、足が遠のきました)。

 ここも含めどの店も、独立された会社の先輩からのアドバイスを受けて、連れて行ってもらったり、何かの機会に訪問したりした中で、一番気に入ったお店が「オールドパル」でした。
人気店(有名店)は他にもあるのですが、三次会でもう食べられないのに、お通しでキッシュが出されたり(断れない)、有名になって観光客が居酒屋のように煩かったりと、そうした店は静かにグラス傾けて・・・とは程遠く、足も遠のきますが、ここは一切そうした雰囲気とは違い、マスターご夫婦のさり気ない気遣いを感じながらも、至福の時間が静かにゆっくりと過ぎていく気がします。居心地が良いのに、どこか“凛とした”品格を感じます。

 入居していたビルの取り壊しに伴い、やむなく、この秋に本町から神明町へ移転されて再開。
なかなか行く機会が無かったのですが、先日松本での同期会の後で新しいお店に伺うと、隠れ家のような“OLD PAL”という入口のドアは以前の店のまま(一瞬、気が付かずに通り過ぎそうになりました)。
「絶対に持って行った方がイイです!」とお願いした一枚板のカウンターは、残念ながら工事の関係で最後に断念した由(新しいカウンターも、マホガニーの一枚板か、使い込まれて、やがて渋さを増していくことでしょう)。
ただ、グループのお客さんがカウンターよりもソファースペースを好まれるので、ソファーの数を増やし、カウンターは残念ながら前の店よりよりも短くしたのだそうです。
でも全体的な印象は、空気感もそのままに、以前と同じ時間が流れている雰囲気の店内になり、ファンとしても一安心でした。